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長引くコロナ禍!子供のストレスとメンタルケア術

長引くコロナ禍で、特に低学年の子供に表れがちな問題行動とその対応法、それぞれの子供に寄り添いながら心を育むメンタルケアについて、臨床心理士と上級教育カウンセラーの資格ももつ岩田将英先生が解説します。

執筆/千葉県公立小学校教頭・ 岩田将英

朝の健康観察を言葉と手のジェスチャーで応える子供のイラスト。

マスク生活によってできた「自分の殻」を、ジェスチャーで割る

「あれ? 何かおかしいぞ?」。全校に関わっ てい管理職だからこそ、気付く供の変化があります。それは子供のあいさつの声が小さい、もしくは返ってこないという現象です。

マスクを常に着けていることで、コミュニケーションを取るうえで大切な顔の表情が、目元だけになってしまいます。低学年の子供は言葉によるコミュニケーションがまだ上手にできないので、表情から得られる情報が減ってしまうと、コミュニケーションがスムーズにできないのです。

子供の感覚としては、相手の反応が分からないので、自分の話が伝わっているのかどうかが心細くなったり、話すのに勇気が必要になったりします。

さらに、マスクを着けていることの物理的な弊害として、声が小さく、くぐもってしまうことが挙げられます。子供のちょっとしたつぶやきや、恥ずかしがりやの子供がちょっと勇気を出して発言した内容などを、教師は聞き取れないのです。

つまり、マスクを越えて相手に声を届けるには、今まで以上の大きな声と、相手に伝える強い動機と、反応の分からない相手に自分の心を開く勇気が必要になります。したがって、コミュニケーションを取るための心のハードルが上がるので、「しゃべらなくてもいいかな」「あいさつが面倒くさい」という子供が増えるのです。

その一方で、マスクの着用に関係なく元気な子供がいて、いつも賑やかな学級もあります。だからこそ、発言が少なくなっている子やコミュニケーションを取ることが面倒になっている子を見落としてしまうことがあるのです。

顔の表情がマスクによって読み取れないことを補う方法として、ジャスチャーを活用します。Zoomなどのテレビ会議においても参加者の反応として推奨されているように、OKだったら手や指で丸をつくる、親指を立てる、拍手をするなどです。また、感情表現を示す手話を紹介して、福祉教育とつなげるという方法もあります。

保護者の不安の軽減が、子供の不安の軽減につながる

緊急事態宣言が出た地域をはじめとして、感染を恐れて欠席する子供が出ました。登校をするかしないかについては家庭の判断であるので、学校がどうこう言うものではありません。しかし、過度に感染を恐れるため、結果として不利益を受けている子供がいるのも事実です。

多くの場合、子供自身が感染を恐れているというよりは、その保護者が感染を恐れていたり、学校の感染予防対策を信頼していなかったりすることに起因するようです。ですから、何を恐れて登校を控えているのか、具体的なポイントを明らかにして、そのポイントに対して学校がどのような対策を取っているのかをていねいに説明すると、登校を再開することがあります。

私の経験では、「授業中に体調に変化が出た子供の対応に不安がある。だから学校には行かせたくない」という保護者がいました。「緊急事態宣言下においては、体調が悪い場合、無理に授業を受けさせるのではなく、すぐに保健室にて検温などの対応をし、その後、改善が見られない場合には、保護者に引き渡して下校してもらう」という学校の対応方針を伝えたところ、「とても安心しました」という感想を述べた保護者がいました。このことからも、私たち教職員が当然と考えている対応について、保護者は思いのほか知らないということが往々にしてあることが分かります。

また、テレビやネットの情報に過剰に反応して、学校の集団生活におけるリスクについて漠然とした恐怖を抱いている子供や保護者が少なくありません。管理職の指示を仰ぎながら、国や地方自治体から示されている科学的に正しい情報と学校の方針を伝え、子供や保護者の不安を取り除く必要があります。

「デジタル・デトックス」という言葉があります。SNSやテレビのワイドショーを見ない時間をつくるという提案を、可能ならば試してみるのもよいと思います。

明確な学校の方針が保護者に安心を与え、子供が元気に登校するイラスト。

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