小３体育「体ほぐしの運動【体つくりの運動】」指導アイデア

特集: 文部科学省教科調査官監修｢教科指導のヒントとアイデア｣

授業改善

2025.03.26

プリント

単元名

体ほぐしでニコニコ・ワクワク

年間計画表　

単元目標

●知識及び運動
体ほぐしの運動の行い方を知るとともに、手軽な運動を行い、心と体の変化に気付いたり、みんなで関わり合ったりすることができるようにする。
●思考力、判断力、表現力等
自己の課題を見付け、その解決のための活動を工夫するとともに、考えたことを友達に伝えることができるようにする。
●学びに向かう力、人間性等
体ほぐしの運動に進んで取り組み、きまりを守り誰とでも仲よく運動をしたり、友達の考えを認めたり、場や用具の安全に気を付けたりすることができるようにする。

授業づくりのポイント

体ほぐしの運動は、体を動かす楽しさや心地よさを味わうことを通して、自己や友達の心と体の状態に気付いたり、みんなで豊かに関わり合ったりすることをねらいとしています。誰もが簡単に行うことができる易しい運動に取り組むことで心が弾み、体の動きが軽快になったり、体の力を抜くと気持ちがよくなったりするなど、心と体の変化に気付くことができます。また、みんなで関わり合いながら運動をすることで、自他の心と体に違いがあることを知り、誰とでも仲よく協力したり助け合ったりする楽しさや友達との心のつながりを感じ、運動への不安が解消されることなどを味わうことができます。

授業では、「人数」や「用具」などの条件を変えたり、心と体の変化に気付ける運動の行い方を工夫したりすることにより、課題解決的な学習を進めていきます。一方で、自他の心と体の状態に気付くことや、ペアやグループで関わりながら運動をすることが苦手な子供もいます。

そこで、本指導アイデアでは、子供同士が話し合う場面を意図的に設定したり、学習カードやICT端末を用いて、心と体の状態をグラフ化したりします。また、友達と豊かに関わるために、どの運動もペアやグループで行うことを基本とし、友達と関わり合い、協力する必要のある運動を取り入れたり、友達のよさを互いに伝える場面を設定したりします。

体ほぐしの運動では、学習のねらいを明確にして運動をすることが大切です。そのため、子供が学習のねらいに応じた運動の行い方を理解して運動を選んだり、心や体の変化に気付いたりすることができるように、教師は発問を工夫します。また、技能や体力の向上をめざすのではなく、手軽な運動や律動的（リズミカル）な運動を行い、体を動かす楽しさや心地よさを味わうことができるようにします。「人数」「用具」などの条件について、子供自身で自己に適したものを選び、より体を動かす楽しさを味わい、友達と関わる喜びを感じられるようにすると、効果が高まります。友達と一緒に運動する際は、温かな雰囲気をつくり、気付きを促すよう言葉がけを工夫します。また、体ほぐしの趣旨を生かし、表現やリズムダンスなどの学習で主運動に取り組む前に体ほぐしの運動を行うこともできます。このような特性から、本稿では、年間指導計画において、年度のはじめに設定しました。

単元計画（例）

単元の評価規準

●知識・技能
①体ほぐしの運動の行い方について、言ったり書いたりしている。

●思考・判断・表現
①自己の課題を見付け、その解決のための運動の行い方を選んでいる。
②自己やグループで考えたことを友達に伝えたり、学習カードに書いたりしている。

●主体的に学習に取り組む態度
①体ほぐしの運動に進んで取り組もうとしている。
②用具の準備や片付けを、友達と一緒にしようとしている。
③友達の考えを認めたり、互いの気持ちを尊重し合ったりしようとしている。
④用具や活動する場の安全を確かめている。

評価について
体ほぐしの運動の指導内容は、「知識及び運動」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」としています。これは、体ほぐしの運動は、心と体との変化に気付いたり、みんなで関わり合ったりすることが主なねらいであり、特定の技能を示すものではないことから、各領域と同じ「知識及び技能」ではなく、「知識及び運動」としているものです。そのため、評価においても、技能に関する評価規準は設定しないこととしています。評価の観点の名称は、各領域と同じ「知識・技能」ですが、そこには、体ほぐしの運動の行い方を知っていることを評価する、知識に関する評価規準のみを設定しましょう。

イラスト／高橋正輝

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