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自然観察の中で子どもの興味・関心を引き出す 【理科の壺】

連載
理科の壺/進め!理科道~理科エキスパートが教える、小学校理科の指導法とヒント~

國學院大學人間開発学部教授

寺本貴啓
 【理科の壺】
自然観察の中で子どもの興味・関心を引き出す
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理科の授業では生物系の学習をすることも多いですが、みなさんは植物や虫など、どの程度の知識をお持ちですか? 名前くらい…という方もいらっしゃると思いますが、子どもたちが生き物に興味・関心を持つためにも、先生自身が少しだけ生き物のことを知っていて、興味の入り口を作ってあげるといいでしょう。しかし、一度にたくさんのことを知る必要はありません。この時期をきっかけに1つ、2つ新しいことを知ればいいのです。優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような “ツボ” が見られるでしょうか?

執筆/神奈川県公立小学校教諭・内野寿秋
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

生活科や理科などで身近な生物の観察をすることが多くあります。身近な生物に興味をもつ子どもは比較的多いと思いますが、その中でもより興味を引き出し、子どもが進んで自分の身の回りの自然に目を向けられるようになるポイントをご紹介します。

1 生物の名前を知る

身近な生物にはそれぞれに名前がついています。それは植物も昆虫も鳥も同じであり、その名前を知ることで、子どもの中では「雑草」から「知っている草花」に、「虫」ではなく「知っている虫」に変わります。名前を知ることは、対象を自分の理解の範疇に収めるということなのです。
また、名前にはその生物の特徴を端的に表しているものも多いです。「なぜこのような名前なのだろう?」と問いかけることで自然と生物への興味が強まります。
例えば、ヤハズエンドウというマメ科の植物があります。葉の先端が矢筈(やはず)の様にへこんでいることが名前の由来です。またの名をカラスノエンドウと言い、実が熟すとカラスのように真っ黒な色になることが由来で、これもやはり特徴を端的に表す名がついています。

熟したヤハズエンドウ/写真AC

他にも、テントウムシには背中の模様(星)の数が一定でない種がいますが、ナナホシテントウは背中の模様(星)の数が七つと決まっています。

このような視点で子どもと関わるためには、当然教師がある程度身近な動植物の名前を知っていることが重要です。子どもの発見に教師がより確かな「かたち」を与えることで、子どもと教師のつながりは深まり、自然への興味も強まります。手始めに、校庭の周りを囲む植物の名前を知るところから始めてはいかがでしょう?

2 生物について一歩踏み込んで知る

生物の名前がわかると次は「どんな生き物なのだろう?」と子どもは考え始めます。生物の特徴を知ることでその生物がどんな生活をしているのか考えることができます。
例えば、1年生の国語にもありますが、くちばしの形から鳥の生活を知ることができます。身近な鳥としてスズメやヒヨドリ、カラスなどが挙げられます。これらのくちばしは、それぞれの食性に適した形をしています。
別の例として、テントウムシは捕まえられると黄色い汁を出して身を守ります。ニホンアマガエルはじっとしているとき、体色を周りの色と同化させることで敵から発見されないようにカモフラージュします。このように小さな生物は外敵から身を守るために様々な手段を持っていることに観察を通して気づき、考えることができます。

生物によっては直接見ることが難しかったり、学校周辺の環境によっては見られなかったりすることもあるかと思います。ICTを活用することで生物の生活や体の作りをよく見ることができます。
 >参考:「NHK ものすごい図鑑

3 年間を通して生物の変化をみとる

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