理科教育【わかる!教育ニュース #73】

先生だったら知っておきたい、様々な教育ニュースについて解説します。連載第73回のテーマは「理科教育」です。
目次
「社会に出れば理科不要」という子が半数近い日本の高校生
社会に出たら、理科は必要ない。そう考える日本の高校生が45.9%いるどころか、韓国、米国、中国を10ポイント以上も上回っている……議論の種になるような調査結果が公表されました。
調査は米中韓との比較を通じて日本の青少年の特徴を解き明かそうと、国立青少年教育振興機構が毎年テーマを設けて実施。今回は科学への意識や学習について昨年9月~今年1月に行い、4か国計1万6117人(日本は4955人)の回答をまとめました(参照データ)。
「社会に出れば理科不要」と言う子が半数近い日本に対し、韓国は33.5%、米国が27.6%、中国は17.6%。考え方の違いがはっきりしています。
日本の子は、理科を学ぶ意識にも特有の傾向があります。「理科の学習はおもしろい」と思う子は72.8%で、中国の80.7%に次ぐ多さ。ところが、「学校で学ぶ内容より多くの知識を勉強したい」は、4か国で最も少ない42.1%です。同機構の研究員はこの結果を「カリキュラム内の内容には興味を示すが、自発的に探究しようとする意欲や好奇心が相対的に低い」と指摘しています。
理科の学びを実生活につなげる力や、学習への自信の乏しさも浮き彫りになりました。「科学技術について学んだことを生活に生かせる」という子は、米中韓が6割前後に上るのに対し、44.0%。また、「科学の技術や知識を学ぶのはむずかしい」と考える子は、4か国で最も多い65.6%でした。