小2国語「スーホの白い馬」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、物語文の「スーホの白い馬」です。本単元の学習活動は、「最も心を動かされたところとその理由を伝え合い、感想を交流する」になります。そのため、主な出来事と心を動かされたところが分かりやすくなるような表を使った板書にします。また、場面ごとに、登場人物の様子を確かめ、そのときの気持ちを想像しやすいような板書の工夫を紹介します。

監修/元京都女子大学教授
 元同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・並木知子(せせらぎの会)
 
単元名 読んで、かんじたことをつたえ合おう
教材名 「スーホの白い馬」(光村図書出版)

単元の計画(全14時間)

 「スーホの白い馬」の全文を読み、感想を交流する。
 単元のめあてを設定し、学習計画を立てる。
 物語の設定や主な出来事を捉え、最も心を動かされたところを交流する。
 (※と同様)
 登場人物の行動や会話、出来事を捉え、想像したことを話し合う。
 ・「スーホ」と「白馬」の出会い
 ・「スーホ」の羊をおおかみから守る「白馬」
 ・競馬に出て、「白馬」を殿様に取られる「スーホ」
 ・「スーホ」のところに帰ってくる「白馬」
 ・馬頭琴を作る「スーホ」
6〜9(※と同様)
10 観点を選んで、「スーホ」がどんなことを思いながら馬頭琴を作り、演奏したかを読み深める。
11(※10と同様)
12 作品の中で、最も心を動かされたところをノートに書き抜き、その理由を書く。
13 最も心を動かされたところとその理由を伝え合い、感想を交流する。
14 学習を振り返る。「この本、読もう」を見て、読書意欲をもつ。

板書の基本

〇「おもなできごと」と「心をうごかされたところ」が分かる板書

教材「スーホの白い馬」は、最も心を動かされたところについて、互いの思いを共有することを通して、感じ方や考え方を広げていけるように学習を進めます。心を動かされたところがどの場面の出来事なのかが分かるような板書にします。

3・4/14時間目の板書では、お話の展開に沿って、「だれが」「どうした」場面なのか、表を使って全体像を捉えさせます。場面ごとの挿絵と主な出来事、心を動かされたところが分かる表を作成し、その表に自分のネームプレートを貼り、どの場面に心を動かされたのかが視覚的に分かるようにします。そうすることで、思いを交流しやすくします。

〇「スーホ」の様子を確かめながら、「スーホ」の気持ちが分かる板書

場面ごとに、登場人物の様子を確かめ、そのときの気持ちを想像させます。

9/14時間目の五の場面の板書では、スーホの様子が分かる言葉(言葉や文)からそのときの気持ちを想像させます。表を活用し、上段に「スーホのようすがわかることば」、下段に「スーホの気もち」を整理します。スーホが馬頭琴を作るまでの様子、そして、馬頭琴を作った後の様子をまとめた上段と対応させ、下段は、そのときのスーホの気持ちが分かるようにします。

板書を活用した授業の進め方(3・4/14時間目前半)

小2国語「スーホの白い馬」板書の技術 3・4/14時間目前半の板書
3・4/14時間目前半の板書

1 本時のめあてを確かめる

まず、日付を書きます。日付は、陰暦で書き、漢字にふりがなを付けて板書します。授業ごとに「如月」という漢字を繰り返し書く過程で、漢字で書けるようになります。

次に、題名・作者を書きます。ここでは、「スーホ」と「白い馬」をつなぐ「の」に気を付けて書かせます。めあてを板書し、子供にも同じようにノートに書かせます。

2 お話の設定を確かめる

まず、「中国の北の方」から始まる前書きの部分を音読し、「場所」を確かめます。場所は、「モンゴルという広い草原」であることを確かめ、「◎ばしょ ・モンゴル ・広い草原」と板書します。

次に、「登場人物」を確かめます。「◎とうじょうじんぶつ」と板書し、子供の発言をもとに登場人物を板書します。中心人物は、「スーホ」と「白馬」であることを確かめ、「スーホ」は黄色のチョークで、「白馬」は青色のチョークで囲み、他の登場人物よりはっきりさせます。

3 全文を音読し、「おもなできごと」を確かめる

お話の全体像を捉えさせるために、表を活用します。

次のような手順で学習を進めます。

①「◎おもなできごと」と板書し、「ばめん」「さしえ」「できごと」「心をうごかされたところ」を縦軸に書いた表を板書します。
②全文を音読し、お話の順序を確かめながら、「さしえ」のところに、カードで示した時を表す言葉と挿絵を貼ります。
③横軸は、場面で分けます。時を表す言葉を手がかりにして、物語全体を一、二、三、四、五の5つの場面に分けます。場面と場面を白線で分け、表の「ばめん」のところに、一、二、三、四、五の番号を書きます。
④場面ごとに挿絵を見ながら、「だれが」「どうした」を確かめます。中心人物の「スーホ」は黄色カードで、「白馬」は青色カードで掲示し、出来事を整理して板書します。

