指導要録作成の要点を解説します!(新学習指導要領対応) 

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適切な指導を行うための基礎資料であるとともに、外部への証明となる公簿としても重要な役割をもつ「指導要録」。新学習指導要領の新しい観点別の評価・評定をしっかり踏まえて、学級担任が「指導要録」を作成するための要点を紹介します。

執筆/埼玉県公立小学校校長・櫻井誠

新学習指導要領のココを踏まえる!指導要録作成の要点

1 指導要録とは

指導要録は、学校教育法施行令第三十一条及び学校教育法施行規則第二十四条、第二十八条に規定されている学校に備えておかねばならない表簿です。公立学校の指導要録の様式は、教育委員会によって定められ、その様式が少しずつ異なっています。そのため、各教育委員会の示す様式や記載方法に則って作成する必要があります。

2 新学習指導要領の学習評価について

今回の学習評価の改善の基本的な方向性は次の三つの考えに立っています。

  1. 児童生徒の学習改善につながるものにしていくこと
  2. 教師の指導改善につながるものにしていくこと
  3. これまで慣行として行われてきたことでも、必要性・妥当性が認められないものは見直していくこと

この方向性のもとで、次のような改善点が示されています。

① 観点別学習状況の評価の観点を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の三観点に整理し、設置者においてこれに基づく適切な観点を設定すること。

② 「主体的に学習に取り組む態度」については、各教科等の観点の趣旨に照らし、知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組の中で、自らの学習を調整しようとしているかどうかを含めて評価すること。

③ 学習評価の結果の活用に際しては、各教科等の児童生徒の学習状況を観点別に捉え、各教科等における学習状況を分析的に把握することが可能な観点別学習状況の評価と、各教科等の児童生徒の学習状況を総括的に捉え、教育課程全体における各教科等の学習状況を把握することが可能な評定の双方の特長を踏まえつつ、その後の指導の改善等を図ることが重要であることを明確にしたこと。

3 「学籍に関する記録」(様式1)の記入のしかた

指導要録は大きく分けて「学籍に関する記録」(様式1)と「指導に関する記録」(様式2)の二つから構成されています。

学籍に関する記録については、原則として教育委員会が作成する学齢簿の記載に基づき、学年当初及び異動が生じたときに記入します。

⑴ 「児童」「保護者」の欄について、学齢簿に基づいて記載します。

⑵ 「入学前の経歴」については、小学校に入学するまでに在籍していた幼稚園、特別支援学校幼稚部、保育所または認定こども園等の名称及び在籍期間等を記入します。

⑶ 「入学・編入学等」の欄については、児童が新1年生として入学してきた場合に第1学年に入学した年月日を入学として記載し、そのほか在外教育施設などから編入学した際に必要事項を記載します。

⑷ 「転入学」の欄については、他の小学校などから転入学してきた場合についてのみ必要事項を記載します。公立小学校の場合、学籍の異動が生じるので、教育委員会の所定の手続き後の受け入れとなります。

⑸ 「転学・退学等」の欄については、他の小学校などに転学する場合は、学校を去った年月日を上部のかっこ内の年月日欄に、転学先の学校が受け入れた日の前日を下の年月日欄に記載します。また、転学先の学校名など必要事項を記入します。在外教育施設や外国の学校に入るなどのために退学する場合は、校長が認めた年月日及びその事由などを記入し、「転学」の文字を2本線で消します。「卒業」の欄は、校長が卒業を認定した年月日(原則として3月末)を記入します。

⑹ 「進学先」の欄については、進学先の学校名及び所在地を第6学年卒業時に記入します。

⑺ 「学校名及び所在地」の欄には、学校名、所在地を記入します。

⑻ 「校長氏名印、学級担任者氏名印」の欄については、年度当初に、校長の氏名、学級担任者の氏名を記入します。学年末、児童の転学・退学の際には校長、学級担任者のそれぞれについて押印します。また、同一年度内に校長または学級担任者が代わった場合には、臨時的任用の教員が担当した場合も含め後任者の氏名を併記します。

