【相談募集中】宿題をやらない児童へ指導することに疲れました
![](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2020/06/2020-08-16-11-42-39-518-300x300.jpg)
20代の男性教諭から「みん教相談室」に相談が寄せられました。宿題をやらない児童にやってくるよう働きかけているものの、指導の声が届かず疲弊しているそう。これに回答したのは、みん教の音声番組・ミサエラジオでの愛情深いポジティブトークで人気の佐賀県公立小学校教諭・小倉美佐枝先生。その内容を紹介します。
![](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/26005171.jpg)
目次
Q.宿題をやらない児童へ指導をするのが苦痛です
もう疲れました。宿題をやらない児童への指導が苦痛です。いつもは、宿題ができなかった理由などを聞き取りをしたうえで、どうするか児童と一緒に考えています。大抵の児童は、それで改善されるのですが、私が受け持っている児童は、宿題が一切出ません。出したふりや、チェックをしている間は教室からいなくなったり、家庭では宿題をしたと嘘を言ってごまかしたりしています。保護者とも話をしてできるように見届けや声かけをお願いしているのですが、進まない現状です。
また、宿題の量については1学期の頃よりも減らしています。そして、私の指導不足もあり、感情的になってしまうことも増えてきたと感じています。挙げ句には、児童から先生が怖いから学校に行きたくないと言われる始末です。自分の指導力がないあまり、お互いに消耗している状況です。もう疲れました。(はり先生・20代男性)
A.その子が取り組める範囲での内容と量の宿題を出していますか?
はり先生、これまで一生懸命頑張っていらっしゃったのだなあと伝わりました。疲れるのも心配ですが、疲れ過ぎるほど頑張るのは危険です。ぼちぼちが大切ですよ。
さて、宿題についてですね。宿題の量を検討し、減らしたのですね。よい取り組みだと思います。基本的に、「たくさん」すればいいとは限らないものです。
それでは、宿題の「内容」についてはどうでしょうか。私は、宿題(家庭学習)はその子が家庭で取り組むことができる範囲の中での内容と量を考えることが大切だと思っています。量を減らせば、するようになるとは限らないのです。全員同じ内容では難しい場合が多くあります。
例えば、漢字ノートで書く練習をする宿題で、量を減らしても取り組みたいとなかなか思えない子がいるとします。そのときは、内容は大きく変えず、方法を替えてみます。
・漢字ノートのマスを大きなものにしてみる
・漢字ノートではなくプリントに数文字だけ書くようにしてみる
など、その子に合わせた取り組み方を見つけてみてください。休み時間に「このやり方でやってみる?」とお子さんに提案してみて、1回だけ一緒にやってみる。それで「自分でできそう!」と思ったときは、「よし、今日もう1回やってみよう!」と前向きに声をかけてみてください。
ただし、必ずしも、やってくるとは限りません。「気長に信じる」ということも、私は教師として大切にしています。思わず、焦って結果を求めてしまうのですが、案外子どもたちはのんびりしているものです。つい、おとなは、子どもの将来のためを思って、「これしなきゃ」「あれしなきゃ」と急かしてしまいます。子どもたちは生まれて数年です。その数年で、遠い未来にどれだけ影響があるのかなんて想像もつきませんから、のんびりしているのかもしれませんね。
それに、先生ひとりで頑張らなくて大丈夫です。担任ではない級外の先生はいらっしゃいませんか。管理職の先生だっていいのです。「今日はなかなか難しいので、この子の宿題を見てもらえませんか」とお願いして大丈夫ですよ。
学級の子どもたちは、学校みんなの大切な子どもたちなのですから。周りの先生方の力も借りてみてくださいね。
それと、その子の学習への取組について気になるならば、学校の特別支援教育コーディネーターを担当している先生に早めに相談してみてくださいね。その子に合わせた支援策をいっしょに考えてくださると思います。
ひとりで、頑張らないこと。
私は、「ぽたぽた焼き」のキャラクターにあるおばあちゃんみたいな気持ちで、のんびりゆっくりと子どもたちに向き合っていますよ。焦らないで大丈夫。先生の頑張りは、学級の子どもたちにちゃんと伝わっていると思いますよ。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。