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「児童養護施設」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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「児童養護施設」は、社会的な養護が必要とされる子どもたちの生活の場で、日本全国に約600か所あります。今回は、児童養護施設の歴史から役割、種類と併せて、現状と課題を解説していきます。

執筆/創価大学大学院教職研究科教授・宮崎猛

児童養護施設とは

【児童養護施設】
児童養護施設とは保護者のいない児童や、虐待などにより家庭での養育が困難な児童を保護し、生活の場を提供する福祉施設。児童福祉法第41条に基づき設置され、入所児童の心身の健全な育成と自立支援を目的としている。かつては「孤児院」と呼ばれていたが、1997年の法改正により「児童養護施設」と改称された。

日本の児童養護施設の歴史は、明治時代に始まりました。当初は、孤児院として戦争や災害で親を失った子どもたちを保護することが主な目的であり、戦後の混乱期には、多くの子どもたちが親を失い、施設の必要性が高まりました。その後、児童福祉法の制定により、児童養護施設は法的な位置づけを得て、保護者のいない児童や虐待を受けた児童など、様々な事情を抱える子どもたちを対象とするようになりました。

児童養護施設の役割と種類

現在の児童養護施設は、子どもたちの生活の場としてだけでなく、教育や心理的ケアを提供する場としての役割も担っています。施設では、子どもたちが安心して暮らせるよう、日常生活の支援や学習支援、進路指導などが行われています。また、子どもたちが社会に出た後も自立して生活できるよう、社会的スキルの習得や就労支援なども提供されています。

児童養護施設の運営は、主に社会福祉法人が行政から委託を受けて行っており、国や地方自治体からの補助金、寄付金などで成り立っています。施設の形態も多様化しており、大規模な集団生活を行う「大舎制」から、家庭的な雰囲気を重視した「小舎制」や「グループホーム」など、子どもたちのニーズに応じた形態が採用されています。

●大舎制
1舎につき20人以上の子どもが生活する施設。1部屋5~8人ほどで、かつ食事は大きな食堂でいっしょに食べる施設が多いため、子どもたちを管理しやすいが、一人一人のプライバシーが守られづらいという側面もある。

●小舎制
1舎につき12人までの子供が生活する施設。一つの施設内に、独立した家屋がいくつかあり、それぞれの家屋内に必要な設備が設けられている。大きな建物のなかで生活単位を小さく区切ることができるため、大舎制よりもより家庭的な雰囲気のなかで生活できるが、多くのスタッフが必要となる。

●グループホーム
原則として定員は6名。本体の児童養護施設とは別に、一般住宅を利用している。家庭的な生活を送ることで、子どもの心身の安定を図ることを目的としている。夫婦で養育する場合にはファミリーグループホームとも呼ばれる。

児童養護施設の現状と課題

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