1年生の学級会指導 成功へのステップ【自治的な活動を促す 学級経営の極意Ⅱ⑥】


子供たちが自治的な活動を行えるようにするためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に特別活動の本流を踏まえて、学級活動の基礎基本を解説します。第6回は、1年生の学級会について解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章
「1年生の学級会」は、義務教育としての教育課程の基盤です。まずは、学級会は教科の授業と異なり、子供たちが自分たちで話し合って、自分たちの力で学級をよりよくする時間であることを理解できるようにすることが大切です。具体的には、教師が司会や黒板記録などを子供たちと一緒に行うことで、活動を通して学級会の進め方を体感できるようにします。そこで、1年生の学級会の実践にあたって、3つのキーワード「入門期の指導」「後半の時期の指導」「実践活動の重視」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① 1年生入門期の指導
1年生「入門期の学級会」は、小学校での基盤となる指導を行う時期です。この段階ではまず、子供たち一人一人が学校生活に適応できるようにすることが指導の中核です。教科等の学習では「学び方」を学習します。学級会は、このような指導の上に立って、子供たちが学級生活をよりよくするために、自分たちで話し合って実践活動を決定することができる時間があるということを理解できるようにしましょう。
1単位時間で話合いと実践を行います
入門期の学級会は、1単位時間のすべてを話合いの時間にするよりも、前半で話し合って決めたことを後半の時間で実践するといった方法をとる実践が多く見られます。学校の授業の中で、自分たちで話し合ったことを、自分たちの力で実践する「学級会」という時間があることを子供たちが体感できるようにしていきましょう。
CHECK② 1年生後半の時期の指導
1年生も後半になり、学級会を積み重ねていくと、話合いと実践活動の関係を理解できるようになります。また、発表の仕方も理解できるようになり、みんなで何かを決めるためには、「自分もよく、みんなもよい」ということの大切さを体感できるようになってきます。そこで、少しずつ進行の役割を子供たちに委ねていくようにしていきましょう。
計画委員の役割を経験できるようにします

入門期の指導を積み重ねていきながら、学級会には「司会」「記録」という役割があることを理解し、実践できるようにしていきます。1年生なりに、自分たちの力で話合いを進行することを少しずつ体験できるようにします。司会も黒板記録もノート記録も教師と一緒に役割を担っていく段階ですが、可能な範囲で子供に委ねる場面を設定していきましょう。
CHECK③ 実践活動の重視
学級会は、みんなで決めたことを実践するために話合いをする時間です。話し合って決めたことを確実に実践していかないと、子供たちは次から本気で話し合う意欲を失ってしまいます。実践に向けた事前の準備や当日の活動が充実したものとなるように配慮していきましょう。
実践の振り返りを次の活動に生かします
実践活動で楽しかったと感想を述べる子供たちの「振り返りを言語化」し、次の活動に生かすことが大切です。なぜ、楽しく活動できたのか、もっと楽しくするために、何か工夫できることはなかったか等、成果と課題に関する視点を明確にして、1年生なりの振り返りができるようにします。そして、その振り返りを次の活動に生かすようにしていきましょう。
イラスト/池和子(イラストメーカーズ)