緊急アンケートで紐解く 問題が山積のコロナの夏休み
みんなの教育技術では、小学館の子育てサイトHugKumと連携して、コロナ禍の夏休みを迎える先生方に緊急アンケートを実施。短期間の募集にもかかわらず、全国の先生方104名から回答をいただきました。先生方から寄せられた声をできる限り多く紹介しながら、コロナの夏休みの問題点を考えていきたいと思います。
大幅に短くなった、令和2年の夏休み
例年ですと、30~40日程度の夏休みがありますが、今年はその半分未満となっているところがほとんど。最も多かったのは14日~20日の42%でした。
また、いずれも数は少ないものの、最短で5日間、最長で32日間と、地域によって大きな開きが出てしまっています。
先生たちの実質的な休みはどのくらい?
では、先生たちの実質的な休みはどのくらいなのでしょうか? 実質的な休暇日数で最も多かったのは、6日~10日の約44%。また、全体の25%が、5日以下の非常に短い夏休みしか取得できないという、大変厳しい状況です。
業務日は少ないがやることは減らない
夏休みの日数が減ることで、夏季休業中の業務日も当然少なくなりますが、かといって、やるべきことまで減るわけではないようです。多くの先生たちが、窮状を訴えています。
「いままで40日間ほどあった夏休み中に研修や資料作成があったのだが、20日ほどでそれをしなくてはいけない。オンデマンド研修と言いながら、研修がある」
「コロナの臨時休業で、夏休みの期間が劇的に短い。子どももいつもと違う環境で頑張っているが、すごく疲弊している」
「教員達はプライベートも削って一生懸命日々働いている」
「夏休みが短く、研修、研究の時間がとれない」
「コロナ対策や遅れた授業を効率よく取り戻すための授業研究が大変であるにも関わらず、管理職は、残業を減らせ、休暇を取れと言う。結局、家での仕事が増えるだけで、忙しさは、増している!」
短い休暇。しかし・・・・
そうでなくても短い休暇。少しでも体を休め、心をリフレッシュしたいものですが、そうもいかない先生たちが多いようです。
「休暇のときに何をしますか?」
との問いに対しては異口同音に、
●職員会議の提案書作成 ●教材研究 ●2学期に向けての学級経営 ●オンライン研修 ●指導案や研修資料作り ●校務分掌 ●行事の準備 ●校内の物品の整理整頓 ●校内の動植物の世話 ●残務整理 ●子供たちへの手紙
など、業務時間外でやむなく仕事をするとの回答が非常に多く寄せられました。
また、コロナ禍は、ふだんの学校生活にもさまざまな悪影響を及ぼしています。
「グループワークができないため、授業作りが難しい。給食配膳を全て担任1人でやりこなし、放課後の消毒も教師負担がつらい」
「授業時数がきつきつで授業を進めることに一所懸命ですが子どもたちはきつきつの時数でかわいそう。休み時間が短く、コロナ禍の週時程がこれから続くと教師も児童も潰れてしまいます」
「コロナ対策で先が見えない。政府は学校まかせ」
「学校生活で密にならないことの難しさ。体育や音楽の評価」
「とにかくコロナ対策への疲労がすごいです。 配付物は教師が全て配る。
トイレそうじ。毎時間手洗い。制限がある中での授業」
「研究ばかり、研修ばかりで困ってる。学習が遅れてる。毎日が必死」
「①家庭での生活習慣の乱れを学校でも引きずり、不登校気味でいる児童の様子について保護者へ改善をお願いしたい。
②学用品や持ち物が揃わなかったり、手紙の返事が遅すぎる」
「コロナ不安で学校に来られない子がいます。ゆっくりしていいよと伝えたい。学校に行きたくなかったら行かなくていいということ」
「一年生を担任していますが、友達作りにつながるような関わり合いのある活動、学習がほとんできませんでした。心苦しいです」
「怒涛の1学期で基礎基本が定着できていない。生活の単元をどうするか。町探検や生き物の飼育など」
「毎朝の検温をしてこない児童が多過ぎる。仮に校内でクラスターが発生した際に疑われないためにも、検温とマスクエチケットをそろそろ習慣化してほしい」
「毎日検温カードをチェックしていますが、検温忘れの児童がいると、保健室で測ることになっています。全員の健康が確認できないと一日をスタートすることができないので、検温の声かけは保護者も一緒にしていただけるとありがたいです」
「勤務校では高学年の鼓笛隊がありますが、この状況で活動が滞っています。これまで頑張ってきた最高学年の子どもたちのことを思うと何とか衣装をつけて一度でも公開したいと奮戦しています。しかし、コロナ対応で計画が変更になったり、対応が遅れたりすることに保護者の方の理解が得られなかったりします。とても辛いです」
「健康観察カードの正確な記入、提出を義務付けているが、遵守されにくい」
できる限り多くの声を紹介しました。このコロナ禍で教育現場が受けた影響の深刻さを実感できる、憂慮すべきアンケート結果であったと言えるのではないでしょうか。
少しでも多くの人たちとこの問題を共有し、より良い解決策・改善策が一日も早く得られることを、願ってやみません。
小学館の保護者向け子育てサイトHugKumでも、この結果をシェアしています!→【小学校の先生に緊急アンケート】コロナ禍の夏休み、先生が困っていることは?
最後に、編集部一同も勇気づけられた、ある先生からの回答を引用して、この記事の結びとさせていただきます。
「みんななんらかの形でコロナの影響を受け、我慢したり生活を見直したりしている。そんな非常事態でもできることを協力してやっていきましょう」
構成/「みんなの教育技術」編集チーム