コロナ禍2年目 「子どもたちの学びを止めない」学校経営を目指して
新型コロナウイルスとの戦いも、早1年。収束への見通しがもてないまま、2度目の新年度を迎えることになります。コロナ禍のなかで過ぎた2020年度をどう振り返り、いかに2021年度に備えていけばよいか。そのポイントを考えます。
目次
この1年間に得た知見を2021年度の学校経営に生かす
新型コロナウイルスの国内での感染拡大が始まってから、早くも1年が経過しようとしています。2020年3月2日より、長いところではおよそ3か月にも及んだ休校措置。学校再開後も「学校の新しい生活様式」に基づく学校生活や、失われた授業時数の回復、また行事の縮小・中止など、学校現場もさまざまな対応に追われる1年となりました。
2021年に入ってからも、東京、神奈川、大阪、福岡をはじめとする11の都府県に緊急事態宣言が再発令されるなど、感染拡大「第3波」の勢いは止まらぬまま、変異種への懸念も高まるなど、収束の兆しはまだ見えません。
唯一、ワクチンの接種だけが希望の光ですが、国内での接種スケジュールもまだ定まっておらず(1月25日現在)、2020年同様、不安のなかで年度末を迎えることになりそうです。
混乱のなかで過ぎ去ったともいえる2020年度だけに、年度末の振り返りと新年度の準備もまた、例年以上に重要になります。各学年の学習内容はすべて教えることができたか、遅れが出ている場合はそれをどう解消するのか。卒業式や入学式、運動会、修学旅行、校外学習といった行事をどう予定するのか。校内での感染予防対策をどうとっていくのか。GIGAスクール構想に基づくICT活用学習をどう進めていくのか。2020年度に得た知見を生かしながら、あらためて新年度の方針を固めていく必要があります。
自らの教育活動を見直し、新しい教育のあり方を模索する
文部科学省では、地域の社会経済活動全体を停止するような場合でない限り、「学校のみを休業とすることは、子供の健やかな学びや心身への影響から、避けることが適切」であるとし、「臨時休校が必要な場合でも、保健所等と相談の上、学級や学年単位など必要最低限の範囲での休業」にとどめることを求めています(「小学校、中学校及び高等学校等における新型コロナウイルス感染症対策の徹底について[2021年1月5日/初等中等教育局長・スポーツ庁次長・文化庁次長連名通知]」)。
「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象区域拡大を踏まえた、小学校、中学校及び高等学校等における新型コロナウイルス感染症対策の徹底について(2021年1月14日文部科学省通知)」より
上に紹介するのは、文部科学省が示す、学校活動を継続するためのチェックリストですが、こうした基本をしっかりと押さえつつ、このコロナ禍においても子どもたちの学習機会を保障していくことが、学校に求められる最大の使命となります。
また、コロナ禍が長引けば長引くほど、子どもたちや教員のメンタルに及ぼす影響も懸念されます。「コロナ禍2年目」の学校経営においては、子どもたちの不安やストレスをどのようにケアしていくか、また教員たちの心身の負担をどう軽減していくかということも大きな課題となるでしょう。
このコロナ禍は、これまで行ってきた学校教育の意義やあり方をあらためて見直す機会であると同時に、新しい学校教育の姿を模索するチャンスでもあります。前向きな精神で新年度への準備を進めていきたいものです。
構成・文/葛原武史(カラビナ)
『総合教育技術』2021年3月号より