デジタル教科書【わかる!教育ニュース #68】

先生だったら知っておきたい、様々な教育ニュースについて解説します。連載第68回のテーマは「デジタル教科書」です。
目次
多くの教育関係団体が紙の教科書の継続を求める
教科書の内容がタブレット端末で見ることができ、音声や動画の教材も活用した学びが広がっています。一方で、紙の教科書だからこその学びもあります。文部科学省は「当面の間は」紙とデジタルを併用する考えですが、この先、共存はむずかしいのでしょうか。
最近開かれた、デジタル教科書の推進に関する中央教育審議会の作業部会で、多くの教育関係団体が紙の教科書の継続を求める意見を寄せていることが明らかになりました(参照データ)。
話は今年2月にまとめられた作業部会の中間報告に遡ります。「紙かデジタルか」の2項対立にしない。双方のよさを生かした「ハイブリッド型」の教科書を認める。デジタルを正式な教科書として扱い、検定や採択の対象にする。そんな提案がされました。
これに対し、24の団体が意見を提出。紙ならではの学びを訴える声が相次ぎました。
例えば、「紙の教科書は触覚や嗅覚など複数の感覚を刺激し、記憶の定着に効果的」(全日本中学校長会)、「デジタル全盛の時代にこそ、自ら考える力を育むには、まとまった文章を読むことが不可欠。その習慣を付けるには紙の教科書こそ適している」(文字・活字文化推進機構)、「紙は紙面を広げて全体を確認したり、複数ページを見比べて考えたりなどの場面に適する。デジタルは読み上げ機能を用いた言語活動、動画などを用いた創作活動でメリットがある」(中核市教育長会)など。併用や教科の特性に合った選択を望む声もありました。