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「学習障害(LD)」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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「学習障害(LD)」は、ここ数年、日本国内の認知が進み、多くの教育現場に理解が広がってきました。しかし、学習障害と一口に言っても、その種類や特性、程度などは人それぞれであり、具体的な対応や指導法は確立されていません。今回は、そもそも学習障害とはどのような状態をいうのか、また一人一人の特性が多様であることを踏まえたうえで、どのような対応・指導法を検討できるのかをともに考えていきましょう。

執筆/創価大学大学院教職研究科教授・宮崎猛

学習障害とは

【学習障害】
全般的に知的発達の遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態をいう。Learning Disabilities(学習障害)の頭文字をとった「LD」という名称でも呼ばれる。

「学習障害(LD)」は、知能検査などの結果に、知的障害のような全般的な知的発達の遅れが認められないにもかかわらず、学習に必要な基礎的能力の習得や使用において著しい困難を示す状態を指します。具体的には、「聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力」の一つ、または複数において困難がみられます。運動や社会的適応性といった能力は対象外とされています。主として学齢期に顕在化しますが、学齢期を過ぎるまで明らかにならないこともあります。

学習障害は主に、次の3つのタイプに分かれています。

●ディスレクシア(読字障害):読むことに困難がみられる
●ディスグラフィア(書字障害):書くことに困難がみられる
●ディスカリキュリア(算数障害):計算することに困難がみられる

学習障害の原因は、個人に内在する要因であり、中枢神経系の機能障害に起因すると推定されています。情報を受け止め、整理し、関係づけ、表出する過程のいずれかにおいて十分な機能が働かないことによると考えられています。しかし、具体的に中枢神経系のどの部位にどのような障害が存在するかについては、医学的に未解明な点が多いとされています。

また、学習障害は視覚・聴覚障害、知的障害、情緒障害などの他の障害や、子どもの生活環境に起因する学習困難とは異なるものとされています。特定教科への学習意欲の欠如や好き嫌いといった要因によるものでもありません。

学習障害のある子どもに対する対応・指導法

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