名寄小学校が学校改革・授業改善で「奇跡」をおこせた4つの理由

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職員室の人間関係あるある:リアルな改善策を集めました!

全国学力・学習状況調査でこの数年で実力をぐんと上げたのが北海道です。道内でも非常に高い結果を出しているのが、「名寄小学校の奇跡」とまで言われた、北海道名寄市立名寄小学校です。 「学力向上」「若手教師の力量形成」「組織開発」の三重の課題に取り組み、学校改革、授業改善に大きな結果を出すことができた理由は何か。その背景には、メンターシステムを支えたミドルリーダーの教師たちの存在があるようです。

学力テスト
イラスト/伊神彰宏

理由1:学級経営の充実

理由の1つ目は、学級経営を充実させたこと。学力向上実践推進校の指定を受け、授業改革のための校内プロジェクトチームとして<学校力向上部>を立ち上げました。そのチームが中心となり、学力向上のための様々な取り組みを行ってきましたが、根幹に据えたのは学級づくりでした。

具体的には例えば、

  1. 子どもが安心して学習できるよう学習規律を徹底する
  2. 教員が自己の在り方を見直し、子どもとあたたかくつながる
  3. 学校目標の達成につながる学級目標を子どもたち自身が考え、その実現を目指した活動をする
  4. 学級会を充実させる
  5. 授業中は、子ども同士が関わり合い、学び合う学習活動(チーム学習)を充実させる

などのことを行ってきました。

その結果、「授業がやりやすいですし、授業中、もしもわからない子どもが近くにいたら、わかっている子どもがさっと近づいていって助けるという姿がどの教室でも当たり前のように見られます」と着任6年目、学校力向上部の林琢磨教諭は語ってくれました。

理由2:学力向上を個業にしない

2つ目の理由は、学力向上を「担任の仕事」にせず、学校力向上部主導で動いている点です。

全国学力・学習状況調査に関しては、単に平均正答率を上げることを目的にするのではなく、重点教育目標「進んで学び基礎的・基本的な知識・技能を身に付けた子ども」を実現するために、5年生の3学期から学習指導の充実を図っていまする。

その際、「5年生みんなで協力して勉強し、全員が成長しよう!」などの目的意識を子どもたちにもたせます。だからこそ、教員も子どもも頑張れるのです。

理由3:若手をみんなでサポート

3つ目の理由は、若手の育成に積極的に取り組んでいることです。

若手を育成するための対策として、メンター研修があります。全教員を4人ずつ6グループに分け、グループ内でメンティからメンターへの相談が日常的に行われています。うまくいかないときは、あたたかいアプローチでみんながサポートし、職員室には若手を育てるという意識、みんなで成長していこうというムードがあるとのことです。

理由4:教員をチームにする

4つ目の理由は、教員がチームになったことが挙げられます。

教員をチームにするために、欠かせないのはミドルリーダーの存在。「校長先生から示される学校の目標を、子どもたちの姿に置き換え、そこに向かってみんなで頑張ろう、みんなで頑張ったらこのように育ちますよ、ということを先生方に伝え続けることが大事だと思っています」(櫻田和歌子教諭)

「私はお願いしているつもりでも、『上から命令している』と受け取られてしまうことがあります。だからこそ、取り組みを進めていくには、ミドルリーダーが教職員にどのように伝えていくかが重要だと思います。本校では以前に比べ、先生方にチーム学校でやっていこうという意識が高まっていると感じます。ミドルリーダーたちが働きかけてくれたことで、先生たちの意識が変わっていったのです」(林雅裕校長)

さらに、教員たちへのサポートも、ミドルリーダーの役割となっています。動向では、林教諭は授業スキル、授業改善の面でのサポート、櫻田教諭はメンタル面でのサポートというように、役割分担ができていることも大きいようです。

取材・文/林 孝美

『総合教育技術』2019年5月号より

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