意欲を高め、「なりたい自分」へと導く指導助言の手立て【学ぶ意欲と力を育てる 学習指導の極意⑮】

子供たちの学ぶ意欲と力を育てるためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に学級経営の本流を踏まえて、学習指導の基礎基本を解説します。第15回は、一人一人を「なりたい自分」へと導く指導助言の方法について解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章
学級活動には(1)(2)(3)の3つの内容があります。学級活動(1)は「学級や学校における生活づくりへの参画」、(2)は「日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全」、(3)は「一人一人のキャリア形成と自己実現」という内容です。
ここでは、キャリア形成に係る活動を展開するために新設された学級活動(3)について取り上げます。特に、学級活動(3)の特質を踏まえた実践を指導するにあたって、次の3つのキーワード「学級活動(3)の特質の理解」「学級活動(3)の授業展開」「学級活動(3)の実践上の配慮点」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① 学級活動(3)の特質の理解
学級活動(3)は、中学校との連携を図るため、キャリア教育の視点で今回の学習指導要領で小学校に取り入れられた活動です。これまでの学級活動(2)と同様に、生徒指導の機能を授業の場で具現化する活動の時間です。この時間は、個々の子供の実態に即した行動目標を設定するとともに、その後の実践活動に取り組みます。
ただし、取り上げる題材によっては、学級活動(2)のように「即時性、即効性」のある活動よりも、少し先を見据えた行動目標を設定することもあります。まずは、学級活動(3)の特質を踏まえて指導の手立てを講じていきましょう。
集団思考を通して個人目標を意思決定(自己決定)します
学級活動(3)は、学級活動(2)と同様に、各学校で作成された年間指導計画に基づき、学級全員に共通する問題を取り上げます。学級全員で共通の問題について原因を追求しながら、個々の「可能性への気付き」についても考えていきます。その際、「なりたい自分」に近付くための方策や解決方法を話し合うことに特徴があります。
みんなで様々な解決方法を出し合い、個々に具体的な行動目標を意思決定(自己決定)することについては学級活動(2)と同様です。意思決定が具体的な行動目標となるように適切な指導助言に取り組みましょう。
CHECK② 学級活動(3)の授業展開
学級活動(3)には次の3つの内容があります。
ア 現在や将来に希望や目標をもって生きる意欲や態度の形成(生きること)
イ 社会参画意識の醸成や働くことの意義の理解(働くこと)
ウ 主体的な学習態度の形成と学校図書館の活用(学ぶこと)
それぞれの活動内容を授業で展開するには、基本的な指導過程を踏まえておくことが大切です。
具体的には、学級活動(2)と同様に「導入段階、展開前段階、展開後段階、終末段階」の指導過程で、次のような4つの段階を踏まえて授業を展開していくことが求められます。学級活動(2)と(3)の展開上の違いは「さぐる・見付ける」の段階です。
「つかむ・さぐる・見付ける・決める」の段階で指導します
①「導入段階」では、題材を自分ごととしてとらえられるように「意識化・共通化」できるように、課題を把握して「つかむ」ようにします。
②「展開前段階」では、これまでの自分を振り返り「可能性への気付き(原因を追求)」ができるように、実態を踏まえた適切な資料を活用しながら、よさや可能性を「さぐる」ようにします。
③「展開後段階」では、「なりたい自分」に近づくための方策や「解決方法」を見いだすことができるように、意見を出し合い、解決策を「見付ける」ようにします。
④「終末段階」では、個々に努力目標や実践方法を「決める」ことができるように、「個別化・実践化」を図るようにします。

