「こうもりふり」の次はどうしたらいいの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #85】


前回は、「こうもり」と「こうもりふり」という教材を紹介しました。逆さ姿勢で体をふるという動きに慣れてきて、大きく振動できるようになったら、次は「こうもりふり下り」という運動に進むことができます。ダイナミックでスリリングな「こうもりふり下り」は、子どもたちが意欲的に練習に取り組む魅力的な教材です。脱力して20点程度の振動ができるようになったら、「こうもりふり下り」に取り組めます。
スリリングというのは、多少の危険も伴うということです。一人で「こうもりふり下り」ができるようになるのは、発展的な活動という捉えでの実践をお勧めします。私の感覚では、手を着かないで下りられる子は、クラス全体の5~6割くらいでしょうか。最大振動時に地面に手を着いて膝が外せれば十分です。この後紹介するスモールステップ➀まででも、十分楽しめる教材です。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・齋藤裕
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川譲
目次
1.こうもりふり下りのポイント
●振動が最大になるタイミングで鉄棒から膝を外すこと。
●その後、腰、膝を曲げて体を小さくして着地すること。
2.スモールステップで取り組もう
膝を鉄棒から外すことの恐怖心から、大きく振動できていながら膝を外すタイミングがつかめない子がいます。この子たちがこうもりふり下りに挑戦していけるように、以下のスモールステップで取り組むようにします。
① 地面に手を着いてから膝を鉄棒から外す

② 手から足への着地時間を短くする
着手位置が鉄棒の真下から自分の背中側に離れていくと、手と足の着地の時間的なずれが小さくなっていきます。「手-足と地面に着く間の時間をできるだけ短くしてみよう」と声をかけたり、できている子を見取ってお手本としたりします。#84の「こうもりふり」でも触れたように、顎の動きが出てきて背中側へのふりが大きくなると、手と足の着地時間のずれを短くする可能性が高まるので、改めてこの運動ポイントについて教師が意図的に声かけをするとよいでしょう。
③ 手・足が同時に着く
ステップ②に取り組んでいると、手と足をほぼ同時に着地する子が出てきます。そのような子が見取れたらお手本として紹介します。
先程も述べましたが、手-足の順で着地できることを認め、それができたらOKとしましょう。③からは、危険のない範囲で取り組ませます。

④ 足・手の順
ステップ③に十分に取り組めた子に、「足が先になるとすごいね」とさりげなく声をかけます。そうすると、意外と簡単に足-手という着地ができるようになる子が出てきます。ここまでくれば、最後の足だけの着地にも恐怖心なく取り組むことができます。
⑤ 手をつかないで着地
手をつかないで着地できたら、最高難度成功です。
