ユニバーサルデザインを取り入れた教室環境の工夫
すべての子供が「わかる・できる」をめざした学習を行うには、子供が安心して過ごせ、学習に集中して取り組むことのできる環境が必要です。ユニバーサルデザインの視点を取り入れた環境を整えることで、配慮の必要な子供にとっても集中しやすくなります。
執筆/福岡県公立小学校教諭・伊澤直美
目次
情報(刺激)のコントロール
黒板回りはシンプルに(視覚的な刺激)
様々な掲示物を貼ることは、子供の学習の集中を妨げる刺激となってしまうこともあります。刺激の少ない環境であれば、学習中、黒板に向かって集中しやすくなります。
- 黒板の回りにはできるだけ必要な掲示のみにする。
- 貼るときはシンプルなものに限る。
- 黒板の掲示物は使うときだけ貼るようにする。
椅子の足にテニスボール等(聴覚的な刺激)
学習に集中しやすい静かな環境にするために、音を出にくくすることができます。
音が出ないように立ったり座ったりすることの必要性や、音を出さないように椅子や机を動かすことの指導も大切です。
予定の見通し
1日の学習予定や学習における見通しを持つことは、子供が安心して過ごすことにもつながります。
その日の時間割
後ろの黒板に、各教科等のプレートをつくり、毎日貼り変えます。
デジタルタイマーの活用
学習中、時間の区切りを意識して学習に取り組めるように、活動時間を予告してタイマーで知らせます。
教室の整理整頓(構造化)
ものの位置をはっきりさせておくことで、子供自身が身の回りの環境を整えることができます。
机の位置を決める床の目印
机がきれいに並んでいる状態で、床に机の位置の目印となる線を油性ペンやテープなどで付けていきます。
授業の始めや終わり、朝の会や帰りの会などの機会に、机を揃える習慣をつけることにつなげることができます。
鉛筆や消しゴムを置く位置
机上に何をどのように置いたらよいのか、見本として提示しましょう。
提出物を入れるかごのラベリング
子供が「どこに」「何を」「どのように」置くのか、ひと目でわかるようにすることが大切です。
混乱せずに学習や作業に取り組むことができます。
個人ロッカーに学習道具を整理する箱を準備することも有効です。
学習中の発言のスタイル
話すときのルールを視覚的に示し、理解しやすくします。話し方のスタイルは、子供が自分の考えを整理し、友達の考えにつなぐのに役立ちます。
イラスト/北澤良枝
『教育技術 小五小六』2020年11月号より