本実験・調査をやり切る覚悟と、やり直す勇気|中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑭

前回の記事では、いよいよ迎えた本実験・調査を、準備を整えたうえで実施することの大切さを整理しました。今回はその続きとして、「本番をどう完遂するか」という視点から、本実験・調査に臨む姿勢について考えてみたいと思います。
執筆/四天王寺大学教育学部准教授・仲野純章
過去の記事はこちらから!
◆中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう①~考えを整理して、テーマを決める~
◆課題研究の実現可能性をチェックしよう! 中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう②
◆先行研究をチェックして、研究テーマにストーリーをもたせよう! 中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう③
◆研究テーマが決まったら、研究の道すじを考えよう─中・高等学校の【課題研究】はこう進めよう④
◆研究の「最終ゴール」を明確にしよう~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑤~
◆「やることリスト」を整理して、研究の全体像をつかもう~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑥~
◆個別実験・調査項目の中身を具体化しよう~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑦~
◆「個別ゴールに届いたといえる事象」を考えてみよう~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑧~
◆「どうすればできる?」の見通しをつかむ~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑨~
◆「どうすればできるか」を具体化する~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑩~
◆本番の成功は予備実験・調査にかかっている|中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑪
◆“仮の本番”で磨き上げる、本実験・調査の完成度|中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑫
◆いよいよ本番の実験・調査。あらためて慎重に|中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑬
目次
本実験・調査は「狙っていたデータさえ取れればよい」では終わらない
本実験・調査では、当然ながら、狙っていたデータを取得することが第一の目的になります。ただし、狙っていたデータさえ取れればそれでよい、というわけではありません。「考察に値する結果」を得て初めて意味を持ちます。そのためには、そうしたデータがどのような状況で得られたのかを含め、実験・調査全体を丁寧に進め、記録する必要があります。
結果を左右する「周辺の出来事」にも目を向ける
本実験・調査の最中には、当初の目的とは直接関係しないように見える出来事が起こることがあります。たとえば、溶液に素材を入れた際の見た目の変化や、反応中の様子などです。こうした周辺的な現象を意識しておくことで、後になってデータを評価する際に、「なぜこの結果になったのか」を考える手がかりになります。データだけを切り取るのではなく、実験・調査全体を一つの流れとして捉えることが重要です。
