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「学校サポーター」スキルアップ講座<第1回 教育現場で活躍する学校サポーターってどんな仕事?>

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東京都公立小学校教諭

渥美卓哉

子供に関わる仕事、教育に関する仕事をしたいと思っていても、教員免許がない、免許はあるものの勤務経験がない、勤務可能な時間が限られる…などといった理由から諦めてしまった人もいるのではないでしょうか。しかし、教員免許や学校勤務の経験がなくても、毎日フルタイムで勤務することが難しくても、学校、そして子供たちを支える仕事があることをご存じでしょうか? これは多忙な先生たちの手の行き届かない業務や子供たちをサポートすることでみんなから頼りにされ、自分自身もやりがいをもって楽しく働くことができる「学校サポーター」のための特集です。
第1回は、学校サポーターの業務内容と一日の流れを解説します。

監修/東京都公立小学校教諭 渥美卓哉

※教員以外の立場で学校を支える外部人材は、自治体によって、「支援員」「会計年度任用職員」「スクールサポートスタッフ」「エデュケーション・アシスタント」など様々な名称で呼ばれています。本企画では、これらを総称して「学校サポーター」と表記しています。

学校サポーターとは?

現在、学校における働き方改革推進の観点から、多くの自治体で学校を支える外部人材が任用されています。

例えば、授業中の学級担任補助や登下校の見守りなど子供たちの支援を行うスタッフ、職員室で教員に代わり掲示物の作成や資料の印刷などの事務作業を行うスタッフの他、副校長の補佐を行う職種などもあります。いずれも年齢制限はなく教員免許の有無にかかわらず応募できる職種も多く、また、午前のみ、午後のみといった比較的短時間での勤務の募集もあるため、「パートタイムでよいから学校をサポートしたい」という方にも適しています。

みんなの教育技術でも、現在『みん教のスクさぽ』というスクールサポート事業を開発中です。詳しくは、こちらのレポート記事をご覧ください。

2025年1~3月に神奈川県横浜市立本町小学校で行われた『みん教のスクさぽ』の現地支援の様子(学習支援)

なぜいま学校現場で学校サポーターが求められているのか

近年は、学級内の教育的ニーズが多様化し、担任一人で一斉指導が行うことが困難になってきています。また教師の業務負担の増加により、子供たちが抱える課題にきめ細かく対応する時間的・精神的な余裕がないのが現状です。

授業中に集中できない子、発達に特性のある子、朝や帰りの支度に時間がかかる子などに対し、学習サポーターが一人ひとりに合わせた適切な支援を個別に行うことで、教員の負荷が軽減され、子供たちも安心して学校生活を送れるようになります。また、教員に代わり資料の作成、授業準備等の事務作業を担うことで、教員は教材研究や子供の指導に集中でき、教育の質の向上につながります。

「みんなの教育技術」では、教員の勤務実態に関するアンケートを実施。5000人以上の現役教員から回答が集まり、外部人材にサポートしてほしい業務に関する要望も多く寄せられました。

学校サポーターの主な業務内容

1. 学習支援(主に授業のサポート)

  • 発達障害や学習に遅れのある児童への個別・小集団対応
  • 授業の準備・片付け(教材や用具の準備・配付、施設の開錠・施錠、体育時のコートづくりなど)
  • 担任や教科担当教員のサポート(机間指導の分担、進行補助)
  • 授業中に集中できない子供へのサポート(見守り、声かけ)
  • 宿題やテストなど提出物の回収・丸つけ・確認補助
  • 教材作成や学習成果物等の掲示の補助

2.生活支援(主に授業外の時間のサポート)

  • 登下校時の見守りや声かけ、子供の情緒・体調の確認
  • 朝の支度の補助、連絡帳確認
  • 休み時間中の見守り、ケガや体調不良の子供の保健室の付き添い
  • 教室移動の際の補助、見守り
  • 給食・掃除・着替えなどの補助
  • 教室に入れない子や、登校に不安を抱える子への対応
  • 一人で過ごしがちな子の見守り・対応

 3. 事務・業務補助支援(職員室での事務方サポート)

  • 資料の印刷、ファイリング、ラベル貼り
  • 掲示物の作成や貼り替え、物品整理
  • 来客対応や電話対応
  • 教材作成、印刷などの授業準備、テストの採点
  • 配付物の仕分け・回収、整理
  • 学校便り用写真の撮影・データの整理・管理
  • 学校行事や課外活動の準備補助
  • 実施時数の集計、データ入力等のパソコン作業

