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外部の「指導員」が若手教員を育成 学校全体の教員スキルアップ!

2019/7/5

授業しているイメージ

埼玉県富士見市では、市独自の制度として2017年度より市内の全公立小学校に「若手教員育成指導員」を配置するなど、各校の若手教員育成を支援しています。なかでも、富士見市立水谷小学校は、その若手教員育成指導員を有効活用することで教員育成体制を充実させ、成果につなげています。その内容や具体策について、同校の野村佐智夫教頭にお話を聞きました。

指導力に長ける外部人材が指導・支援を行う

「学びあい 人がつながり 一人ひとりが輝く 富士見の教育」を教育の基本理念とする富士見市では、教員の資質向上と児童生徒の学力向上をめざし、指導法に係る研究会を充実するなど、若手教員の育成を推進しています。その一環として、2017年度より市内の全公立小学校に若手教員育成指導員を配置。各学校がこれを活用して若手教員育成に取り組んでいます。

埼玉県では教員向けの研修として初任者研修の次にステップアップ研修(2年目)、ジャンプアップ研修(3年目)、そして5年経験者研修があります。この2年目から5年目の研修は、若手教員の育成体制を充実させることを目的として設けられた市独自の制度。全国的にみても先進的な取り組みです。

指導員の主な役割は、授業などにおいて具体的実例を示しながらの指導・支援をはじめ、若手教員の疑問・悩みなどについて相談にのって若手教員を支えたり、管理職の若手教員育成に対する支援・助言もしています。多くの場合は、若手教員の授業や日常の様子を見たうえで、その実践内容を踏まえてよりよい授業をつくるための方法や、児童へのアプローチの仕方、学級経営の手法などについて、放課後の時間などを利用して個別の指導を行います。

指導員による指導・支援の対象となるのは、基本的に採用2年目から5年目までの若手教員と臨時的任用教員。具体的に指導の対象とする教員や、1人あたりにかける時間などは、各学校がそれぞれの事情に応じて決めています。学校の規模により、1校あたりおおむね年間40日、または80日、指導員が学校に入り、若手育成にあたっています。

授業や実践内容を観察し、実践例を示しながら個別指導

「教育に関して豊富な経験と高い指導力をもった方に指導していただくことで、教職員の成長と変容を感じます。若手教員は意欲が高くても、授業づくりや学級経営にどう取り組めばよいかわからない場合もあるので、授業や日常の様子を確認したうえで、個々に応じた助言や支援ができる若手教員育成指導員の存在は大きいですし、若手はよさや頑張りを認めてもらうことでモチベーションの向上にもつながり、若手教員育成が充実したものになっています」

こう話すのは、富士見市立水谷小学校の野村佐智夫教頭。同校は、教員の約半数が20代と若手教員が多く、この若手教員育成指導員を活用しながら若手育成に取り組み、成果を上げています。

同校で指導員を招くのは、およそ週に2日。学期単位で見通しを立て、どの日にどの教員を指導するか、あらかじめローテーションを組んで計画的に進めています。

「学期初めに、行事などの予定を考慮しつつ若手教員が指導を受ける回数や時間がなるべく均一になるように調整しています。また、どの教員に対しても同じように関わっていただけるように、指導の内容や進め方などを事前に打ち合わせたうえで指導にあたっていただいています。若手に限らず、研修の機会が少ない臨時的任用教員にとっても、技能を高めたり、視野を広げたりするのに有効です」

指導員の長所は、教員としての経験が豊富というだけでなく、若手教員を育成することに特化した外部人材だということにもあります。授業を1コマ通して参観することによって、細部まで確認したうえで、実践の具体的な場面をもとに助言をすることができます。

「日常的な子どもへの指導方法から学級経営の進め方、さらには日頃の悩み相談まで、校内の教職員だけではどうしてもカバーしきれない部分をカバーしていただいています。若手教員が無意識のうちにしている指導の仕方なども含めて、細かい部分まで取り上げて指導できるのは、若手育成に特化した指導員ならではの特徴です。板書の仕方や子どもへの指示の出し方の一つひとつでも、こんなふうに書くことで子どもからの見え方が変わる、あの場面ではこういう言い方にしたほうがより意図が伝わりやすくなるといったように、実践を通して具体的に何をどうすればよいかを示していただけるので、若手のスキルアップに大きな効果があります。また、指導力の高い方なので、ご自身の考えを押しつけるような形ではなく、教員に寄り添う形で丁寧に指導していただいており、指導を受けた教員には自ら次の実践につなげようという意識が生まれているようにも感じます」

若手教員の相談にのるのも指導員の重要な役割

指導の内容は、教科指導、生徒指導、給食・清掃指導、学級経営に関することなど多岐にわたりますが、若手教員の日常的な疑問や悩みを聞く相談役としての役割にも大きいものがあります。指導員は自身の経験を活かしながらともに考え、解決へ導くように努めています。

「指導を受けている若手にとっては、同僚でも管理職でもなく、それでいて自身の授業をよく見て理解してくれる存在ですから、身近な先輩教員という感覚になっていて、相談しやすい面があるのだと思います。なかには、精神的に大きな支えとなっている場合もあるようです。また、自身の頑張りを認めてもらうことで、自信がもてるようになり、それが子どもに対する指導にも活きてくることを期待しています。本校の今年度に限っても、指導員から指導を受けている教員の子どもへの関わり方、指示の出し方、板書の仕方などが、春先に比べて変容が見られると感じます」

若手教員育成指導員を導入して3年目。富士見市全体でみても、子どもがより真意を受け取りやすい指示の仕方に変わったり、心配のある子に対してより適切なアプローチや対応ができるようになったり、さらには自身の授業を客観的に見られるようになって余裕が生まれ、落ち着いて子どもと関われるようになったりなど、その取り組みが成果として表れているといいます。

「若手教員育成指導員」の主な指導・支援内容

●学級経営
みんなが楽しく 笑顔のあふれるクラス
・男女が仲良くするには?
・あいさつができる子にするには?
・みんなが仲良くできる学級活動は?
・ルールやきまりはいつ、だれがきめるの?

●授業
子どもたちが、目をキラキラ輝かせる楽しいわかる授業!!
・効果的な発問とは?
・個別支援は、どこまでやればいいの?
・板書の構造化と言うけれど、どういうこと?
・教材は、どのようなものを選べばいいの?

●給食・清掃指導
自分たちで手際よく行動できるクラス
・食べる時間がなくなっちゃうけど?
・協力して配膳するには?
・楽しく給食を食べるには?
・てきぱきと協力してそうじできるには?

●生徒指導
いじめのない、自己指導能力の育成
・いじめかなと思った時にまずやることは?
・お互いを認め合えるクラスにするには?
・厳しくすれば、規律ある態度になるの?
・叱ることと怒ることは、どう違うの?

●疑問・悩み等
お悩みスッキリ解消
・学習指導案を書くポイントは?
・宿題は、どのくらい出せばいいの?
・保護者には、どう接すればいいの?
・校務分掌はどう進めるの?
etc

取材・文/藤沢三毅(カラビナ)

『総合教育技術』2019年7月号より

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