アタックを使った簡単なネット型の教材ってないの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #87】


#86では、アタックで狙った位置にボールを打つことを学習させる教材を紹介しました。「手のひらで打つ」「打つ瞬間に力を入れて手首を固める」などが、狙った位置にアタックを打つポイントでした。
今回は、その学習を活かしてアタックで点を取り合う教材「アタックゲーム」を紹介します。
執筆/東京都公立小学校教諭・逸見淳一
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川譲
目次
1.「アタックで点を取ることが楽しい!」と感じさせよう!
① ゲームのやり方
#86のアタックパスの後半では、ネットを挟んで、アタックパスをしました。これを繰り返して、十分にアタックの習熟が進んだら、そのコートをそのまま使って、点を取り合うゲームを行います。
まずは、仲間同士の連携がない「アタックゲームⅠ」です。
このゲームは、攻撃側と守備側が分かれるベースボール型のような教材です。
<場の設定>

<ルール>
●体育班の4人を1チームとする。
●攻撃するチームと守備をするチームを決める。
●自分でボールを投げ上げてアタックを打つ。
●ネットを挟んだ向こうのコートにバウンドしたり、相手が捕れなかったりしたら1点とする。
●コートのラインの外側にバウンドしたり、相手に捕られたりしたら得点にはならない。
●体育班のみんなが2回アタック(4人組なので8回)したら攻守交代する。ただし、休みがいたり体育班が3人だったりする場合は、誰かが3回目を打って8回に合わせる。
●点数の高いチームの勝ちとする。
② ゲーム進行のポイントや注意点
自分でトスを投げ上げるので、打ちやすい位置にボールを上げることが比較的容易で、意図的なアタックを打ちやすくなります。
また、自分の得点だけでなく仲間の得点も勝利につながるため、点を取ったときに仲間も一緒に喜ぶ姿が見られます。点を取ることが楽しい!と感じさせる大チャンスです。仲間と喜びを共有できる雰囲気づくりを心がけましょう。
子どもたちがゲームに慣れてきたら、アタックの回数を決めるやり方から、時間を制限(2分など)するやり方に変えてもよいでしょう。これにより、1つ1つの動きが素早くなっていきます。
時間制にした時に気をつけなければいけないのは、たくさんアタックしようとして、動きが雑になってしまうことです。急ぐ中でもしっかりとボールを投げ上げてアタックすることを意識させましょう。
③ 思考のポイント
このゲームで子どもたちに考えさせたいのは、どこを狙うと点数が取りやすいかということです。
ある程度ゲームが進んでから、子どもたちにどこを狙っているか聞いてみると、「相手がいないところ」や「相手の足元」などが出てきます。狙ってもなかなか思い通りには打てませんが、「わかる」と「できる」を近づけるためにも、意識し続けることが大切です。
しっかりと狙って打ったと見取れるアタックに関しては、成功・失敗にかかわらず、「いいところ狙っていたね」「惜しかったよ」などと声をかけ、評価するようにしましょう。
アタックゲームⅠで思考したこと、学んだポイントを、次のゲームでも同じように意識させて学習を進めます。この段階でしっかりと考えさせ、身に付けさせておきましょう。
2.アタックゲームⅡ
① ゲームのやり方
アタックゲームⅠで点数の取り合いを楽しみ、アタックの習熟が進んだら「アタックゲームⅡ」へと進みます。アタックゲームⅠとの違いは1つだけです。それは、投げ上げるのが自分ではなく、チームの仲間ということです。
仲間が投げ上げたボールをアタックすることは容易ではありません。#86のアタックパスで、仲間が投げ上げてアタックする経験を十分に積んでいることを前程に、「アタックゲームⅡ」に話を進めます。
アタックを打つ子のどちら側からボールを投げ上げればよいかをもう一度確認して行うとよいでしょう。
こちらもアタックゲームⅠと同様に、回数を決めてゲームを進めるやり方と、時間を決めてゲームを進めるやり方があります。
<コートの図>

ルールは基本的にアタックゲームⅠと同じです。アタックゲームⅠと違うところは、以下の点です。
●仲間がボールを投げ上げて、アタックを打つ(投げ上げるのは次にアタックする子としています)。
② ゲーム進行のポイントや注意点
ボールを投げ上げる子は次にアタックを打つ子とします。それは、決まった子だけがトスアップやアタックの技能を高めるのではなく、みんなに同じ程度の機会を保障し、技能を高めることを重要と考えているからです。打ちやすいボールを上げること、狙ったところにアタックすることを意識させ、全員が両方の技能を高められるようにしていきましょう。
③ 思考のポイント
アタックゲームⅡで考えさせたいことは、アタックゲームⅠと同じです。投げ上げるのが自分ではない分、アタックを狙ったところに打つことは難しくなっています。仲間との連携が新たに加わる学習内容となります。うまくいかない時は、もう一度アタックパスで学んだことを思い出させるとよいでしょう。