先輩教師に相談する、その前に〈前編〉【伸びる教師 伸びない教師 第17回】
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豊富な経験で培った視点で捉えた、伸びる教師と伸びない教師の違いを具体的な場面を通してお届けする平塚先生の人気連載。今回は、「相談のしかた」を前後編に分けて紹介します。※本記事は、第17回の前編です。
プロフィール
平塚昭仁(ひらつかあきひと)
栃木県上三川町立明治小学校校長。
2008年に体育科教科担任として宇都宮大学教育学部附属小学校に赴任。体育方法研究会会長。運動が苦手な子も体育が好きになる授業づくりに取り組む。2018年度から2年間、同校副校長を歴任。2020年度から現職。主著『新任教師のしごと 体育科授業の基礎基本』(小学館)。
伸びる教師は、「こうしようと考えているのですが……」と相談し、伸びない教師は、「どうしたらよいですか」と相談する
目次
質問のしかたには2種類ある
「聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥」
と言います。自分がわからないこと、判断できないことを先輩の教師に聞くことはとても大切なことです。特に若いうちは、知らないことがあって当たり前ですからどんどん質問するとよいのです。また、自分自身で勝手に判断して残念な結果を招かないためにも聞くことは大切です。
「発問の仕方で悩んでいるのですが、教えていただけますか」
「保護者からこんな質問を受けたのですが、どのように答えればよいでしょうか」
こんな質問に先輩の教師は、快く答えてくれることと思います。
しかし、聞く内容によってはお互いの時間を奪ってしまうこともあります。
「昨年度、運動会の開会式はどんな風にやったのですか?」
この質問は、上のふたつの質問とは大きく違います。なぜなら、昨年度の計画に目を通したりビデオを観たりすればある程度のことはわかるからです。それらをした上で、
「開会式の代表の児童をどのように決めたのですか?」
「選手宣誓の言葉は毎年変えたほうがよいのでしょうか?」
など、自分がわからないことを質問するならばよいです。しかし、はじめから全て教えてもらうというのは、何年も務めた教師のすることではありません。初任者であればそういうこともあるでしょうが……。
4月に1年間の流れを把握する
何を隠そう私も若い頃は先輩教師に、
「何を聞きたいのかわからない。聞きたいことを整理して聞きに来い」
と門前払いを受けたことがありました。それからは、自分の質問したいことを整理するため、4月のはじめに校務分掌が発表されたら、まずは、前年度の綴りやデータに目を通し、1年間の流れを把握しました。そして、次に4月にやるべきことをピックアップしました。
このとき、できれば、5月以降にやらなければいけないことも書き出して整理もしました。その上で、前年度の係の先輩教師にわからないことや計画には書かれていないことなどを聞くようにしてきました。
また、「この案件は誰に聞いたらよいか」をよく考えて相談するとよいです。
まずは、学年主任に聞くのが一番です。単学級の場合はブロックの中の先輩教師です。いきなり校長に聞いてしまったら、学年主任は何も知らなかったことになってしまいます。学校という組織を考えて、筋を通すことが大切です。
しかし、緊急を要する事故などの場合は、教頭、副校長に直接相談し判断を仰ぎ、後で学年主任に報告することもあります。その他、日課に関することは教務主任、設備に関することは教頭、副校長など、誰がどんな仕事を担当しているのかをよく見極めて相談しないと時間がかかってしまうことがあります。時には、教務主任、教頭、副校長、校長が3人そろっている場で報告・相談をすると、同じ話を何度もしなくてすむ場合があります。
構成/浅原孝子 イラスト/いさやまようこ
※第16回以前は、『教育技術小五小六』に掲載されていました。