海外コロナ休校下の家庭学習事情:トルコでは…
新型コロナウイルスの感染拡大による影響は、世界の教育を揺るがしています。日本では自宅学習用課題の作成、オンライン授業など、学校は子どもたちの学力保障に苦心していますが、海外ではいま、どのようなことが試みられているでしょうか。小学生の子供を持つ海外在住ライターからのリアルな現場リポートです。

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コロナ禍での遠隔授業
トルコのカッパドキア在住のライター横溝絢子です。こちらでは3月17日から小学校、中学校、高等学校が休校になり、その1週間後から現在までテレビおよびインターネットによる義務教育の遠隔授業が行われています。国民教育大臣は、学生に向けて、個人の責任で授業計画を管理し、授業時間には自分の授業を受講するように要請しています。

児童生徒たちは、TRT(テーレーテー:トルコ・ラジオ・テレビ協会)のチャンネル「TRT-EBA TV」と国民教育省が管理するウェブサイト(eba.gov.tr 以下、EBA)を通じて配信時間と授業計画を確認し、該当の日時に配信を視聴します。
パソコンを所有していない家庭では、テレビで視聴しています。TRT-EBA TV小学校、TRT-EBA TV中学校、TRT-EBA TV高等学校の3チャンネルがあり、ハイビジョンと標準解像度の2タイプの合計6チャンネルを使って放送されています。学年が異なる子どもがいる家庭のために同日に再放送が行われます。

授業のスケジュールは、小学生が朝9時から午後2時まで、中学生が朝9時から午後2時半まで、高校生が朝9時から午後5時までとなっており、授業時間は各30分です。夕方から夜にかけては日中の授業が再放送されています。また、遠隔授業は集中力の継続が難しいことから、実際の授業時間(45分)よりも短めに設定されています。
毎日1時間、EBA上にあるZOOMを使った実際の担任との授業がある場合もあります。ただしパソコンを保有していない家庭もあることから、参加は必須ではありません。EBAでオンライン試験が行われることもありますが、このテストは自宅で受けているので、結果は成績に組み込まれないことになっています。
満足度の高いEBA
現在までのところ、保護者からの満足度が高いEBA。各自の国民番号を入れてログインしますが、混雑規制のため、学年によってログインできる時間が異なります。EBAはコンテンツが豊富で、教育に関する膨大なオンラインブック、ゲーム、ビデオ、音楽なども保管されており、こちらも子どもたちに好評です。また、コンテンツを使うとポイントが加算されるようになっており、このポイントを教師が確認することによって児童生徒の使用頻度を測ることができます。

実はEBAはコロナ禍になる前から国民の教育レベルを高めるために存在していたシステムですが、利用した経験のある人は限られていました。今回遠隔授業で利用されることになり、システムの素晴らしさに感動する親の声をよく耳にします。