学校サポーターの一日の流れ

以下は、学校サポーターの一日の流れです。あくまで一例であり、業務内容や一日の流れは学校によって異なります。また午前のみ、午後のみの勤務も可能で、多くの学校サポーターは勤務可能な曜日、時間を選択しながら自分のペースで働いています。

授業・生活支援を行うサポーターの一日の例

時間帯業務内容
8:00〜8:15出勤/1日の予定を確認
8:15〜8:30朝の登校の見守り/子供の様子をチェック/出欠確認の補助
8:30〜8:45朝の会のサポート(忘れ物確認、連絡帳の回収・記入補助など)
1時間目~4時間目授業補助/生活支援/中休み時間の見守り
給食時間・昼休み給食の配膳・下膳補助・食事支援/清掃・昼休み時間の見守り
5時間目~6時間目授業補助/生活支援
15:00〜15:30頃帰りの会のサポート/下校の見守り
放課後担任との情報共有・振り返り/明日の準備・教材印刷補助/掲示物の貼り替え
16:30頃退勤
※学級担任に質問・相談がある場合には、朝の出勤時、昼休み、放課後などの隙間を利用します休憩決められた時間に適宜取ります。

事務・業務補助支援を行うサポーターの一日の

時間帯業務内容
8:30出勤、学校からの依頼事項を確認
午前教材や配付物の印刷/関係各所から届いたチラシや学内の配付物の仕分け・封入/その他、急な依頼に対応
12:00~13:00頃お昼休み・休憩
午後~放課後翌日以降使用する教材の作成・印刷・仕分け/データ入力/掲示物の作成・貼り替え
16:00頃退勤
2025年1~3月に神奈川県横浜市立本町小学校で行われた『みん教のスクさぽ』の現地支援の様子(事務・業務補助支援)

知っておくと心強い学校の組織体制

学校には様々な役職があり、役職によって責任の範疇も異なります。業務や相談内容に応じて対応する教職員が変わる場合もあるので、大まかな組織体制を把握しておくとよいでしょう。

・校長学校の最高責任者で、リーダーシップを発揮し学校運営を統括。学校サポーターは、最初に校長との面談を行うことが多いです。その際、学校サポーターとの業務連絡の窓口は誰が担当しているのか確認しておきましょう(副校長もしくは教務主任になるケースが多い)。
・副校長(教頭)校長を補佐し、学校運営を円滑に進めるために校長の命を受けて様々な校務を司り、 教職員を監督・指導する管理職。校外の関係各所との連絡調整を行う窓口を担当しており、比較的学校サポーターとも接点が多い役職です。
・主幹教諭・指導教諭管理職に準ずる立場であり、現場の教育実践にも関わる「プレイングマネージャー」的な役割です。校長や副校長・教頭の補佐的機能を果たしつつ、主任教諭等を指導・監督し、教員の育成にも携わります。
・主任教諭主幹教諭のサポートの他、学年主任、研究主任、保健主任、特別活動主任といった各校務分掌上における学校運営上の重要な役割を担い、同僚や若手職員への助言・支援なども行います。
・教諭学級担任として日々の授業や児童対応を行うとともに、主幹・主任のもとで特定の委員会や分掌に所属しながら役割を分担します。

その他、学校では日々の業務のほかに、「行事委員会」や「研究委員会」、「特別活動委員会」など、目的別に委員会組織があり、教員は複数の役割を兼任するのが一般的です。また、学校を運営するための重要な仕事が「校務分掌」です。校務分掌は「教務分掌(時間割作成、出欠管理、転入出手続きなど)」、「生活指導分掌」、「研究分掌」などと細かく分かれ、各教員は分掌ごとに役割が割り振られ、学年を超えて学校全体の運営に関わります。

理解度をチェックしましょう

【理解度チェック】※答えは記事内にあります!
□学校サポーターには、教員免許が必須である。(Yes/No)
□学習支援のサポートには、授業の準備・片付けは含まれない。(Yes/No)
□事務・業務補助のサポートには、電話応対を求められることもある。(Yes/No)
□学級担任に質問がある場合には、朝の出勤時、昼休み、放課後などの隙間を利用する。(Yes/No)
□学校サポーターに対する業務連絡等の窓口は、学級担任のみである。(Yes/No)

次回は、学校サポーターの身だしなみ&マナーについて解説します!

【「みん教のスクさぽ」の事業についてご興味のある方はこちらまでご連絡ください!】
「みん教のスクさぽ」準備室 m-sukusapo@shogakukan.co.jp

取材・構成・文/出浦文絵

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