学級担任の時短術⑤「夏休みにしっかり時短貯金しよう」

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小学校教員の「学校における働き方改革」特集!

千葉県公立小学校校長

瀧澤 真

仕事を効率化しつつも、授業や学級経営の質が落ちないような時短術について、毎月22日公開、全12回で連載していきます。第5回のテーマは、夏休みの過ごし方に関する提案です。

執筆/千葉県公立小学校校長・瀧澤真

夏休みは、振り返り&研修会で力量を高めよう

夏休みが近付いてきましたね。日直勤務や研修会、会議などがあり、休みといってもなかなか忙しいとは思います。それでも、他の時期に比べれば、自由な時間がとれるでしょう。

そこで、夏休み期間中に、できるだけ二学期に向けての準備をしておくことをおすすめします。それにより、9月以降の生活にゆとりがもてるようになるからです。

①学級経営用ノート、教科指導用ノートの整理と二学期の仕込みをする

連載第1回で、学級経営用ノート、教科指導用のノートを用意して、使えそうなネタを貼っていこうと提案しました。

夏休み中にまずやってほしいのは、実践した結果がどうだったのかを、空いている右側のページに書き込むことです。実践しながら反省が書き込めていた場合はよいのですが、忙しさのために、おろそかになっていることも多いでしょう。

そこで、夏休みにまとめて振り返りましょう。ここで実践を整理しておくことが、次の時短にもつながります。振り返りのポイントは、子供の反応や修正した点、次回は何を改善したいかなど、思い付くものでかまいません。

コンピュータなどで教材を作成した場合は、データの整理もしておきましょう。フォルダを整理し、次回実践するときに検索しやすくしておきます。

同時に、二学期に使えそうな資料を集めましょう。そして、4月と同じようにコピーしたものをノートの左側に貼っていきます。

また、過去のパソコンデータを検索し、使えそうなものを専用のフォルダにコピーしておくこともおすすめです。いざ必要なときにあちこち探し回る時間がもったいないので、使うかもしれないと思うデータは、どんどんコピーしておきましょう。

②研修会に参加する

何度も繰り返しますが、教師としての力量を高めることが、結局は時短につながります。また、力量アップのためには、研修が欠かせません。

そのため、教育委員会主催などの半ば強制的な研修が夏休みには多いと思います。教育委員会主催の研修も、充実したよいものが多くなってきました。しかし、強制的なものは受け身になりがちです。ぜひとも自分で選んで、積極的に研修に参加しましょう。

民間の教育団体などが主催する研修は有料ですが、講師が充実していますし、選択の幅が大きいので、ぜひとも一度は民間の研修会にも参加してほしいと思います。自腹を切れば、それだけ真剣に研修に参加できますし、つまらなければ途中で帰ることもできます。

また、コロナ禍により、オンライン研修が充実してきました。時間がない方にはオンライン研修は非常に有効です。これまで家庭の事情などで研修会に参加できなかった方でも、参加しやすくなっています。未体験の方はぜひ挑戦してみましょう。

夏休みに力量アップをめざして、オンライン研修で学ぶ教師。

研修会には参加しにくいという方は、教育書を何冊か読みましょう。インプットがなくては、よいアウトプットはできません。

なお、夏休み中の仕事はとにかく前半に集中してこなすことが大切です。休み中にまんべんなくやろうとしても計画倒れになってしまったり、お盆休みなどで長く休むと、やる気がなくなってしまったりすることもあります。一度乱れたペースを戻すのは大変です。そうなってしまったら、むしろのんびり過ごすほうがリフレッシュできて、仕事によい影響をもたらします。

夏休みの課題を効率的に点検しよう

二学期が始まると、すぐに行うことになるのが「夏休みの課題」の点検です。では、夏休みの課題の目的はなんでしょうか。ざっと考えると次の三つがあります。

・休み中の家庭での過ごし方や取組状況を把握する(作品や日記などで把握できる)。
・学習状況を把握する(どの程度定着しているのか把握できる)。
・夏休みのがんばりを認め、次へのやる気を高める。

こうしたことを押さえたうえで、夏休みの課題の点検をしていきましょう。

例えば、国語や算数のワーク、プリントなどを宿題で出している場合、学習状況の把握が目的ならば、家庭に協力してもらい、間違ったものは再度挑戦することまでを宿題とすべきです。そして、提出されたワークをざっと見て、一人一人の課題をつかむことが大切です。すべてを教師が採点したり、コメントを書いたりする必要はないでしょう。

夏休みの課題の点検から、その子にどんな支援が必要かを見とる教師。

一方で、子供が描いてきた絵などの作品を認め、やる気を高めたい場合には、やはりコメントが必要です。そうした作品へのコメントは、教師だけが書くのではなく、「子供同士でも見合う時間」をとりましょう。

子供同士の学び合い、関わり合いも重要です。そこで夏休み作品展として、子供が互いに作品を発表したり、見合ったりする時間をとります。教師もその際に作品を見て回り、鑑賞カードにコメントを書いていけばよいのです。こうすれば、放課後に時間をかけて行う必要がなくなり、時短にもなります。

イラスト/バーヴ岩下

『教育技術 小一小二』2021年8/9月号より

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