小3国語「すがたをかえる大豆」京女式板書の技術
今回の教材は、「すがたをかえる大豆」です。本単元の学習内容は、「例の書かれ方に気を付けて読み、それを生かして書こう」です。本時では、例がどのような順序で書かれてあるかを考え、事例の順序に筆者の意図があることを理解することを目指します。そのため、整理し、比較しやすい思考ツールのマトリックス(表)を活用した板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・古垣内千鶴子
教材名 「すがたをかえる大豆」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全12時間)
- 教材文を読んで、大まかな内容を捉え、学習の見通しをもつ。
- 段落相互の関係に着目し、文章全体の組み立てや「中」に書かれている具体例を大まかに捉える。
- 「初め」「中」を読み、文章全体の「中心」となる話題やその書かれ方について捉える。
- 例がどのような順序で書かれてあるかを考え、事例の順序に筆者の意図があることを理解する。
- 「すがたをかえる大豆」の説明の工夫についてまとめる。
- 食べ物に関する他の本を読んだ感想を伝え合う。
- これからの学習の見通しをもち、自分が選んだ材料について調べる。
- 自分の選んだ材料について整理する。
- 分かりやすい文章の組み立てや例の書き方を理解し、よりよい組み立てや書き方を考える。
- 選んだ食材について、事例を挙げながら表現を工夫して下書きをする。
- 選んだ食材について、文章を書く。
- 文章を読み合い、互いの文章のよいところについて伝え合う。
板書の基本
〇教材「すがたをかえる大豆」の指導内容は、「れいの書かれ方に気をつけて読み、それをいかして書こう」です。
この単元の意図としては、大豆についての説明文の「初め、中、終わり」の文型における「中」について、役割や効果の理解を促そうとしているところです。
指導内容の「書かれ方」については、「何が書かれているかというこれまでの説明文の読み方から「どのように書いているか」に向けて深めようとしました。
〇文章を考えながら読むということが大切であるということは子供たちも知っています。しかし、どのような活動が考えることにつながるのかについて、学習方法の意図を十分知らないことが多いように感じます。今回の板書においては、代表的な思考ツール(シンキングツール)であるマトリックス(表)を活用し、整理します。比較するという技法を活用していきたいと考えています。「書かれ方」 と「表現の工夫」を考えているからです。
板書のコツ(4/12時間目前半)
板書のコツ①
日付、題名、めあて〈「中」に書かれている例を表にまとめ、分かったことを発表する。〉を板書します。特に「表にまとめる」ということは、今までも経験している学習活動であること、文章を整理することに役立つ効果があることを補説しました。特に板書の意図として、文章を整理する方法や比較する方法を学習することを予告して、学習内容の方法を説明し、理解を促しました。
板書のコツ②
「中」の段落を音読し、整理するときに何に着目するかを考えさせました。①段落、②食品、③くふう、④作り方という4つのこと(視点)を板書で示しました。これにより、文章のどこに目を向けたらよいかという分かりやすい学習活動の促しになりました。
3・4段落のまとめ方を一斉学習で行い、学習方法の習得を目指して丁寧に行いました。
板書のコツ(4/12時間目中盤)
板書のコツ①
3・4段落の学習の仕方を生かして、5・6段落を1人学習にしました。一般的には、1人学習からグループ学習へと学習活動を広げている段階です。しかし、話し合いを通して深めることも大切ですが、今回は、「学習の仕方を習得させること」「文章の書かれ方」を読み取る力を育てたいと考えたので、次の手順で進めました。
・5・6段落を1人学習する。
・1人学習では教師が個別指導をする。
・教師は、子供がノートに書いている内容の理由を聞く。
・全員に共有した方がよいと判断したとき、板書をする。
・板書の事柄は他の子供も参考にするとよいことを理解させる。
5・6段落の板書は、子供の1人勉強の学習内容を教師がまとめたものです。
板書のコツ②
子供たちは板書と自分のノートとを比べ、書き加えたり、修正をしたりする活動になりました。ここでは、板書を写すという活動にはさせず、「書き方」に着目するように指導しました。工夫の赤チョークは5・6段落のまとめとして示しました。
板書のコツ(4/12時間目後半)
板書のコツ①
7段落は、グループでまとめさせ、その後、発表を通して学習内容を共有しました。学習過程として、
・まとめ方を知る。
・まとめ方を理解し、自分の力で行う。
・学習成果を生かし、自分たちで行う。
という3段階で行いました。
板書のコツ②
文章を表にまとめる学習活動を通して、学んだことを「分かったこと」として板書しました。自由発言の中で多くの子が納得したものを板書し、続いて「ふり返り」として、板書を次のように活用しました。
①板書をノートに書き写すという方法をとらず、タブレット端末で写真として写させました。
②「よく理解できたところ」「自分の考えと同じところ」「新しく知ったところ」をカラータッチペンで印を付けさせて、授業を振り返らせました。
③端末タブレットで、板書で行った振り返りの内容を(ロイロノートなどに)まとめて送信させました。送信後、子供同士が自由に読めるようにしました。
構成/浅原孝子