中学年の学習意欲を引き出す「言葉かけ」4つのポイント

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自分と友達を比較したり、自分が他者からどのように思われているかを気にしたりする思考が強まると言われる中学年。そんな中学年の子供たちにはどんな言葉かけをすれば、意欲的に学習に取り組むようになるのでしょうか。子供の自尊感情や学級の集団力を高める実践に定評のある丹野裕基先生が解説します。

丹野裕基

丹野裕基(たんの・ゆうき)●1986年、東京都生まれ。東京都公立小学校主任教諭。菊池道場東京支部支部長。総合質問紙『i-check』商品開発協力委員(東京書籍)。学級経営機関誌『げんきの根っこ』(東京書籍)、『温かい人間関係を築き上げる「コミュニケーション科」の授業』 『「白熱する教室」を創る8つの視点』(中村堂)などに分担執筆者として参加。

「学習意欲が高い」とは、どのようなこと?

「学習意欲が高い」とは、どのようなことでしょうか?

ぜひ、言語化してみてください。新しい1年が始まった今、同僚や同学年を担任する方と出し合ってみることもおすすめです。先輩にもどんどん聞いてみましょう。どのようなことを大切にしているか(児童観や指導観)を知る、よい機会になるはずです!

学習意欲を高めることは、子供が学びやすい環境を整えることでもあります。私は、言葉かけだけでなく、学習意欲が低い原因を、子供の発達特性や家庭環境、友達関係、教師の指導のあり方、教室環境といった様々な視点から検討することも大切にしています。

例えば、自分の指導とのミスマッチを見直す視点として、認知特性に応じた指導のあり方も参考にして考えています。

参考/藤田和弘著『「継次処理」と「同時処理」学び方の2つのタイプ』(図書文化)

言葉は、教師の思いを表すもの

子供にかける言葉は、目の前の子供たちと、どのような学級、授業をつくっていこうとしているかが表れるものです。その反映である子供の言葉は、どのような言葉が教室に溢れているのかにも敏感でありたいと思っています。

例えば、発問に対する挙手が少なかったとき、どのような言葉をかけますか?

:「元気がないね。どうしたの?」
:「頑張って手を挙げよう!」
:「手が挙がらないから、先生が当てることにします」
:声をかけずに、授業を進める
:その他

先生のキャラクター、子供との信頼関係等によって、言葉が意味することは変わってきますので、どれが正解ということはありません。しかし、どのような言葉をかけるかによって、そこから子供が受け取るものは変わってくるだろうと思います。

子供たちに優しく語りかける教師

先の場面について。

私であれば、少数であっても挙手している子供たちの心や、挙手はしていなくても考えている子供の姿を価値付ける言葉が思い浮かびます。その上で、挙手が少なかったネガティブな事実を、「先生が焦りすぎちゃったな」といったように教師が引き受け、「友達と相談したら、アイデアが出てきそうかな?」「もう少し一人で考える時間が必要かな」と、子供たちに次の展開を選択させる言葉をかけると思います。

少なくとも、「挙手ができない」という事実を子供のせいにしたり、学級の意欲の低さを象徴するもののように扱って失敗感を強調したり、叱責したりすることはしません。「今、手を挙げさせる」という短期的な効果のみをねらわず、1週間、1か月、1学期、1年間という中長期的な視点で、子供の成長につながる言葉を大切にしたいと思っています。

学習意欲を引き出す「言葉かけ」4つのポイント

意欲的に学習に取り組む子供たち

「あぁ、余計なことを言った」「そんなつもりで言ったわけではないのに」と後悔することがたくさんあります。中学年の子供たちは、認知機能の発達に伴って、自分と友達を「比較」したり、自分が他者からどのように思われているかを気にしたりする思考が強まります。こうした思考は、学習意欲に強く関わってきます。

【中学年の子供の学習意欲を引き出す言葉かけのポイント】
①皮肉や他の子供と比較した言葉を避けよう
②「○○がある(できている)」状態を価値付けよう
③願いだけでなく、具体的な目標を考えられる言葉をかけよう
④「やろう」とする姿を価値付けよう

ポイント① 皮肉や他の子供と比較した言葉を避けよう

△「ほら、やればできる。先生もできると言ったでしょ。最初からやればいいね」
○「おっ、諦めずに最後までできたね」

先生はほめているつもりでも、子供はほめられた気がしない言葉があります。△のような、皮肉った言い方や、他の子供を基準とした言葉です。

そうした言葉ではなく、目の前で起きたことの何がよいのか、何に感心したのかといった言葉や、その子供の過去と比較した向上的変容を価値付ける言葉で伝えています。

また、他の子供や学級との比較でほめるのは、他の子供や学級を低く評価することになるので避けるべきです。

ポイント②「○○がある(できている)」状態を価値付けよう

△「ほら、教科書が出ていないよ」
○「この列は3人。この列は5人! 教科書の準備ができた。先を考えて動ける人だなぁ」

できていない数人に言葉をかけているとき、できている子供は放置されています。私は、できていないこと(人)をなくすという発想ではなく、できていること(人)を増やす中で、できていないことを減らすという考えで指導しています。もちろん、即時的に効果が出ないこともありますが、性急な指導の効果は一時的なものと考え、焦らずに指導をしています。

ポイント③ 願いだけでなく、具体的な目標を考えられる言葉をかけよう

△「3(4)年生らしい行動、みんななら考えられますね。信頼しています」
○「地域の人にインタビューする時に、気を付けることってなんだろう」

中学年の子供たちは、過去の経験をもとに自分で考え、行動できる力が一気に伸びていきます。だからこそ、主体的な行動を期待して、教師の願いや思いを子供たちに伝えることもあると思います。

それも自律に向けた大切な指導ですが、教師の願いから具体的な目標や言動をイメージできる子供は、中学年ではまだ限られています。先生が具体的な目標や言動を伝えたり、子供から考えを引き出して具体的な目標をつくったりして、学級全体で共通理解を図ることが重要です。

ポイント④「やろう」とする姿を価値付けよう

△「速い!さすがだなぁ。もう練習問題が終わったんだ。頑張れて偉い!」
○「先生が『始めましょう』って言ったら、パッと鉛筆を持ったね。こういうところに、Aさんの頑張るぞ!っていう気持ちを感じるよ。嬉しいな」

意欲は「成果物や内容」のみに表れるのではなく、取り組む「姿」に表れます。そして、そうした姿には、子供の「心」が表れます。だからこそ、子供の発言に対する言葉かけの対象が「内容」だけに向けていないか注意が必要です。学習意欲を引き出すためには、子供の姿にある心を価値付けることが大切です。

「教師の言葉が変われば、子供が変わる」
「子供の言葉や姿は、教師の言葉や姿の裏返し」

そう心に留めて、教師の言葉のあり方を大切にしています。

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