あなたの学校では、いじめ防止対策が機能していますか?
先生方の学校のいじめ対策に関する校内組織は、しっかり機能しているでしょうか? 組織によるいじめ対策を効果的に行うための役割を明確にし、さらに、全教職員で校内組織の共通理解を図りましょう。
執筆/福岡県公立小学校教諭・山﨑邦彦
目次
全教職員で校内組織の共通理解を図る
いじめ防止対策推進法(第22条)
「いじめ防止対策推進法」より
学校は当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとする。
いじめは、当該学年や学級担任だけでは解決できない事案が非常に多いものです。そこで、組織によるいじめ対策を効果的に行うための役割を明確にします。さらに、全教職員で校内組織の共通理解を図りましょう。
また、子供たちをいじめから守るため、「取組の内容」「取組の回数や頻度」「取組の時期等を明確にしておくことも重要です。校内組織は実効性があり機能的かどうか、管理職を交えて検討することから始めてみるのもいいと思います。
例えば、年間を見通したいじめ対策の計画を立案することも考えられます。いじめ事案へ対応を確実に行うため、常にアンテナを張っておきましょう。
教職員においては、いじめ対策に関する取組を振り返り、未然防止に向けた意識を高めることが重要です。
例えば、教職員アンケート等を実施するなど、取組の進捗状況を把握し、よりよい指導へと改善を図っていきましょう。
いじめは被害者と加害者が大きく入れ替わります。
被害者、加害者になりそうな子供を発見または予見して対応するよりも、組織的に子供全員に注意を注ぐとともに、全教職員が一丸となるようないじめ対策の取組を行うべきだと思います。
いじめの特徴
暴力を「ただのけんか」と軽く捉えていないでしょうか? また、深刻化している「暴力を伴わないいじめ」を見過ごしていることはありませんか?
ネットいじめ
ネット上のいじめは、加害者側の罪の意識が非常に薄いという特徴があります。そこで、いじめがエスカレートするケースもよく見られます。また、関係のない人がいじめに加担し、面白半分に攻撃に加わることもよくあります。
また、運営会社や監視団体が各種アプリやSNSなどで行われるコミュニケーションを常時パトロールすることはできません。つまり、ネットグループ内の仲間はずれや、他人になりすましてメールを送信するなどの問題も考えられるということです。
やはり情報モラルに関する指導には、日常モラルの視点が必要不可欠です。「節度、節制」や「親切、思いやり」「友情、信頼」等、道徳科の内容項目や学級活動(2)との関連を図りながら指導にあたると効果的です。さらに、ネット依存の問題や匿名性、情報漏洩等についても触れ、子供たちがよりよい人間関係を形成することができるように配慮しましょう。
イラスト/高橋正輝
『教育技術 小五小六』2021年1月号より