「PBL」とは?【知っておきたい教育用語】
教育分野で度々耳にするようになった新しい用語を、深く掘り下げて解説します。今回は「PBL(プロブレム・ベースド・ラーニング/プロジェクト・ベースド・ラーニング)」を取りあげます。
執筆/筑波大学特任研究員・田中怜
監修/筑波大学教授・浜田博文

目次
2つの意味をもつ「PBL」
PBLには、「プロブレム・ベースド・ラーニング」(問題解決学習)と、「プロジェクト・ベースド・ラーニング」(プロジェクト型学習)という異なる2つの意味があります。どちらも、高等教育をはじめとして初等・中等教育で推奨されている「アクティブ・ラーニング」を促す手法として注目されています。
問題解決学習とはなにか
問題解決学習は、学習のなかに具体的な「問題」や「課題」を設定することで、子どもがその解決を目指して学びを深めていく学習指導法です。これを理論的に基礎づけたのが、アメリカの哲学者であり教育学者のジョン・デューイです。
彼によれば、問題解決学習における「問題」は、子どもの日常経験を出所とすべきであり、経験と結びついた問題こそが、子どもの思考を活発化させるといいます。このため問題解決学習の要点は、子どもが学習で日常的な問題や課題に直面し、試行錯誤しながら探究的にその解決を目指すことです。
例えば、たくさんの単語を詰め込むだけの英語の授業は、子どもの経験に即しているとはいえません。そこで教師は、子どもたちが街の看板などから英単語を収集し、それらの意味を学校で学ぶ活動を計画します。これによって、身近な問題と結びついた学習を活動的に促すことができるのです。
デューイは、子どもが経験に根差した問題に取り組むことで、結果として子どもの経験それ自体がいっそう豊かに拡大されると考えました。日常の問題解決に取り組むことは、最終的に子どもが生活経験を越えて、現在と未来、自己と他者、今いる世界と別の世界とのつながりを見通す「想像力」を養うことにつながります。