小4 国語科「新聞を作ろう」板書例&全時間の指導アイデア

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文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小4 国語科「新聞を作ろう」(光村図書)の各時の板書例、ワークシート例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小四 国語科 教材名:新聞を作ろう(光村図書・国語 四上)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/大妻女子大学家政学部児童学科教授・樺山敏郎
執筆/神奈川県相模原市教育員会教職員人事課副主幹・荒木昭人

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、書くことを通して伝える際に、集めた情報を比較したり分類したりして、伝えたいことの中心を明確にする力を付けます。その際、「誰に対して」という読み手と、「何のために」文章を書くのかという目的を意識し、経験したことなどから書くことを選ぶことができるようにします。
また、相手や目的を意識した表現になっているか確かめて、文や文章を整えることができるようにします。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元で取り扱う「新聞」は、多様な情報を伝達・受信する手段として、古くから重宝されてきました。「新聞」は種類も様々で、商業新聞の中にも「全国紙」「ブロック紙」「産業経済紙」「スポーツ紙」等、購買者側にとって必要な情報によってそれを選択することも可能です。インターネット等が普及した現在、新聞以外にも情報を収集する手段は多様化していますが、例えば、ネットメディアやSNSから受信できる情報と比べ、信頼性が高いと考えられているのも特徴の一つです。

新聞は、複数の情報を組み合わせて編集し、作られるという特徴があります。そのため、必要な情報を集めるだけでなく、集めた情報を比較したり分類したり、関連付けたりすることが重要になってきます。

また、新聞を作るためには、見出しやリード文を書く必要もあります。各部分の特性をつかみ、その特性に合った文章を書く必要があります。見出しやリード文を書くには、集めた情報の中から重要な語句や文を見つけ出す力や文章を要約する力等、これまでに獲得してきた言葉の力を組み合わせながら発揮していく必要があるのです。

さらに、情報を正確に伝えるためには、いわゆる5W1H(いつ・どこで・だれが・なぜ・なにを・どのように)を意識した記事を書く必要があります。文章の主・述の関係や修飾・被修飾の関係も意識しながら、構造的に分かりやすい文章を書くことが重要です。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 新聞の特徴をつかみ、学習の見通しをもつ

単元の導入では、様々な新聞を読み、新聞の特徴について検討します。この活動を通して一般的な新聞の特徴をつかむことはできるものの、自分たちが作る新聞のイメージをもつことが難しい児童もいます。そこで、教師が作成した新聞を提示することで、活動のゴールイメージをもつことにつながり、意欲も高まります。

また、教師自身が新聞を作成することは、新聞作りの過程における指導のポイントをつかむことにもつながります。教師が身に付けさせたい資質・能力を自覚しながら、新聞作りに取り組むことができるようにすることが重要です。

さらに、自分たちが作成する新聞を通して、「誰に」「何を」伝えたいのかという目的を明確にしましょう。目的が明確になることで、学習活動の見通しをもつことができるとともに、自己の学習活動を振り返り、次につなげるという意識も高まります。

〈対話的な学び〉「目的」を意識して対話をし、記事の内容や取材の方法を決定する

新聞のテーマを決定する際は、目的と照らし合わせながら、意見交換したり、議論したりすることを通して、扱うテーマを決定していくことが重要です。複数のテーマ案が出された場合は、それぞれのテーマのよさ等を明らかにした上で、より目的と適合するテーマを選択できるような工夫をしましょう。

また、決定したテーマに対して取材を行う段階、集めた情報について比較したり分類したりする段階でも、グループの友達と協力し活動を行う必要があります。例えば、取材を通して集めた情報の不足はないかをグループで確認する場面を設定するなどが考えられます。

さらに、取材の場面では、テーマによっては学級内にとどまらず、他学年や保護者、地域の方とかかわり、情報を収集することが必要となる場合があります。インタビューやアンケート等の方法も選択をしながら対象とかかわり、より目的に合った情報を集めることを意識できるようにしましょう。

〈深い学び〉「比較」・「分類」することを通して記事の内容を決定する

本単元において中心となるのが「比較」と「分類」です。「比較」とは、複数の情報を比べることです。「分類」とは、複数の情報を共通な性質に基づいて分けることです。このように思考を具体的に記述した言葉を「考えるための技法」や「思考スキル」と呼ぶこともあります。

