「国際バカロレア(IB)」とは?【知っておきたい教育用語】
海外で学ぶ人たちを増やすために、日本では世界の大学への入学資格を得るための教育プログラムとして「国際バカロレア(IB)」が注目されています。しかし、その所期の目的は、国際的な視野をもち、より平和な世界の実現に貢献できる人を育てることにあります。
執筆/筑波大学助教・菊地かおり

目次
国際バカロレア(IB)の4つのプログラム
国際バカロレア(International Baccalaureate: IB)は、国際バカロレア機構(本部:スイス・ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラムです。現在、以下の4つのプログラムが提供されています。
●初等教育プログラム(Primary Years Programme: PYP、3~12歳対象)
●中等教育プログラム(Middle Years Programme: MYP、11~16歳対象)
●ディプロマ・プログラム(Diploma Programme: DP、16~19歳対象)
●キャリア関連プログラム(Career-related Programme: CP、16~19歳対象)
ディプロマ・プログラム(DP)はもっとも歴史のあるプログラムで1968年に創始され、中等教育プログラム(MYP)は1994年、初等教育プログラム(PYP)は1997年に始められました。キャリア関連プログラム(CP)は、2012年に開始されたキャリア・職業教育とDPの一部科目を履修する新しいプログラムです。
「国際バカロレア資格」と「国際的な視野」
国際バカロレア(IB)が誕生した背景には、多様な国籍をもつ子どもたちのための世界で通用する大学入学資格、および国籍や文化の異なる子どもたち同士の相互理解に向けた教育が必要であるという認識がありました。
それゆえ、IBの教育プログラムの特徴の一つは、ディプロマ・プログラム(DP)において国際的に通用する大学入学資格「国際バカロレア資格」を提供していること、もう一つは、すべてのプログラムを通じて「国際的な視野」の育成を目指していることです。
「国際バカロレア資格」を取得するためには、ディプロマ・プログラム(DP)のカリキュラムを履修し、一定の成績を修めることが必要です。カリキュラムは、「言語と文学(母語)」「言語習得(外国語)」「個人と社会」「理科」「数学」「芸術」の6つの教科グループと、「知の理論」「課題論文」「創造性・活動・奉仕」の必修3要件からなっています。
「国際的な視野」の育成のために、すべてのプログラムの中核に「国際バカロレアの使命」が据えられています。そこには、国際教育の目的として「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、よりよい、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成」が掲げられています。