「総合学習を楽しめる教師集団になれるとよいな」 <中学校「総合的な学習の時間」探究のポイント> #07

これまで、新潟県上越市立三和中学校の総合的な学習の時間(以下、総合学習)で、博報賞を受賞した3年生の実践と2年生の年間実践を紹介してきました。最終回となる今回は、学校経営に関わる研究の全体像について、研究主任として研究をリードした山川純教諭と、研究2年目に異動・着任し、さらに取組を推進してきた佐藤則子校長にお話を伺っていきます。

山川純 教諭

佐藤則子 校長
▶地元10企業・団体とタイアップして、新商品の開発や観光マップ作成やPR映像の制作 <中学校「総合的な学習の時間」探究のポイント> #05
▶修学旅行実施時も育む能力を明確に整理していることが重要 <中学校「総合的な学習の時間」探究のポイント> #06
目次
「創造力」「協働性」「郷土愛」の3つを育てたい
まず同校で、4年前に県の研究指定を受け、総合学習に本格的に力を入れていく契機をつくった、山川教諭は当時の様子を次のように話します。
「研究指定の初年度、研究主任であった私は当時の校長先生とお話をして、まず『学習指導要領にも総合学習を中心にしながら、学校として育てたい資質・能力を育むことが示されているので、そこを明確にして3観点で整理しましょう』という話になりました(資料1参照)。
資料1

私が叩き台を作る過程では、『郷土愛』を大事にしたいという話が出てきました。そこで、地元三和区の方々と、『どんな子供を育てたいか』という話をしたところ、『自分たちの手で街を創っていくんだという創造性』『何事も街の人と協働しないとやっていけない地域だから、協働する力』といったことが出てきました。そこで、『創造性』『協働力』『郷土愛』の3つを育てたいということになりました。
同時に学校としては、『自己肯定感の低下やコロナ禍での人と関わる力も気になる』ということから、それらも加えて、育む力などを整理しました。そこから、『郷土愛を高めるためには地域に入って何かをしたほうがよいよね』という話になっていったのです。ちょうど、三和区の地域協議会では、『地元の活性化を図るため、貴重なオニバスや地元の味噌やお米などの魅力を発信していきたい』という話が出ていました。
子供たちは商品開発をするというような経験などなく、この探究を通して『ずいぶん頭をひねった』と言っていましたが、教科ではできない学びが『とても楽しかった』と言っていました。ふり返りにも、『自分たちが動くことによって、地域の多くの方が祭りなどに来てくれたし、地域が元気になっていく姿を見て嬉しかった』とありましたし、『元々、この三和に将来も住みたいとは思っていなかったけれど、地域の方の笑顔を見ていると、いてもいいのかなと思った』という意見もありました。
一方、企業の方も、『若い人たちが使っているSNSを宣伝に活用するなど、着眼点や発想力には驚いたし、勉強になった』と言っておられました。
当初、他の先生方は、地域と関わるための準備には時間もかかるので、『大変なことをやっているな』と思われていたのではないかと思います。しかし、実践を通して子供たちが商品を作ったり、地域を宣伝したりする姿を見ていて、『大変な部分もあるけれど、やった分だけ子供たちに学びもあるな』と思われたように思います」
