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「ローマ字つづりの改定」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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2025年8月20日、文化審議会はローマ字のつづり方に関して、1954(昭和29)年の内閣告示で出された日本独自の表記ルールである訓令式ローマ字から、広く一般社会で使用されているヘボン式ローマ字を採用するとの内容を文部科学省に答申しました。

執筆/文京学院大学名誉教授・小泉博明

訓令式ローマ字とは

「小学校学習指導要領」では、ローマ字に関する事項について、次のようにあります。

第3学年においては、日常使われている簡単な単語について、ローマ字で表記されたものを読み、ローマ字で書くこと。

文部科学省(PDF)「小学校学習指導要領解説 国語編」平成29年6月

ローマ字の表記に当たっては、「ローマ字のつづり方」(昭和29年内閣告示)を踏まえることとなる。ここでは、「一般に国語を書き表す際には第1表に掲げたつづり方によるものと」し、「従来の慣用をにわかに改めがたい事情にある場合に限り、第2表に掲げたつづり方によっても差し支えない」こととされている。第1表(いわゆる訓令式)による表記の指導に当たっては、日本語の音が子音と母音の組み合わせで成り立っていることを理解することが重要である。第2表(いわゆるヘボン式と日本式)による表記の指導に当たっては、例えば、パスポートに記載される氏名の表記など、外国の人たちとコミュニケーションをとる際に用いられることが多い表記の仕方を理解することが重要である。

文部科学省(PDF)「小学校学習指導要領解説 国語編」平成29年6月

要するに、日本語を書き表す場合は訓令式によるが、従来の慣例を改めがたい場合はヘボン式でも差し支えないとしています。

小学校3年生の国語では、ローマ字のつづり方を「訓令式」を基本に学習しますが、2020年に小学校で教科となった英語の授業では、「ヘボン式」を学習するため子どもが混乱を招くことになっています。

ヘボン式ローマ字とは

ヘボン式ローマ字とは、幕末に来日したアメリカの宣教師ジェームス・カーティー・ヘボン(1815~1911年)が完成させた、和英・英和辞典『和英語林集成』で使われた表記法に基づくローマ字のつづり方のことです。

訓令式とヘボン式の主な違いは次のようなものがあります。

訓令式とヘボン式の比較表

パスポートに記載する氏名のローマ字表記は、旅券法施行規則第五条「旅券の記載事項」により決められ、基本的に「ヘボン式ローマ字」を使用し、表記することとされています。すでにヘボン式ローマ字は、パスポートの名前表記だけでなく地名や駅名、店名など、幅広く社会に浸透しています。

ローマ字つづりの改定

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