入学予定者の顔合わせを行う【あたらしい学校を創造する #22】

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あたらしい学校を創造する〜元公立小学校教員・蓑手章吾の学校づくり【不定期更新】
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蓑手章吾

先進的なICT実践と自由進度学習で注目を集めた元・小金井市立前原小学校教諭の蓑手章吾(みのて・しょうご)先生による連載です。公立学校の教員を辞して、理想の小学校を自らの手でつくるべく取り組んでいる蓑手先生に、現在進行形での学校づくりの事例を伝えていただきます。今回は、入学予定者の顔合わせについてお話ししていただきました。

連載【あたらしい学校を創造する ~元公立小学校教員の挑戦~】
蓑手章吾(HILLOCK諸島部スクールディレクター)

入学予定者の集いで感じたこと

入学予定者が決まってからは、「入学予定者の集い」というものを月に1回行っています。

1回目は、土曜日のお昼に実際にスクールに集まってもらいました。「プロジェクト・アドベンチャー」という、遊びや体験を通してコミュニケーションを活性化するアメリカ発祥のワークで関係づくりをしました。こちらの想定を軽く超えているなと感じるくらいに子供たちがすごく自由だという印象で、これは楽しい学校になりそうだと予感させてくれました。

2回目はオンラインミーティングで、親御さんもなるべく一緒に参加してもらい、自己紹介ゲームをやりました。子供たちと同じように、保護者にも自己紹介をしてもらいました。自分のお気に入りのものを見せてもらうようにお願いすると、親御さんがゴルフクラブを見せたりするなどして話が弾みました。それから、自分にまつわる4つのキーワードを書いてもらった中から一つを選び合って、詳しく話していただくことをしました。ある親御さんは、ビールの魅力について語ってくれましたね。

ヒロックでの様子

保護者をどのように巻き込んでいくか

僕らは、子供たちが友達の親を知ることは重要だと考えています。「○○ちゃんのお父さんって、なんかおもしろいよね」「○○ちゃんのお母さんって、お菓子をつくれるでしょう」と語り合える関係性を、子供にも保護者にもつくっていきたい。これは公立校ではなかなかできません。僕らは、保護者をどのようにスクールに巻き込んでいくかということをずっと考えていますが、このような学校づくりは、おそらくヒロックの規模だからできるという部分があります。

保護者同士の関係性でいえば、入学予定者の18人のうち、ヒロック幼稚部から上がってきた内部進学でお母さん同士がつながっている子が6人、新規入学が12人です。内部進学の子たちだけで固まることをちょっと心配していましたが、そんなこともなく、最初から打ち解けた感じでしたので、それは杞憂に終わりました。共働きの家庭と専業主婦の家庭は半々くらいです。

往々にして保護者会というと母親中心という印象ですが、「入学予定者の集い」には、ほとんどの父親も参加してくれました。それは、選考時から、なるべく両親そろってということをお願いしていたのが影響しているかもしれません。

父親にも面談に参加してもらうことは、僕らが重要視したところなんです。母親だけが子供の教育に突っ走ってしまう家庭もあるので、そこは注意しました。母親のみの関与だと持続しないと思うからです。子供の今後6年間を決める大事な場面ですから、父親が学校や学びに対してどのように考えているのかというのは、僕らとしても気になりました。でも、ほとんどのご家庭の父親が積極的に参加してくださるというか、むしろどんどん手伝いたいとおっしゃっていただいたので、そこはすごくありがたいと思っています。

次回は、大人たちを巻き込んでいく枠組みとしての「バディ・クラブ」と、まもなく発足予定の「学びの研究所」について話します。

〈続く〉

蓑手章吾

蓑手章吾●みのて・しょうご 2022年4月に世田谷に開校するオルタナティブスクール「HILLOCK初等部」のスクール・ディレクター(校長)。元公立小学校教員で、教員歴は14年。専門教科は国語で、教師道場修了。特別活動や生活科・総合的な学習の時間についても専門的に学ぶ。特別支援学校でのインクルーシブ教育や、発達の系統性、乳幼児心理学に関心をもち、教鞭を持つ傍ら大学院にも通い、人間発達プログラムで修士修了。特別支援2種免許を所有。プログラミング教育で全国的に有名な東京都小金井市立前原小学校では、研究主任やICT主任を歴任。著書に『子どもが自ら学び出す! 自由進度学習のはじめかた』(学陽書房)、共著に『知的障害特別支援学校のICTを活用した授業づくり』(ジアース教育新社)、『before&afterでわかる! 研究主任の仕事アップデート』(明治図書出版)など。

連載「あたらしい学校を創造する〜元公立小学校教員の挑戦」のほかの回もチェック

第1回「あたらしい学校を創造する」
第2回「ちょうどいい3人の幸運な出会い」
第3回「なぜオルタナティブスクールなのか」
第4回「多数決に代わる『どうしても制度』とは」
第5回「自分たちのスクール憲法をつくる!」
第6回「スクール憲法の条文づくり」
第7回「教師と子供をどう呼ぶべきか」
第8回「模擬クラスで一日の流れを試す」
第9回「学年の区切りを取り払う」
第10回「学習のロードマップをつくる」
第11回「教科の壁を取り払う」
第12回「技能の免許制を導入する」
第13回「カリキュラムの全体像を設計する」
第14回「育むべき『学力』について考える」
第15回「自由進度学習をフル活用する」
第16回「保護者の意識と学校の理念を一致させる」
第17回「クラウドファンディングでお金と仲間を集める」
第18回「クラウドファンディングでモノと人を募る」
第19回「体育の授業目的と方法を再定義する」
第20回「道徳教育の目的と手法を再定義する」
第21回「入学希望者の選考を行う」

※蓑手章吾先生へのメッセージを募集しております。 学校づくりについて蓑手先生に聞いてみたいこと、テーマとして取り上げてほしいこと等ありましたら下記フォームよりお寄せください。
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取材・構成/高瀬康志 写真提供/HILLOCK

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