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小5外国語:自己紹介アクティビティーの疑問に教科書編集委員が答えます

神奈川県公立小学校教諭

長沼久美子

いよいよ本格的に始まる小学校での外国語。ポイントをつかんだ授業を通して、子どもたちの楽しく学ぶ姿にたくさん出会いたいですね。ことばへの気付きや外国語の習得を生み出していくアクティビティーについて、教科書だけではわからないかもしれないポイントを、小学校外国語科検定教科書の編集委員でもある神奈川県公立小学校の長沼久美子先生に教えていただきます。 

新しい学年に進級して、新しいことが始まる4月。出会いの季節にぴったりの活動として、自己紹介や、名刺交換があります。今回は、「自己紹介・名刺交換」アクティビティーのポイントについてまとめました。

執筆/神奈川県公立小学校教諭・長沼久美子

小5外国語:自己紹介アクティビティーの疑問に教科書編集委員が答えます
Photo by Jessicah Hast on Unsplash

Q.「自己紹介・名刺交換」アクティビティーのねらいは何ですか?

A. 目的をもって、アルファベットを話す聞く読む書くが含まれている学習(統合的な学習)を経験することです。

新しい友達との出会いをきっかけとした「自己紹介・名刺交換」は、子どもにとって、相手に自分のことを伝える手段の一つです。

でも、このアクティビティーのねらいは、子ども同士の仲を深めることにあるのではなく、目的(自己紹介や名刺交換をするということ)をもって、意味のあるアルファベットの学習(ただ1つの文字を繰り返し練習するだけでない)を経験していくことにあります。本当に、仲間づくりとして自分のことを紹介するならば、日本語で行えばいいわけです。

教師がアクティビティーの真のねらいを理解して指導していくことで、たとえクラス替えがないクラスでも、自己紹介や名刺交換の学習が無理なく取り組めるでしょう。また、学習のねらいにもせまることができるようになると思います。

さて、名刺づくりをする前に、アルファベットの歌(きらきら星の替え歌などいろいろあります)で名称に十分に慣れ親しんでください。慣れ親しむだけで十分です。このアクティビティーは、アルファベットを一定回数(例えば3回ずつなど)書いて覚えることをねらっていません。

自分の名前を書くために、アルファベット表や、ローマ字の50音表などを使って、自分の文字を探し、自分の名前の文字の読み方や書き方を知る。名刺交換では、それらを読んでみたり、言ってみたり、書いてみたりしながら、活動していくということになります。

Q.How do you spell your name?って、全員言えないとだめですか?

A.丸暗記する必要はありません。先生や友達に教えてもらっていいのです。

教科書の中に、このHow do you spell your name?というフレーズがでてきます。これは、Howを使った構文を学習させたいわけではありません。友人と自己紹介などでやり取りをするときに、友人の名前で使われているアルファベットを聞くための手段として、登場するフレーズです。

このフレーズに出会うために、先生が子どもにWhat’s your name?とたずねていきます。例えば、I’m Kumiko.と子どもが答えます。そこで、先生はHow do you spell your name?とたずねる。子どもに自分の名前を読む機会を与えたいわけです。そこで、K, U, M, I, K, O.と子どもが読めたら、学習になっているということです。

そのように教師と子どものやりとりを繰り返していくことで、子どもはそのフレーズに聞き慣れていきます。そこまでやってから、自己紹介や名刺交換などの活動に進むことで、 話す、聞く、読む、書くが含まれる活動となっていきます。

「How do you spell your name?が言えないとだめ!」ではなく、「友達の名前の中にあるアルファベットを聞いて勉強しよう。」「スペルを聞くときは、How do you spell your name?で聞けるよ。」「聞き方がわからなくなったら、何度でも先生に聞いてね」と、サポートする気持ちで、活動の本来の目的であるアルファベットの統合的な学習につながるように心がけましょう。

Q.4月中にアルファベット26文字全部覚えさせないとだめですか?

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