学習活動の中で、児童に発揮させる、考えるための技法を明確にし、それに対応したワークシート等を準備することが考えられます。観点に即して見方・考え方を出し合いながら検討し、比較したり分類したりしながら決定していくことが深い学びにつながります。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1) 情報を収集したり、整理したりする場面での活用
新聞を作成するにあたり、情報を収集する「取材」は重要な場面です。この取材場面において、端末は様々な形での活用が考えられます。

例えば、次のような活用方法があげられます。
・インターネットを利用した情報の収集
・カメラ機能を利用して写真撮影
・オンラインミーティング等の機能を利用したインタビュー

また、収集した情報を整理したり、まとめたりする場面も、新聞を作成するにあたっては重要な場面です。

例えば、次のような端末の活用方法があげられます。
・ワークシートとしての活用(付箋機能を組み合わせて使うとより効果的)
・人数等の数字の情報を整理し、表にしたりグラフにしたりする。
・割付案の検討を、端末の画面上で操作をしながら行う。

ここで示したような事例については、全員が同様に行うのでなく、目的や実態に応じて、子供自身が方法や場面を選択できるように指導をしていくことも重要です。

(2) 下書きを書いたり、修正したりする場面での活用
「書くこと」の学習においては、ワープロソフト等を活用することのメリットを十分にいかしましょう。例えば、「下書きを書く場面」や「下書きを推敲する場面」等では、書いた文章を書き替えたり、順番を入れ替えたりすることが容易に行えます。図表の挿入や変更についても同様です。
ただ、キーボード入力には、個人差が大きいことも考えられます。実態に応じて、子供自身が方法や使用する枠を選択できるようにするなど、柔軟に対応できるようにしておきましょう。

6. 単元の展開(12時間扱い)

 単元名: 事実を分かりやすくほうこくしよう

【主な学習活動】
・第一次(1時2時
① 教師が提示した二種類の新聞を比較することで、新聞作りの特徴をつかむとともに、学習の見通しをもつ。
② 新聞を作成するグループを決め、テーマを決める。グループごとに学習計画を立てる。

・第二次(3時4時・5時・6時7時8時・9時
③ 教材文を読み、新聞の作り方の手順・取材の方法などについて確かめる。
④⑤⑥ 取材を行い、取材して集めた情報を比較したり分類したりして記事を書くときに使うものを選ぶ。〈 端末活用(1)
⑦ 新聞の題名やトップ記事を決め、割付について話し合う。〈 端末活用(2)
⑧⑨ 記事の下書きを書き、伝えたい内容に合った見出しの案を考える。〈 端末活用(3)

・第三次(10時・11時12時
⑩グループで下書きを読み合い、推敲して見出しを決める。〈 端末活用(4)
⑪清書をし、新聞を仕上げる。
⑫完成した新聞を読み合い、感想を伝えるなどし、学習を振り返る。

各時の板書例、ワークシート例、発問・児童の発言例

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

〇 単元の導入では、子供が新聞はどのような構造になっているかを理解するとともに、「新聞を作ってみたい。」「私にも作れそう。」という思いをもつことができるようにすることが必要です。そのためには、例えば、教師が作成した2種類の新聞を提示し、比較する活動を行うことが考えられます。一つは新聞の特徴をおさえた「お手本」となるようなもの、もう一つは文章を並べただけの読みにくいものを並べて示します。そうすることで、どのような新聞が読みやすく伝えたいことが伝わりやすい新聞なのかを考えることにもつながります。

提示する新聞については、子供の実態に応じて、教師が作成したもの以外にも「全国紙」「子供新聞」「地域の新聞」「自治体が発行している新聞」等も有効に活用しましょう。

<教師の発問、児童の発言例>

黒板に貼られた二つの新聞ですが、どんな違いがありますか。

Aの新聞は写真や絵がないけど、Bの新聞には写真が使ってあります。

Bの新聞は横書きで題名みたいな文章が書いてあります。

それを「見出し」と言います。記事で伝えたい内容を、短い文章でまとめたものです。

Aの新聞は文章が縦に長く書いてあるけど、Bの文章は2段になっています。それに、見学に行って見てきたことだけではなくて、人に聞いたことも書いてあります。

どちらの新聞の方が、伝えたいことが伝わる新聞でしょうか。

Bの新聞の方が、読みやすいし「読んでみたい」と思ってもらえる新聞だと思います。

私もBのような新聞を作ってみたいと思いました。


【2時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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