「ディープフェイク」とは?【知っておきたい教育用語】
みなさんは、「ディープフェイク」という言葉をご存じでしょうか。今、インターネットやSNS上では、ディープフェイクを悪用したフェイク情報の投稿や拡散、性犯罪が大きな問題となっています。今回は、学校現場にも波及しているディープフェイクの問題について深掘りしていきましょう。
執筆/「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム

目次
ディープフェイクとは
【ディープフェイク】
「ディープラーニング(深層学習)」と「フェイク(偽物)」を組み合わせた造語。近年では、生成AIなどを用いた、フェイクによる画像や動画の悪用が社会問題となっている。
「ディープラーニング(深層学習)」とは、画像認識や音声認識、翻訳などの多岐にわたる分野で活用されてきた機械学習の一つです。本来は、映画製作などの現場において、作業の効率化を目的に開発されました。しかし技術が進化し、そのクオリティーが上がるにつれて、著名人をかたって悪用するケースが増加してきました。とくに、なりすましによる金銭の詐取や企業の情報セキュリティへの攻撃などの被害が多発しています。
また、ディープフェイク動画による政治家などのなりすましも懸念されています。2022年には、何者かによって、ウクライナのゼレンスキー大統領がウクライナ軍に武器を置くよう訴えかける動画がFacebookなどのSNSに投稿されました。ロシアへの降伏を発表しているかのように見せかけた動画は、ゼレンスキー大統領自身が否定し、直ちに削除されましたが、ディープフェイクによる脅威として大きな波紋を広げました。
こうした、政治家などのディープフェイク動画が拡散され、多くの人がフェイク情報を信じてしまった場合、選挙における投票活動に影響を及ぼすなど、社会に大きな混乱をもたらします。
学校でも広がるディープフェイク問題
ディープフェイクの悪用問題は、学校現場にも広がりを見せています。とくにアメリカでは、ディープフェイクをポルノ画像や動画に悪用する「性的ディープフェイク」が深刻化しており、男子生徒が女子生徒や女性教員の性的ディープフェイク画像を作成、グループチャットで共有するケースなどが多数報告されています。
日本でも生成AIなどを使って、実在する子どもの性的な画像を作成、販売するなどの犯罪が相次いで発生しており、なかには、卒業アルバムの写真が悪用される被害も起きています。2025年6月に名古屋市で、小学校教員が女子児童の下着を盗撮し、その画像をSNSのグループチャットで共有していた事件が発生しました。共有された画像の一部には、性的ディープフェイクによるものも含まれていたとされています。
生成AIなどを使えば、誰でも簡単にディープフェイク画像や動画を作成することができてしまうため、一部の教師による悪用事例が露呈したことで、多くの保護者に不安が広がっています。