やはり教師の仕事はおもしろい!「教師という仕事が10倍楽しくなるヒント」きっとおもしろい発見がある! #36

「教師という仕事が10倍楽しくなるヒント」の36回目のテーマは、「やはり教師の仕事はおもしろい!」です。教師の仕事は大変な部分が多いのですが、子供と共に学ぶことができる、子供の成長を見る喜び、卒業してもつながる関係など、教師でなければ体験できない様々な醍醐味があります。小学校の教師ならではのおもしろさの視点をお届けします。

執筆/吉藤玲子(よしふじれいこ)
帝京平成大学教授。1961年、東京都生まれ。日本女子大学卒業後、小学校教員・校長としての経歴を含め、38年間、東京都の教育活動に携わる。専門は社会科教育。学級経営の傍ら、文部科学省「中央教育審議会教育課程部社会科」審議員等、様々な委員を兼務。校長になってからは、女性初の全国小学校社会科研究協議会会長、東京都小学校社会科研究会会長職を担う。2022年から現職。現在、小学校の教員を目指す学生を教えている。学校経営、社会科に関わる文献等著書多数。現在、日本・中国・韓国の初等教育において、異文化理解教育の推進に関する実践と研究にも携わっている。
目次
教師の仕事のおもしろさを伝えたい
電車の中に「先生になろう!」というポスターがよく貼られています。それを見るとそんなに先生を希望する人が少ないのかと思ってしまいます。でも私の周りには希望をもって先生を目指している若者が多いです。だからこそあえて私は、「教師の仕事はおもしろい!」と言いたいです。その理由をまとめます。

共に学べることの楽しさ
先日、教育実習に行った学生が、校長先生から「教師の仕事は子供と一緒に学べる」ことだと言われたと話していました。本当にそうだと思います。教師は、子供たちにいろいろなことを教える仕事です。でも教えるだけではありません。子供からも教えてもらうことができる仕事でもあります。一方方向の仕事ではないのです。子供の反応や発言を聞くことができる、聞こうとする教師は、これはもう毎日が発見の連続です。自分が予想していないようなことが起こることもあります。子供の反応を知って、次にやることを考えていく、そこにおもしろさがあります。
生活科などは一番子供から教えてもらうことが多い教科かもしれません。普段何気なく見ている校庭や公園の木々、花の変化など子供の視点での気付きには、「はっ」とさせられます。子供は音にも敏感です。落ち葉を踏む音を大人は「カサカサ」と決めてしまいがちですが、子供は「グシャ」や「ベリ」などいろんな表現をします。町探検をしたときのお店の人と子供とのやり取りなどを見ているとわくわくドキドキします。子供たちが書いた御礼の手紙を町の人たちが店に貼って掲示してくれたりすると本当にうれしくなります。大人にはできない関係づくりです。
また、移動教室で生活を共にすることで見えてくることもたくさんあります。お風呂の入り方、布団の敷き方、集団行動のとり方、普段教室では見ることができない子供たちの姿を知ります。私は、6年生の担任として移動教室に行ったときに、施設の近くの河原から拾ってきた石に磨き粉をつけて磨く石磨きの体験活動を行ったことがあります。そのとき、単純な石磨きに全身全霊で取り組んでいた子供の姿に驚きました。
普段は受験勉強ばかりしていて偏屈な発言しかしない子供が、本当に数秒を惜しんで必死で磨くのです。石を磨くことによって、石に輝きが出てくることがおもしろいのです。縄文時代の体験学習で勾玉づくりをしたときも同じような経験をしました。普段ゲームばかりしている子供たちですが、こんな単純な作業に夢中になるなんてと驚きました。これも、磨くと勾玉がツルツルしてくるのがおもしろいのです。子供たちは、勾玉づくりをすると首から勾玉をかけて暇さえあれば磨いています。夜、布団に入っても磨いている姿を見かけたこともありました。子供は興味をもつとこんなにも夢中になるものだと、あらためてその力を教えられました。
このような発見をするには、教師の側も常に子供たちの行動の変容に気が付く目をもっていることが必要です。忙しい日々でしょうが、「次に子供がどんな反応をするのかな」と子供たちを温かい目で見守ってあげてください。