板書を活用した授業の進め方(3・4/14時間目後半)

小2国語「スーホの白い馬」板書の技術 3・4/14時間目後半の板書
3・4/14時間目後半の板書

1 心を動かされたところを確かめる

心を動かされた出来事をもとに、表の4段目「心をうごかされたところ」に、ネームプレートを貼らせます。誰が、どの場面に心を動かされたのか、視覚的に分かるようにします。

一番心を動かされたところを全体で交流させます。話型を掲示し、今の段階で、「いちばんこころをうごかされたところ」とその理由を考えさせます。ノートに書かせ、話型をもとに交流させます。

〈話型の例〉

小2国語「スーホの白い馬」板書の技術 3・4/14時間目後半の板書 〈話型の例〉
※本時での「いちばん心を動かされたところ」を交流する際の話型は、13時間目の学習でも活用します。

2 本時の学習を振り返る

心を動かされたところがそれぞれ異なることを確かめ、本時の学習の振り返りをノートに書かせます。

板書を活用した授業の進め方(9/14時間目前半)

小2国語「スーホの白い馬」板書の技術 9/14時間目前半の板書
9/14時間目前半の板書

1 本時のめあてを確かめる

日付、題名、作者名を書きます。本時では、五の場面を学習することを伝え、3時間目に整理した五の場面の出来事「スーホが馬頭琴を作る。」を板書し、挿絵を貼ります。めあてを板書し、子供にも同じようにノートに書かせます。

2 スーホの様子をノートに書き出す

五の場面を音読させ、スーホの様子が分かる言葉を見付け、ノートに書かせます。黒板には、上段に「スーホのようすがわかることば」、下段に「スーホの気もち」と書いた表を書きます。ノートに書き出したことを発表させ、表の上段に、お話の順序に沿って整理します。       

スーホが白馬の夢を見て、馬頭琴を作ることになったということが分かる板書にします。

「白馬のゆめを見ました。」というスーホの様子を板書したところで、「ゆめ」の言葉を青色のチョークで丸く囲み、白馬が夢で言ったことをカードで貼ります。

「むちゅうで組み立てていきました。」というスーホの様子を板書し、その後に、できた楽器「馬頭琴」のカードを貼ります。

そして、スーホが「馬頭琴」をどこへ行くときも持って行ったことを確認させます。

「白馬が夢で言ったこと」がきっかけとなり、スーホが「馬頭琴」を作り、できた「馬頭琴」をどこへ行くときも持って行ったというスーホの行動のつながりを捉えさせ、白いチョークを使って矢印でつなぎます。

板書を活用した授業の進め方(9/14時間目後半)

小2国語「スーホの白い馬」板書の技術 9/14時間目後半の板
9/14時間目後半の板書

1 スーホの気持ちを想像する

表の上段のスーホの様子から、スーホの気持ちを想像させ、下段に書いていきます。

次のような手順で学習を進めます。

① スーホの悔しさ・悲しさが分かる「いくばんもねむれません」の言葉に、赤色のチョークでサイドラインを引きます。「ねむれない」スーホの気持ちを話し合い、発表させます。表の下段に板書し、赤色のチョークで囲みます。

② 白馬が夢の中で言ったことがきっかけとなり、「すぐ、そのがっきを作りはじめました。」「むちゅうで組み立てていきました。」ということを確認させ、スーホの気持ちが表れている「すぐ」「むちゅうで」の言葉に青色のチョークでサイドラインを引きます。「すぐ」「むちゅうで」楽器を作ったスーホの気持ちを話し合い、発表させます。表の下段に板書し、青色のチョークで囲みます。

③ できた楽器「馬頭琴」へのスーホの気持ちが分かる言葉を発表させます。「どこへ行くときも」「思い出しました。」「自分のすぐわきに白馬がいるような」の言葉に、黄色のチョークでサイドラインを引きます。スーホの気持ちを話し合い、発表させます。表の下段に板書し、黄色のチョークで囲みます。

「スーホのようすがわかることば」に引いたサイドラインの色と「スーホの気持ち」を囲んだ色を同じにして、視覚的にも分かりやすくします。また、チョークの色を変えることで、スーホの気持ちが変わっていくことを捉えやすくします。

2 本時の学習を振り返る

本時の振り返りとして、「今日の学習で、心にのこったのは、です。 
どうしてかというと、からです。」と書かせます。

5時間目から9時間目まで毎時間、学習の振り返りとして、「心にのこったところ」を書かせます。

12時間目には、これらの書きためた中から、「いちばん心をうごかされたところ」を選ばせます。

※挿絵は、執筆者による描画を使用しました。

 

構成/浅原孝子

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