意欲的に取り組める!深まる!!「自主学習」のポイント
子供が自ら進んで自主学習・家庭学習に取り組めるようにするためのポイントを解説します。
執筆/福岡県公立小学校教諭・西村仁志
目次
楽しみながらできる家庭学習にしよう
「最近家庭学習をすることが楽しいです」
こんな子供たちの声が聞けるとうれしいですよね。
しかし、実際には「勉強は何かを覚えることだから嫌い」という子供たちの声を聞くことがあります。
暗記をすることや反復練習の勉強の仕方しか知らないことが問題だと感じています。このままでは、子供たちの家庭学習のやる気は高まっていきません。
そこで、子供たちがいきいきと楽しんで行える家庭学習に取り組んでみましょう。家庭学習を続けることで、「自分から勉強する力」を身につけることになります。
家庭学習の内容例
このような家庭学習をさせたら、子供たちが喜んで取り組みます。
国語科
- 漢字の書き取りをする
- 音読の工夫を書き込む
- 漢字の成り立ちを調べる
- 漢字の間違いやすいポイントを書き込む
- 筆者の関連図書を並行読書し、考えをまとめる
算数科
- 自分で問題づくりをする
- お店に使われている割合を見つけ、計算する
理科
- 実験器具の名称をイラストでまとめる
- 理科のコンクールへ応募する
- 理科に関する偉人を調べる
社会科
- 歴史上の人物について功績をまとめる
- 生活と憲法との関わりについて調べる
その他
- 体育で習った技を練習する
- 調理をして、その過程をまとめる
- 家で体操に取り組む
- リコーダーの練習
- 新聞記事を読み、感想をまとめる
自主学習の内容を考えることが苦手な子供には、まずは対話して、できそうなことを引き出してみましょう。
「教師がさせる」学習から「子供が進める」学習へ
子供たちが家庭学習に進んで取り組むようになるには、「自分で決める」ことが大切です。
例えば、下の計画表のようなものを活用するとよいでしょう。
- 何をやったらいいかわからないという子供がいることを想定して、学校で自学の計画表を書く時間を設定してみましょう。
- 自学の内容を教師から示す前に、「どんな内容ができるかな」と投げかけ、子供たちから内容を引き出していくことも大切です。
- 自分が家で使える時間を見えるようにすることで、自分に合った計画を立てることができます。
- 最初は、自分で振り返ることは難しいので、教師や友達との関わりの中で、しだいに自分を見つめる力をつけていきます。
家庭学習と授業のつながり
子供たちのやる気が高まると、家庭学習の「量」が増えます。さらに、授業とリンクさせると、家庭学習の「質」も高まります。そのための具体的な方法を紹介します。
次の単元計画は社会科の授業での例です。
調べ学習における自主学習の例
- ノートに調べたことをまとめる
- 教科書や資料集の根拠となる部分に付箋紙を貼り、理由をメモする
家庭学習が生かされる話合い場面
子供たちが調べてきたことを発表した際には、先生が「自分で調べたことを授業とつないで発表したことが素晴らしい」と褒めると、さらにやる気が高まります。
振り返りの場面
学習前と比べた理解の深まりや、単元を通して学んだことなどを振り返らせます。新たな疑問や気づきから、家庭学習へ発展するきっかけになります。
家庭学習のやる気を高める
子供たちが家庭学習へのやる気を高めたり、質を高めたりするためには、友達や教師との関わりがポイントとなります。
教師の関わり
自主学習ノートの振り返りについて対話したり、コメントを書いたりして「もっと頑張ろう」という思いを持たせます。
友達との関わり(自学交流会)
朝の時間などを活用してグループごとに自学の発表をする。頑張ったことや工夫したこと、苦労したことや困ったことなどを話し合います。
一人ひとりに応じた教師の関わり
子供たちの家庭環境は全員違います。その子の悩みや困っていることに応じた温かい言葉がけを行うことが大切です。
内容を決めることができない子への関わり
〇〇さんは料理のお手伝いをしたと言っていたよね。それをどのようにしたのかノートに書いて教えてくれないかな。これも立派な自主学習ですよ。
遅くまで習い事をしている子への関わり
バスケットボールでの自分の課題や頑張っていること、試合での反省、これから伸ばしたいことを記録していくことも自学です。休みの日もよく取り組めているから、この調子で頑張ろうね!
塾でよく勉強している子への関わり
塾でよく勉強していますね。これからも塾での頑張りを教えてくださいね。塾以外の学習でテーマを決めて長い期間取り組む学習にも期待しています。
塾でよく勉強していますね。これからも塾での頑張りを教えてくださいね。塾以外の学習でテーマを決めて長い期間取り組む学習にも期待しています。
イラスト/種田瑞子 横田智美
『教育技術 小五小六』2020年9月号より