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キレイゴト語り合っていますか?【赤坂真二「チーム学校」への挑戦 #25】

連載
赤坂真二の「チーム学校」への挑戦 ~学校の組織力と教育力を高めるリーダーシップ~

上越教育大学教職大学院教授

赤坂真二

多様化、複雑化する学校の諸問題を解決するためには、教師一人の個別の対応ではなく、チームとしての対応が必須である。「チーム学校」を構築するために必要な学校管理職のリーダーシップとは何か? 赤坂真二先生が様々な視点から論じます。
第25回は、<キレイゴト語り合っていますか?>です。

執筆/上越教育大学教職大学院教授・赤坂真二

教育効果の高い学校

お陰様で本連載も3年目に入りました。よろしくお願いいたします。私は大学院では、教室実践における指導的役割を担うことができる教師を育てるための「教育臨床コース」と学校教育を自ら企画・運営する役割を担う教師を育てるための「教育経営コース」の2つのコースの授業を担当していました。後者では「効果的な学校づくり論」という授業を担当しました。この授業の受講者は、将来的には学校管理職になるであろう皆さんです。毎年10人から15人の少人数で、本音のディスカッションをしながら進めます。

アメリカのG・ウィーバー、ロナルド・エドモンズ、イギリスのマイケル・ルッター、ピーター・モーティモアらは、人種・階層的背景による学力格差を克服し得る学校の力を「学校効果(school effectiveness)」と呼び、これを測定しようとしました※1。アメリカ連邦政府による「教育機会均等調査」(通称「コールマン・レポート」1966)において、学力格差の大部分が人種・階層など家庭背景的要因に規定されていて、学校要因がほとんど関与してないことが報告されました※2。日本でも、近年、社会経済的背景(家庭所得、父母の学歴を合成した指標:SES)と学力の相関に関する調査がなされ、SESが高いほど、学力が高いことが報告されたことは、多くの皆さんがご存知のことと思います※3。アメリカばかりか、わが国でも、公立学校の教育効果に疑問符が打たれたわけです。そもそも公立学校とは、子どもたちの社会的不平等を解消するためにつくられた装置のはずなのに、不平等の再生産に寄与してしまっていることがわかったのです。

私の授業では、こうした社会的、経済的な背景による格差を克服して教育的効果をあげている学校を「効果的な学校」と定義して、そのために各受講者が、自分の勤務校で何ができるかを考えてきました。毎回、私の方からお題を出し、短い時間ですがディスカッションをしてきました。例えば、次のようなものです。

「『先生、だって、親の学歴と収入が子どもの学力を決めるんでしょ? 俺の親、大した学歴ないし、家、金持ちじゃないし、勉強したって意味ないじゃん』あなたはこの問いにどう答えますか?」

これは、スクールリーダーとしてというよりも、学級担任として考える問いだったかもしれませんが、ディスカッションとしては盛り上がりを見せました。勿論、答えは自分の思いだけではだめです。これまで学んだことを含めて何らかの根拠を示さなくてはなりません。先ほどのような調査研究が、一般的に知られるようになると、子どもたちからそうした問いを投げかけられるかもしれませんね。皆さんなら、どうお答えになりますか。

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