「宿題って本当に必要なの?」ぬまっちの答えは…

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国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭

沼田晶弘

独特の実践で子供のやる気を伸ばすカリスマ教師、沼田晶弘先生。
今回は、「日々さまざまな業務に追われる中、毎日宿題をチェックし、新たな課題を出すのは大変です。宿題は本当に必要だと思いますか? どんなやり方がありますか?」という先生の質問に、アドバイスをいただきました。

撮影/下重修

宿題は、学習習慣のない子にとって意味のあるもの

宿題は、家庭での学習習慣をつくるのが目的であって、そういう意味では、宿題がないと家では勉強をしない子供にとって意味があるものだと思う。
だから、宿題なんて出なくても、学ぶことが大好きで、自分ひとりでもどんどん勉強しますという子には必要がないものかもしれないよね。
でも大多数の子供は、宿題がないと一人で勉強を進めようとは思わないだろうし、自分がやった勉強を「誰かが見てくれる」という環境がないと、なかなか継続することは難しいよね。

宿題は毎日ではなく、まとめで出す

ボクの中では、子供に勉強する習慣をつけることが大切だという理論には納得しているよ。

ただ、ボクは、常にゴールを意識することが大切だと思っている。
例えば、毎日コツコツ宿題をすることはプロセスだ。プロセスはゴールを目指し、達成するための方法だよね。じゃあ宿題に関しては、ゴールはどこかと言えば、「期日までに出す」ということだ。そのゴールに向かって、どうプロセスを歩むのかは、子供たちのタイプに合わせて、子供自身が選んでもよいと思っている。
だから、宿題は毎日じゃなくて、「来週の何曜日までに、ここまでやっておいて」といってまとめて出している。
毎日少しずつ進めたい子は毎日やればいいし、毎日やるのが大変だと思っている人は、調子がいい時に一気に取り組んでくれればいい。大事なことは、 まとめて出された宿題をどうやって進めるか、自分なりに考え「期日までに出す」というゴールを意識し、目標を達成することだ。

学力だけでなく、マネジメント力も向上する

最終日まで遊び惚けた子は、最後に自分が責任を取るしかないから、大変だけど頑張るしかないよね(笑)。
でも考えてみれば、仕事もそうだし、世の中だいたいそういうもんじゃん。
例えば、共働きの家庭だと、休日に、「今日はパーティー?」っていうくらいハンバーグを作ったりするよね。大量に作って焼いて、ラップにくるんで冷凍しておく。

それって実は宿題をためてやっているのと同じだと思うんだよね。やれる時にやっておく。そして期日は守る。そうやって、自分で計画してオンとオフの作り方を考え、工夫することを学ばせてもよいと思っている。 そうすると学力はもちろん、タイムマネジメントの力も付くんじゃないかな。

宿題のシステムを変えると、
子供の性格もわかる

宿題をまとめて出すシステムをつくると、子供の性格も分かるから面白い。
「自分は溜めちゃうから毎日やっておこう」といってコツコツやる子もいれば、「最後にがーっと全部やってしまおう」という短期集中型の子もいる。
最初に遊ぶ日と宿題をする日を決めて取り組む子もいるし、さまざまだよね。 「連休中どこにも行けなくて暇だった」と言って、漢字ドリルを全部やってしまう子もいた。ボクが「来週火曜日までに〇ページまで14文字練習してきてね」と文字を指定して宿題を出すと、漢字ドリル1冊仕上げて提出する子もいる。そしてそのドリルは机にしまっておいて、次の宿題がでると、すぐに提出するんだ。ボクもかたくなに指定した丸付けをしないけどね(笑)。

宿題をまとめて出すと、先生にとってもいいこと尽くめ

宿題を期日を決めてまとめで出すのは、実はいいこと尽くめなんだよね。
漢字2文字ずつ宿題に出すと、先生にとっても毎日チェックしなければならないから大変だよね。2文字ずつ5日毎日チェックするよりも、一週間に1度20文字を一度に丸付けした方が絶対に早いし、効率的だよね。

ノートを集めて、宿題を出してるかチェックする作業も、一度で済む。

子供の実態に合わせて調整は必要だと思うけれど、宿題の出し方、取り組み方はもっと柔軟に考えてもいいんじゃないかなと思うよ。

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沼田晶弘先生
沼田晶弘先生

沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『「変」なクラスが世界を変える』(中央公論新社)他。
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取材・構成・文/出浦文絵

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