「カリキュラム・マネジメント」とは?【知っておきたい教育用語】
学校の運営といえば、施設設備の管理や教職員の監督などがイメージされがちです。はたしてそれで十分でしょうか。教育活動の質を常に高める努力を続けることが、これからの学校運営には強く意識されなければなりません。そこで、今回の教育用語は「カリキュラム・マネジメント」を取りあげます。
執筆/東京学芸大学准教授・末松裕基
監修/筑波大学教授・浜田博文

目次
学習指導要領で強調されたカリキュラム・マネジメント
2017年に改訂告示された学習指導要領(高等学校・特別支援学校は2018年)は、各学校における「カリキュラム・マネジメント」の確立を強調しています。
そのことについて「総則」には、それぞれの学校は児童や地域の実態を適切に把握して、次の3つのことなどを通して、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくことだと記されています。
・教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと
・教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと
・教育課程の実施に必要な人的または物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくこと
小学校学習指導要領(平成29年告示)総則より
文部科学省は、2018年5月より「アクティブ・ラーニング&カリキュラム・マネジメントサミット」を開催したり、2019年には「これからの時代に求められる資質・能力を育むためのカリキュラム・マネジメントの在り方に関する調査研究」を開始したりして、カリキュラム・マネジメントの重要性を訴えています。
なぜカリキュラム・マネジメントが注目されるか
前回、2008年に学習指導要領が改訂された際も、各学校には教育課程や指導方法等を絶えず見直すことが求められています。この背景には、教育問題の複雑化を受けて、「教育についての問題解決は学校現場で」という考えのもと、個々の学校の努力や工夫がこれまで以上に期待され、学校の組織としてのあり方や教師の役割、仕事の仕方が見直されてきたことがあります。
そして現在も、全国の画一的で横並びの教育実践や、教科書と指導書に依存しすぎるあり方を見直し、個々の教職員が自校の実状や地域の課題を踏まえて、どこに課題克服の手がかりがあるかを検討したり、教師や学校の主体性と意思を前提に豊かな教育活動を展開したりすることが期待されているのです。