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4 「指導に関する記録」(様式2)の記入のしかた

小学校における指導に関する記録については、各教科の学習の記録(観点別学習状況及び評定)、道徳科の記録、外国語活動の記録、総合的な学習の時間の記録、特別活動の記録、行動の記録、総合所見及び指導上参考となる諸事項並びに出欠の記録について学年ごとに作成することになっています。

⑴ 各教科の学習の記録

①観点別学習状況

小学校における観点別学習状況については、小学校学習指導要領に示す各教科の目標に照らして、その実現状況を観点ごとに評価し記入します。その際、「十分満足できる」状況と判断されるものをA、「おおむね満足できる」状況と判断されるものをB、「努力を要する」状況と判断されるものをCのように区別して評価していきます。

②評定

小学校における評定については、第3学年以上の各教科の学習の状況について、学習指導要領に示す各教科の目標に照らして、その実現状況を総括的に評価します。各教科の評定は、小学校学習指導要領に示す各教科の目標に照らして、その実現状況を「十分満足できる」状況と判断されるものを3、「おおむね満足できる」状況と判断されるものを2、「努力を要する」状況と判断されるものを1のように区別して評価していきます。

⑵ 特別の教科 道徳

学習活動における児童の学習状況や道徳性に係る成長の様子を個人内評価として、文章で端的に記述します。

⑶ 外国語活動の記録

外国語活動の記録については、評価の観点を記入したうえで、それらの観点に照らして、児童の学習状況に顕著な事項がある場合にその特徴を記入するなど、児童にどのような力が身に付いたかを文章で記述します。

⑷ 総合的な学習の時間の記録

この時間に行った学習活動及び各学校が自ら定めた評価の観点を記入したうえで、それらの観点のうち、児童の学習状況に顕著な事項がある場合などにその特徴を記入するなど、児童にどのような力が身に付いたかを文章で記述します。

⑸特別活動の記録

各学校が自ら定めた特別活動全体に係る評価の観点を記入したうえで、各活動・学校行事ごとに、評価の観点に照らして十分満足できる活動の状況にあると判断される場合に、○印を記入します。

⑹ 行動の記録

行動の記録については、各教科、道徳、外国語活動、総合的な学習の時間、特別活動やその他学校生活全体にわたって認められる児童の行動について、各項目の趣旨に照らして十分満足できる状況にあると判断される場合に、○印を記入します。

総合所見及び指導上参考となる諸事項

総合所見及び指導上参考となる諸事項については、児童の成長の状況を総合的に捉えるため、次の事項などを文章で記述します。

①各教科や外国語活動、総合的な学習の時間の学習に関する所見
②特別活動に関する事実及び所見
③行動に関する所見
④児童の特徴・特技、学校内外におけるボランティア活動など社会奉仕体験活動、表彰を受けた行為や活動、学力について標準化された検査の結果等指導上参考となる諸事項
⑤児童の成長の状況にかかわる総合的な所見

記入に際しては、児童の優れている点や長所、進歩の状況などを取り上げるとともに、児童の努力を要する点などについても、その後の指導において特に配慮を要するものがあれば記入していきます。また、学級・学年など集団の中での相対的な位置付けに関する情報も、必要に応じ記入します。

通級による指導を受けている児童については、通級による指導を受けた学校名、通級による指導の授業時数、指導期間、指導の内容や結果などを記入していきます。

⑺ 出欠の記録

出欠の記録に関しては、次の事項を記入します。

①授業日数
②出席停止・忌引等の日数
③出席しなければならない日数
④欠席日数
⑤出席日数
⑥備考として出席停止・忌引等の日数に関する特記事項、欠席理由の主なもの、遅刻、早退等の状況など

子供たちの顔

イラスト/畠山きょうこ

『教育技術 小三小四』2021年3月号より

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