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新学習指導要領で「特別支援教育」はどう変わる?

2020/1/31

子どもたち一人ひとりの教育的ニーズを把握し、適切な指導と必要な支援を行うという特別支援教育の理念を実現すべく、教育現場ではさまざまな実践が行われてきました。新学習指導要領時代を迎える今、特別支援教育にはさらなる充実が求められています。これからの特別支援教育のあるべき姿、そしてとるべき手立てとは何かを考えていきます。

小石を載せた4つの掌
撮影/金川秀人

インクルーシブ教育の実現に向けて進められてきた環境整備

2020年4月、いよいよ新学習指導要領が小学校で全面実施となります(中学校は2021年4月より)。今回の学習指導要領改訂は、2007年に特別支援教育がスタートしてから2度目の改訂。この間、障害者権利条約に対応した障害者基本法の改正(2011年)や、インクルーシブ教育システムの構築を謳った中央教育審議会の報告(2012年)、障害者権利条約の批准(2014年)、合理的配慮の法的義務などを定めた障害者差別解消法の施行(2016年)など、特別支援教育にかかわる重要な環境整備が進められてきました。

特別支援教育をめぐる近年の動き
2005年 発達障害者支援法施行
2007年 特別支援教育の本格的実施(「特殊教育」から「特別支援教育」へ)
2007年 障害者権利条約署名
2009年 特別支援学級の対象に自閉症を明記
2011年 障害者基本法改正
2012年 中央教育審議会報告(共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育の推進)
2013年 障害者差別解消法制定(合理的配慮提供の法的義務など)
2014年 障害者権利条約批准
2016年 障害者差別解消法施行
2017年 新学習指導要領告示
2017年 「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」公表
2020年 小学校で新学習指導要領全面実施(中学校では2021年度より)

そして2017年に告示された新学習指導要領においても、特別支援教育に関する記述がよりきめ細かになるなど、指導の充実が図られています。その具体的な内容を見ていきましょう。

小学校・中学校ともに、新学習指導要領では、総則の第4に示された「特別な配慮を必要とする児童(生徒)への指導」の記述が、現行の指導要領よりもさらに具体的なものとなっています。

まず、障害のある児童生徒への指導については、個々の児童生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を、「組織的かつ計画的に」行うものと規定。そのうえで、特別支援学級で実施する特別の教育課程については、障害による学習上または生活上の困難を克服し自立を図るために自立活動を取り入れることや、児童生徒の障害の程度や学級の実態等を考慮したうえで、実態に応じた教育課程を編成することなどが明記されました。

新学習指導要領における特別支援教育の充実
●個々の児童生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ継続的に行う。
●特別支援学級及び通級による指導に関する教育課程編成の基本的な考え方を示す。
●家庭、地域及び医療や福祉、保健、労働等の業務を行う関係機関との連携を図り、長期的な視点での児童への教育的支援を行うために、個別の教育支援計画を作成、活用に努める。また、各教科等の指導に当たって、個々の児童生徒の実態を的確に把握し、個別の指導計画を作成、活用に努める。特に、特別支援学級に在籍する児童生徒や通級による指導を受ける児童生徒については、個別の教育支援計画及び個別の指導計画を全員作成。
●各教科等に学習上の困難に応じた指導内容や指導方法の工夫。
●障害者理解教育、心のバリアフリーのための交流及び共同学習。

上記のほか、中央教育審議会答申(平成28年12月)において、高等学校学習指導要領において、次の点を提言。
●高等学校における通級による指導の制度化(平成30年度から)に当たり、通級による指導に係る単位認定の在り方を示す。

文部科学省「心のバリアフリー学習推進会議」資料「特別支援教育に関する基礎資料」より

個別の支援計画・指導計画の作成、各教科での指導の工夫も規定

また、長期的な視点で児童生徒への教育的支援を行うという観点から、家庭、地域及び医療や福祉、保健、労働等関係機関との連携を図り個別の教育支援計画を作成し活用すること、各教科等の指導においても個々の児童生徒の実態を的確に把握し、個別の指導計画を作成し活用することなどが求められています。

各教科の「指導計画の作成と内容の取扱い」では、すべての教科で「障害のある児童などについては、学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行うこと」と明記。どの学級においても発達障害を含む障害のある児童生徒が在籍している可能性があることを踏まえ、一人ひとりの困難さに応じたきめ細かな指導の工夫を求めています。

このほか、総則に「障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を設け、共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むようにすること」と記載されるなど、障害者教育や心のバリアフリーのための交流および共同学習を進めていくことも示されました。

障害のある子どもとない子どもができる限り共に学ぶことを目指すインクルーシブ教育の実現に向けて、新学習指導要領のもと、さらなる特別支援教育の充実が求められることになります。

構成・文/葛原武史(カラビナ)

『総合教育技術』2020年1月号より

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