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余白からはじめよう―クリエイティブを生み出す教師の習慣―

連載
ストレスフリーの教室をめざして

春日智稀
ストレスフリーの教室をめざして
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「余白」とは何か? 一般的には、紙面などに文字や絵などがかかれていない部分のことを指しますね。筆者は、紙面だけではなく「時間」にも余白が必要だと考えています。つまりここでの余白は、「余裕」と読み替えていただいても構いません。

先生の一日は多忙です。子どもが登校する前に出勤し、教室環境を整え、登校してきた子どもたちを出迎え、授業を行い、教材研究や会議を終えて、ようやく帰宅します。目の前のことをこなすだけで精いっぱいな先生も、多くいらっしゃるのではないでしょうか。近年では、こうした働き方が「ブラック」と揶揄され、教師を志す人が減少しているそうです。しかし、みなさんが教師を志したときのことを振り返ってみてください。きっと、熱い情熱がそれぞれにあったはずです。

今、つらい思いをしている先生は、このことをもう一度思い出して、鮮やかな毎日を取り戻す一歩を踏み出しましょう。もし今がブラックな環境だとしても、個人の努力でグレーやホワイトにすることができるかもしれません。今回は、時間的な余白が与える効果について考えていきます。

【連載】ストレスフリーの教室をめざして #40

執筆/埼玉県公立小学校教諭・春日智稀

まずは睡眠

まずは睡眠です。睡眠時間が減少することは、日中のパフォーマンスを著しく低下させます。個人差はありますが、一般的に睡眠時間が6時間以下の日が連続すると、物事への反応速度や注意力が低下することが分かっています。通勤手段が自家用車による場合には、事故のリスクが高まります。また、睡眠不足は情緒コントロールを難しくし、イライラや不安を増幅させてしまいます。普段は気にならないことが気になってしまったり、子どもにぶつけてしまったりします。さらにはストレス耐性が低下して、いわゆる燃え尽き症候群に陥りやすくなるそうです。このように、睡眠時間が減少することは、私たちの心身に大きな影響を与えます。

持続可能な働き方を

「時間をかければかけるほどよいものができる」という考えをもっている方は、それは持続可能なものではないことを知りましょう。今はよくても、いずれあなたの心身に悪影響を及ぼします。眠気や疲労の中で費やした1時間のクオリティの低さにうんざりしたことはありませんか。たしかに、突発的な生徒指導対応や急な会議等によって、どうしても帰りが遅くなってしまうことはあると思います。そんなときは、それが連続しないようにしなければなりません。あなたが欠けてしまうということを、最も避けなければならないのです。

中には、「自分の仕事は終わっているけれど、職場の雰囲気や人間関係によって帰れない」という先生もいるでしょう。残念ながら、こうした職場環境はいまだに存在するようです。「若手は先輩の背中から学ぶ」というのは確かに大切で、一理あると思います。若いときに苦労は買ってでもしろ、という言葉があるくらいですから、学校に限らず他の職場でもこういう雰囲気がヨシとされる時代があり、成果を上げていたのでしょう。このような環境にいる場合には、「周りに角が立たない立ち振る舞い」を意識して、適度な勤務時間を実現しましょう。「定時なんで」と帰ると、その姿をよく思わない人は必ずいます。「ベテランの自分は一生懸命やっているのに若手が帰るなんて」と内心思っています。残念ながら、集団とはこうしたもののようです。それならば、最初からそういうものだと割り切ってしまいましょう。

自分の考えを、相手のことも考えて伝えることを「アサーション」といいます(#10,#11参照)。「今日は疲れてしまって明日に支障が出てしまいそうなので、早めに帰って体を休めます!」と言葉を変えれば、ずいぶん相手の印象も変わるでしょう。それでも明らかに過度な負担を強いる場合には、その人はあなたを大切にしてはいないと思ってください。本当にあなたのことを思っているならば、心身ともに追い込むようなことはしないはずです。その人は、もしあなたが心身の不調を起こしたときに責任をとってくれないのです。

もし自分がこうした環境で苦労したならば、自分はやらなければいいだけです。これをやっている限り、ブラックは終わりません。

クリエイティブは余白から生まれる

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