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学級会の議題を選定しよう【自治的な活動を促す 学級経営の極意Ⅱ②】

連載
自治的な活動を促す 学級経営の極意Ⅱ
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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章
【自治的な活動を促す 学級経営の極意Ⅱ】バナー

子供たちが自治的な活動を行えるようにするためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に特別活動の本流を踏まえて、学級活動の基礎基本を解説します。第2回は、学級会の議題の選定について解説します。

執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
 城西国際大学兼任講師
 日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章 

学級活動(1)学級会は「議題」が中核です。その議題は、教師が恣意的に「設定」するものではなく、子供たちによって「選定」されるものです。「選定」である以上、いくつかの議題の中から選びだすことが基本です。
そこで、学級会の「議題選定」にあたって、3つのキーワード「望ましい議題の条件」「自治的活動の範囲」「議題選定の視点」でチェックしてみましょう。

CHECK① 望ましい議題の条件

議題を選定するためには、望ましい議題の条件を踏まえることが大切です。例えば、学級経営上の指導指針として、本来教師が設定する「学級目標」を議題として子供たちの話合いに委ねることは望ましいとは言えません。望ましい議題を選定する際には、次のような条件を踏まえるようにしましょう。

①学級生活に直接結びつく問題
②学級の全員に共同の問題
③子供の自治的活動の範囲内の問題
④子供の発達段階に応じて子供が理解できる問題

子供たちの問題意識を高めます

議題案を考える子供

学級会の議題は、子供たちが学級生活の諸問題を見付け、その解決に向けて話し合い、実践する活動です。まずは、今の学級生活の充実と向上を目指して、解決したい諸問題を発見する力を育てましょう。はじめは、なかなか議題が見付からないこともあるので、議題例を提示している学級もあります。望ましい議題を見付ける目を育てていきましょう。             

CHECK② 自治的活動の範囲 

学級会は、子供の「自発的、自治的な活動」を特質とします。教師は、可能な限り、子供たちの活動に委ねていくようにすることが基本です。しかし、学級会は教育課程の授業として位置付きますから、その活動には事前に確認しておかなければならないことがあります。

子供に任せることのできない問題を確認します

学級会では、子供の「自治的活動の範囲」を明確にしておく必要があります。そのためには、教師が次のような「子供に任せることのできない問題」を確認しておくことが大切です。

①個人情報やプライバシーの問題
②相手を傷つけるような結果が予想される問題
③教育課程の変更に関わる問題
④校内のきまりや施設・設備の利用の変更などに関わる問題
⑤金銭の徴収に関わる問題
⑥健康・安全に関わる問題

CHECK③ 議題選定の視点

議題は、教師が設定するのではありません。子供たちの自発的、自治的な活動として、子供たちが学級の諸問題を解決するために取り上げた問題の中から、次のような視点をもって議題として選定できるように指導します。

①早急な解決が必要な問題
②学級全員の協力が必要な問題
③創意工夫できる問題
④自分たちの力で解決できる問題
⑤学級や学校の生活をよりよくする問題

議題案の中から議題を選定する計画委員

取り上げられなかった議題の扱いを明確にします

学級会で話し合われる議題は、出された議題を計画委員がいくつかに選定して提案し、学級全員の承認を得て決定します。その際、選定されなかった議題をどのように扱うかを明確にすることが大切です。これは、学級会で採用されなかった意見の扱いと同じ考え方です。取り上げられなかったどの「議題」も、採用されなかったどの「意見」も大切に扱い、一人一人の考えを大切にしてよりよい人間関係を築くような学級会にしていきましょう。

イラスト/池和子(イラストメーカーズ)

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