グレーゾーンの子も安心できる小学校運動会の指導法とは?

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岡山県公立小学校教諭

南惠介

通常学級にいる、発達障害におけるグレーゾーンが疑われる子どもたち。そんな子どもたちにとって、「行事」は不安になりやすいものです。
特別支援教育をベースにした学級経営を提言されている南惠介先生に、今回は「運動会」を例に、 気をつけることについて教えていただきました。 問いに対する答えを自分で考えながら、読んでみてください。

ゴールテープを切る直前のイメージ

執筆/岡山県公立小学校教諭・南惠介

Q1 「運動会」の練習が始まります。どんなことに気をつければよいでしょうか。

Point1 予定変更に気をつける

運動会に限りませんが、行事における予定変更には十分気をつけましょう。
「突然」の変更は、グレーゾーンの子どもたちにとって大きな負担になり、不安感を感じさせます。その結果、不適切な行動につながります。

できるだけ前日に予定変更を伝える。そして、直前であっても、少しでも早く変更点とその後どうなるかまでを1つのパッケージにして伝えるようにします。

Point2 ほめることと理想の行動を示す

叱責で子どもの行動が変わることはありますが、トータルで考えるとデメリットのほうが多いと思います。そもそも何をするべきか、何が悪いかわかっていないことがあります。また、今自分がどうしているかわかっていないこともあります。

「今何をするのか」を簡潔に伝えることで解決することは多いのです。そして、その子が「今どうなっているか」「何をしているか」を伝えることは、案外大切なことです。

よそ見をしている子に「今、ほかのところを見ているよ」、話をしている子に「今、しゃべっているよ」で行動が変わる子はたくさんいます。

もし、ふだんできていないことに対しても具体的に「○○できたら100点なんだけどなあ」と伝えてみましょう。目標がはっきりすることでできるようになることがあります。

Point3 不安だから落ち着かない

落ち着かない行動を見て「話を聞きなさい」「じっとしていなさい」は、わかりやすいけれど、表面的な指導に終わります。

そもそもその子は、話は聞かなくてよいと思っているのか? じっとしていなくてよいと思っているのか? そんなことはないでしょう。

低学年の子が、「不安」ゆえに不適切な行動をすることは、本人が自分の行動に気づいていないことと同じくらい多いと思います。

ふと目が合うことがありませんか? 先生がにっこりと笑うだけで安心して前を向くことができる。そんな場面は案外多いのです。

にっこり笑う先生
笑顔で落ち着くことも イラスト/大橋明子

Q2 「視覚支援」という言葉をよく聞きます。具体的に視覚支援とはどういうことでしょうか。そして、どういうことに気をつければよいのでしょうか。

Point1 子どもの理解の型を探る

人によって得意な情報の得方(認知)は違います。

耳で聞いて理解するのが得意な人。実際にやってみて理解するのが得意な人。

そして、一番多いのが「目で見て理解する」のが得意な人。

「気になる子」の中には、目で見て理解するのが楽で、ほかの方法がとても苦手な子がいます。そういう子が理解しやすいように「パッと見てわかるようにする」ことが「視覚支援」なのです。

Point2 目で見てわかるとは?

「目で見てわかる」ためには2つのポイントを知っておくことが大切です。

・具体的に示す
・簡潔に示す・情報を削る、隠す

1.具体的に示す

イラストや図で示す方法もありますが、友達のできている姿を「ああ、いいねえ。○○ができているねえ」とほめることで具体像を示すことができます。

2.簡潔に示す・情報を削る、隠す

「視覚支援」ということで、いろいろな掲示物が増えている教室を見ることがあります。

基本に立ち戻りましょう。

情報が多すぎると、どれが大切かわからなくなるのです。できるだけ簡潔に伝えることを心がけましょう。

そして「今」必要な情報だけを提示するようにしましょう。

情報は少なければ少ないほどよい。私も含め伝えたがりの先生にとっては、それくらいの感覚がちょうどよいのだと思います。

『小一教育技術』2017年9月号より

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