小2道徳「がんばれ ポポ」指導アイデア

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執筆/埼玉県公立小学校教諭・山田敦子
監修/文部科学省教科調査官・浅見哲也、埼玉県公立小学校校長・藤澤由紀夫

小二道徳「がんばれ ポポ」指導アイデアのイメージ画像
写真AC

授業を展開するにあたり

使用教材:「がんばれ ポポ」(学研みらい)

努力を続ける大切さについて考える機会に

二年生に進級した頃の子供は、「新一年生のお兄さん、お姉さん」という自覚が芽生えて、何事にも意欲的に取り組んでいこうと心を弾ませています。

しかし、しばらくすると学習を難しく感じたり、生活面でも思うようにいかなかったりしてくじけてしまう子供も見られるようになってきます。

「がんばれ ポポ」は「お母さんと離れることを嫌がっていたたんぽぽのポポが、ある日風に乗って飛び立ち、つらいことを耐え、春にはきれいな花を咲かせる」という話で「希望と勇気、努力と強い意志」について学習できる教材です。

本校の年間指導計画では、ちょうど子供の意欲が低くなり始める5月に計画されています。この授業を通して、改めて子供が自分のやるべきことを思い起こすと同時に、それをやり遂げるための努力を続ける大切さについて考える機会にしたいと思いました。

そして、この学習での学びが、これからの学校生活や家庭生活において発揮されるようにしたいと考えました。本教材は、子供が、主人公ポポの姿に自分自身を投影させながら、子供の道徳的課題に迫り、道徳的価値の理解を深めることができます。

それをさらに深めるため、学級活動と関連付けて、道徳的実践へとつなげていけるように次のような学習展開を実践してみることにしました。

展開の概略

1 子供の日常生活を振り返り、本時の学習が自分に関わりがあることを捉える。

2 「がんばれ ポポ」を読み、主人公「ポポ」の気持ちの変化をもとに考える。
①「ポポ」の気持ちから「やらなければいけない」のにあきらめてしまう弱い心が自分にもあることに気付く。
②「ポポ」が変容しがんばっている姿から、何がそうさせたのかを考え、がんばるために大切な気持ちを理解する。
③努力をして自分の力でやり遂げた後の気持ちのよさを感じる。

3 学習を振り返り、あきらめないで努力することの大切さについて一人ひとりが 感じたことを学習カードに書く。

学級活動との関連

一人一人が自己の生活や学習の課題について考え、解決のために話し合って意思決定し、そのために努力できたかを毎日の生活の中で自己評価して、達成感を味わうようにします。

実際の授業展開

タイトル
がんばれ ポポ  ~がんばるって いいね~

指導目標
自分のやるべき勉強や仕事を行うことの大切さや、やり遂げることのよさを考え、しっかりと行おうとする心情を育てる。

内容項目
A 希望と勇気、努力と強い意志

準備するもの
ワークシート(児童配付用)

▼ワークシートのPDFはこちらよりダウンロードできます
小二道徳学習プリント「がんばれ ポポ」

指導の概略

板書計画例

板書例

導入

①あなたが学校や家でやらなければならないことを思い出してみましょう。

  • 自分の生活を想起し、本学習への関心を高める。

展開1

②お母さんに「つらくてもがまんして、きれいな花をさかせるのよ」と言われたポポの気持ちを考えましょう。

  • ポポの一人で生きていかなければならないさびしさや不安を感じ取らせる。

展開2

③岩の上にたどり着いたポポの気持ちを考えましょう。

  • 辛いことや嫌なことがあるとくじけてしまう心が誰にでもあることに気付かせる。

展開3

④ポポが4日間も我慢できたのは、どうしてでしょう。

  • お母さんの励ましの言葉を思い出し、ポポが自律的にがんばろうとしていることについて話し合う。

展開4

⑥きれいな花を咲かせたポポは、お母さんにどんなことを伝えたいでしょう。

  • ワークシートに書かせることで、がんばった後の気持ちよさを感じ取らせる。書くことが苦手な子供には、聞き取るなどの支援を行う。

終末

⑦今日の学習を通して学んだことを書きましょう。

  • 子供一人ひとりが感じたことを書かせ、クラスで一つの考えにまとめることのないようにする。

ここがアクティブ!授業展開の補足説明

子供に課題意識をもたせる

考え、議論する原動力は「学習が自分と深く関係している」という子供の思いです。そこで、導入では学校や家庭で自分がやるべきことを尋ね、ワークシートに書かせます。

そして、毎日続けているか、やり遂げることができたかなどを問いかけることで、子供は短時間で日常生活から課題意識をもつことができました。また、ワークシートの記述は、終末において自己をふり返り、今後の実践を考える手立てとなります。

多面的・多角的に考える

「つらくてもがまんして、きれいな花をさかせるのよ」とお母さんから言われた「ポポ」と、その言葉を言ったお母さんの両方の思いを考えました。

そのことで「ポポ」の思いからだけでは分かりにくかった「やるべきことはしっかりと行うこと」「あきらめないで努力すること」などのねらいに関わる道徳的価値がより明確になりました。

なかにはお母さんの愛情など本時のねらいとは異なることが心に残る子供もいますが、一人ひとりの思いや考え方を大切にしました。

授業をするうえでの注意点 ・ ポイント解説

子供を教材の世界へ誘う

低学年の子供の発達段階を考えると、教材の登場人物への自我関与を中心に道徳的諸価値の理解を深めていくことも必要だと感じることがあります。教師がゆったりと読み聞かせることによって、子供を教材の世界に浸らせたいと考えています。

場面絵を紙芝居仕立てにしたり、ペープサートを使ったりするのも効果的です。子供は、登場人物に自我関与しながら、楽しく無理なく道徳的判断力を育むことができます。

道徳的実践へつなげる

学級活動との関連を図り、「がんばるっていいね~花をさかせよう~」のカードを使用しました。期間は2週間程度で、帰りの会で色塗りをする時間を設けました。励ましや称賛の言葉かけのほか、色が塗れない子供への具体的なアドバイスも行いました。

この学習については、懇談会や通信で保護者の方にも伝えておきました。取組後には、保護者の方にも一言メッセージを書いていただくことで、家庭との連携を図ることもできました。

教科調査官からアドバイス

文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・浅見哲也

道徳科の目標は道徳性を養うことであり、その道徳性とは行為そのものではなく、内面的資質と解説されているように行為の動機付けとなる大切なものになります。さらに、全教育活動を通じて道徳教育を展開することにより、道徳的行為が実践できる子供を育てることはとても重要なことです。

山田先生は、道徳的実践につなげていくことを意識され、低学年だからこそ、教材の内容に十分に浸って考えられるようにしながらも、導入では子供の身近なことを想起し、問題意識をもたせて教材を上手に活用されています。

自分の気持ちだけでなくお母さんの思いも考えながら、子供のあきらめずにがんばろうとする意欲を高めています。また、終末では自分を振り返ったり、その後の学級活動とも関連付け、さらには保護者にも協力をいただきながら、道徳的実践に向けた一連の有機的な活動を見事に展開されています。

イラスト/どいまき(ワークシート)

『教育技術 小一小二』2020年4/5月号より

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