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「メタ認知」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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学習指導要領では「学びに向かう力」を育成することが求められていますが、児童生徒のメタ認知を育むことでその力がつきます。そのためには、授業実践で繰り広げられた言動を、児童生徒および教師自身が意識的にふり返る機会をもつことが大切です。

執筆/東京学芸大学准教授・梶井芳明

みんなの教育用語

メタ認知とは

メタ認知とは、知覚する、記憶する、思考する、判断するなどといった認知活動を客観的に理解し、それらの活動を評価したり制御したりする働きのことです。つまり、自分を客観的に認知する能力のことです。

「メタ(meta)」にはいろいろな意味がありますが、メタ認知の場合は、「上位の」という意味で用いられており、種々の認知活動の上位に位置づけられる認知ということになります。

学習の場においては、自分ができるようになったことを客観的に理解し、他の場面に活用できる力として最も大事な要素といえるでしょう。

なお、学習指導要領では、学力を「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性等」の3つに整理しています。そのうち、「学びに向かう力・人間性等」について、文部科学省は「主体的に学習に取り組む態度も含めた学びに向かう力や、自己の感情や行動を統制する力、よりよい生活や人間関係を自主的に形成する態度等があり、自分の思考や行動を客観的に把握し認識する、いわゆる『メタ認知』に関わる力を含むもの」と説明しています。

メタ認知の育成は、児童生徒の「主体的・対話的で深い学び」を実現するために、必要不可欠であるといえます。

メタ認知の知識、メタ認知の活動

メタ認知は、メタ認知の知識とメタ認知の活動に分けることができます。

メタ認知の知識は、さらに「人間の認知特性(情報を記憶、理解、表現する力)についての知識」「課題についての知識」「方略(学習の方法)についての知識」に分けられます。

「人間の認知特性についての知識」は、例えば、「私は物事を批判的に考えることが苦手だ」といった個人内の認知特性についての知識や、「AさんはBさんよりも創造的に物事を考える力が高い」といった個人間の認知特性についての知識、「自分が興味をもって学習したことはそうでない学習状況下に比べ身につきやすい」といった人間一般の認知特性についての知識などをさします。

「課題についての知識」は、「くり下がりのある引き算はくり下がりのない引き算よりも間違えやすい」といった知識をさします。

「方略についての知識」は、「ある事柄についての理解を深めるためには、誰かにその内容を説明する活動を取り入れることが有効である」といった知識をさします。

一方、メタ認知の活動は、「メタ認知のモニタリング」と「メタ認知のコントロール」に分類されます。

「メタ認知のモニタリング」は、「ここがわからない」といった認知についての気づき、「なんとなくわかる」といった認知についてのフィーリング(感覚)、「このやり方でよいのだろうか」といった認知の点検などをさします。

「メタ認知のコントロール」は、「誰かにその内容を説明することができるように理解しよう」といった認知についての目標設定、「わかることから始めよう」といった認知の計画、「このやり方ではダメだから、別のやり方をしてみよう」といった認知の修正などをさします。

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