現場教師の教育委員会へのイメージが良くない理由<アンケート結果>

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連載マンガ「闘う!教育委員会」

「教育委員会」のお仕事について、みなさんはどれくらい知っていますか? どんな印象がありますか? この記事では、教育委員会が舞台のマンガ『闘う!!教育委員会』の連載に関連して、以前サイト内で募集したアンケートの結果を共有します。教育委員会も、管理職も、現場教員も、目指すところはきっと同じ。お互いの視点を尊重して、より良い教育現場をつくっていきたいですね!

闘う!!教育委員会
マンガ/森本一樹

この記事は、2021年にみんなの教育技術内でおこなった「教育委員会イメージ調査アンケート」をまとめたものです。(回答数:163名。)

現場教師にとって「教育委員会」のイメージは良くない!?

Q、「教育委員会」 (教育委員会事務局。以下「教育委員会」で統一) へのイメージを教えてください。

「とてもよいイメージがある」「よいイメージがある」の合計48人に対し、「とても悪いイメージがある」「悪いイメージがある」の合計79と大幅に上回る結果に……。
 また、「どんな仕事をしているかわからない」という意見も非常に多く見られました。教育委員会で働く先生方も、もとは同僚のはずですが、現場教師にとっては近くて遠い存在になってしまっているのかもしれませんね。

グラフ

悪いイメージがあると答えた方の理由

・市区町村教育委員会が都道府県教育委員会からの情報をそのまま流して調査やら周知などが現場に大量に降ってくる。精査してフィルターの機能を果たしてほしい。 都道府県教育も文科省の情報発信をすべて市区町村教育に降ろさないでほしい。

調査や周知が多い、役に立っているという実感がない、上意下達的であるという意見はこのほかにも多く見られました。

・子どもと直接関わる機会が少ないのに教育のことについて考えていかないといけないから。行政と教育のはざまで、うまくいかないことの処理で、板挟みになっているイメージがある。

・無理難題の業務を現場におしつけてくるから。仕事量は減らさないのに残業をへらせと、特に打開策も挙げずに指摘してくるから。

「現場のことをわかっていない」という意見も多数ありました。

・電話で度々お話しする機会がありますが、業務の多忙からか、真摯に対応いただけないことがほとんどだから。イライラしながら接してこられたり、はねつけてくる方もいらっしゃいます。
・ 教育委員会で仕事をされている方を知っています。 終電で帰宅したり、休日返上の出勤をしたり、とにかく過酷な勤務状態であることから、よくないイメージがあります。

「忙しい」というイメージを持たれている先生も多くいました。

よいイメージがあると答えた方の理由

・ 教育委員会に勤めている指導主事に授業のアドバイスをいただくなど、お世話になっているから。
・ 相談すると現場によい助言をくれる。

相談にのってもらえた、知り合いが働いているなど、教育委員会と心理敵な距離が近い先生は好意的な印象をお持ちのようでした。
個人的には同士だと思っているが、悪いイメージに代表されるような印象を与えてしまうのは、システム上の問題も大きいのではないかという指摘もありました。

また、このような意見もありました。

・働く前のイメージは怖くて、威圧的だったのですが、実際に働いてみると全く違ったので、それらを踏まえて「よいイメージがある」にしました。

Q、教育委員会で働いたことはありますか?

グラフ

みんなの教育技術ユーザーの先生は、教育委員会で働いた経験はあまりない方が多いようです。
現場教師のイメージが正しいかどうかは、実際に働いてみないとわからないことも多いのかもしれませんね。

実際に働いたことのある方から寄せられた、印象に残っているエピソードをご紹介します。

・臨時休校をうけて現場に学習動画の作成をお願いした時のことです。反発されると思っていたのですが、「子供のためになるなら喜んでやりたい」という声をいただきました。また、子供たちや一般の方々から感謝のお声をいただきました。子供たちのために働いていることを、現場の先生や子供たち、保護者の皆様から、あらためて教えていただいた瞬間でした。忘れられません。

・かつて県教育庁に所属していた者です。当時の教育長がいろいろ意見があれば言ってきてくださいと新任指導主事向けの訓話の中で発言していました。それを真に受けて、県庁へ乗り込んで業務に関する率直な自分の意見を言おうと所属長に伝えたところ、所属長や県教育庁の課長に全力で阻止された……という経験があります。

・保護者からのご意見的な電話がよくかかってくる事です。テレビやニュースではそういう事があると知っていたのですが、実際にそんな事あるのか? と、疑っていたところ、本当にかかってくるのを見て驚きました。しかも、結構な頻度で来るのでさらに驚いています。

・担当する学校へ出向いて研究授業の案を一緒に考えました。当日、狙いどおりの反応をした児童を見て、授業者の先生と喜んだことを覚えています。


いかがでしたか? 実際に働いてみると、また違った世界が見えてくるのかもしれませんね。
みんなの教育技術では、そんな「教育委員会のリアル」について、マンガで楽しくお伝えできたらと思っています。さあ、主人公・ちさとと一緒に、その内幕をのぞいてみましょう!


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