中学校へ向けた小中連携
年が明けると、「小学校卒業」までの時間はあっという間です。中学校での生活を楽しみにしている子供、漠然と不安を抱いている子供と様々だと思います。学級や学年の子供たちが、どのような中学生になってほしいと思いますか? そして、義務教育卒業を迎えたときに、どのような15歳になっていてほしいですか? 小学校卒業がゴールではなく、その先まで見据えた指導をしたいものです。
執筆/福岡県公立小学校教諭・荒牧真代
目次
小中連携とは
学校相互間の連携や交流
『学校学習指導要領解説 総則編』
「(前略)交流及び協同学習の機会を設け、共に尊重し合いながら、協働して生活していく態度を育むようにすること」
「学校同士が相互に連携を図り、積極的に交流を深めることによって、学校生活をより豊かにするとともに、児童の人間関係や経験を広げるなど広い視野に立った教育活動を進めていくことが必要」とされています。
また、中学校との間で、児童生徒の実態や指導のあり方などについて理解を深めることは、「それぞれの学校段階の役割の基本を再確認することになるとともに、広い視野に立って教育活動を改善していくことも、充実を図っていく上できわめて有意義であり、幼児児童生徒に対する一貫性のある教育を相互に連携し合って推進するという新たな発想や取組が期待される」と示されています。
中学校を知ろう
①校区の中学校は?
同じ中学校に進学する小学校は?
区市町村にある中学校は?
②中学校で研究していることや、中学校のアピールポイントは?
この他にも、知っていること、知らないこと、知りたいことはありませんか。同学年の先生方とそれを共有してみましょう。
子供たちは、小学校の経験をもとに、中学校でより自主的、実践的な取組をして3年間を過ごします。
大切に育てた子供たちを送り出す中学校について知っておきたいものです。
中学校へ向けて○○○カウントダウンを始めよう
①学力カウントダウン!
- 学校生活を充実させるためには、授業が肝心です。卒業へ向けたイベントへの取組も大切ですが、小学校の学びを中学校に確実につなげることも忘れてはいけません。
学年で足並みをそろえ、自分で課題分析と計画づくりを行い、達成感を味わえる取組を学年チームで行います。
②感謝カウントダウン!
- 6年間の感謝を伝え合える人間関係づくりができているか、しっかりと多くの教師の目で見取りましょう。
③体力カウントダウン!
- 中学校では、入学から目まぐるしく日々が過ぎていくことでしょう。そのような日々を楽しむことができる体力づくりも大切です。
小中学校連絡会を有意義な時間にして、子供たちが安心して進学できるように、身につけておくべき力等、中学校の先生と事前に打ち合わせておくと安心です。
中学校への憧れと期待を持つことの素晴らしさ!
6年生の卒業に向けたカウントダウンが始まる前に、事前に取り組めることがあります。学級だけでなく、学年全体、学校全体でも高学年として働きかけ、中学校との連携を進めていきましょう。
6年生だけでなく、学校全体として、様々な連携を進めることで、中学校への期待感はいっそう高まっていきます。新型コロナ禍の状況だからこそできる小中連携があります。
小中連携の観点と課題解決の手立て
まずは、小中連携というハードルを高く感じるか低く感じるか、小中連携の現状について学年研修会で話し合い、その後、管理職の先生に相談してみましょう。高学年の子供たち、先生方、管理職、教育委員会というチームで取り組むことが大切です。
①学力向上での連携
- 現在の課題分析をもとに、小学校卒業までに、学級や学年がめざす姿を明確にしましょう。
- 家庭学習に自主的に取り組めるシステムづくりを進めましょう。中学校の定期考査と連携した「家庭学習強化週間」を設けることも効果的です。校区全体で一体感を持った取組になります。
- 小中合同研修会を充実させましょう。互いの授業を参観したり、学力向上への取組を共有したりすることで、小中連携による学びへと深まっていきます。
②生徒指導、教育相談での連携
- 小中学校を問わず、不登校や不登校傾向の見られる児童生徒はいませんか? 早めに中学校と情報共有することで、中学校でのスタートが円滑になります。しっかりと情報共有し、中学校でキーパーソンとなる先生とつながっておけば、子供も保護者の不安感も和らぎます。
③人の連携
小学校の先生と中学校の先生
- 先生同士が日常的につながることにより、学力、生徒指導、教育相談に関する情報を共有できます。
児童と生徒
- 子供同士が日常的につながり、憧れや励ましが行き交う校区になると素敵です。
子供と先生
- 中学校から小学校への出前授業や小学校から中学校への参観等を行うことで互いに刺激を受けることができます。
保護者と保護者
- 学校行事等でつながることで、中学校での負担感を軽減することができます。
『教育技術 小五小六』2021年1月号より