小1国語「うみのかくれんぼ」京女式板書の技術
今回の教材は、説明文の「うみのかくれんぼ」です。この単元の学習課題は、「生きもののかくれ方について文章を読み、見付けたことを交流する」です。本時では、「大事な言葉を見付けながら読む」という説明文の基本を学習します。子供たち自身がどのような学習活動をするかが分かる板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・松下祐子
教材名 「うみのかくれんぼ」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全8時間)
- 海の生きものについて知っていることを出し合い、本文を読む。
- 問いの文と答えを見付ける。
- 「はまぐり」について読む。
- 「たこ」について読む。
- 「もくずしょい」について読む。
- 「はまぐり」「たこ」「もくずしょい」について、学習のまとめをする。
- 生きもののかくれ方について書かれた本や文章を読む。
- 見付けたことを交流し、学習を振り返る。
板書の基本
〇学習力を育てるうえで大切なことの1つに、今、「何をすること」が大切かということを知っておくことがあります。教科書には「よんで たしかめよう」「だいじな ことばを みつけながら よみましょう。」とあり、「何をすること」につながります。
特に説明文においては、「たしかめる」「だいじなことば」ということの意味が分かり、学習活動につながるように指導することが大切です。
板書においては、常に「何をするか」ということが分かることと、それが学習活動につながるということを大切にしたいと考えています。
〇教材「うみのかくれんぼ」は、「うみには、いきものが かくれて います。なにが、どのように かくれて いるのでしょうか。」という2文で始まります。海の生きものが身を守るためにかくれることを「かくれんぼ」という題で説明しているのです。
「はまぐり」「たこ」「もくずしょい」という3種類の生きものについて、「かくれます。」「かくします。」「へんしんするのです。」という文末に変化を加えながら、それぞれの生きもののかくれ方を分かりやすく説明しています。しかし、1年生には文章の細部に目を行き届かせるのは難しいので、「べんきょう①」「べんきょう②」「べんきょう③」と学習活動の目的と順序、そして学習内容を分かりやすく板書し、学習力を育てたいと考えました。
板書のコツ(3/8時間目前半)
板書のコツ①
日付、題名、めあてを板書します。めあて「だいじなことばをみつけよう。」をていねいに書き、そして、「だいじなことば」という言葉をこれからたびたび使うことを予告します。くわしい意味は説明しないで、「だいじなことば」という言葉を音読させて、言葉に親しみをもたせるようにします。
板書のコツ②
最初の文「うみには、いきものが かくれて います。」を音読させ、「いきもの」「かくれる」という言葉になじませるようにします。
その後、「はまぐり」の写真を見せます。いきものの名前が「はまぐり」であることを理解させます。
「なにが」「どのように」かくれているかということを理解させ、「かくれる」ことに興味を持続させます。知っているという子には、すぐに発表させないという立場で指導します。知っていると思い込んでいる一部の子の情報で、子供を混乱させないためです。
共通の情報として、教科書の二次元コードを提示し、はまぐりのかくれる様子を視聴させます。この活動を「べんきょう①」と位置付けます。動画を見て、「動いて、止まって、また動いて、止まってを繰り返しながら、かくれている」「全部が見えなくなる最後まで、砂の中にかくれた」という子供の発言があったので、それを板書にまとめました。
板書のコツ(3/8時間目中盤①)
板書のコツ①
べんきょう②は、「ぶんをよんで、わかったこと」という板書から始めます。「わかったこと」というのは、文章の中ではじめて知ったことであり、「だいじなことば」であることも補足します。
教科書を音読した後、「べんきょう①」の学習とつなげながら、次のことを確かめます。
・いきものの名前…はまぐり
・はまぐりのあしの特徴
・砂の中にもぐってかくれること
板書のコツ②
教科書の文の「だいじなことば」である「はまぐりといういきものの名前」「あし」「すなのなかにもぐる」の3つのことを確認するために、べんきょう②の板書を音読に活用します。
板書のコツ(3/8時間目中盤②)
板書のコツ
べんきょう③は、教科書の文で確かめる方法を指導します。学習方法は次の2点です。
・書いてあることが分かったところが「だいじなことば」であること。
・「だいじなことば」には文章の右側に線を引くこと。
これらのことをていねいに説明し、線の引き方も含めて共通理解させます。
さらに、文章の全部に線を引くこともあること、あるいは、「はまぐりが、」「かくれて います。」のように主語と述語にかかわることもあることを捕捉します(主語、述語の用法は使わずに、「だれが、」「なにをした。」という方法で説明します)。
板書のコツ(3/8時間目後半)
板書のコツ
「べんきょう①・②・③」のまとめとしての板書です。「◎せんをひいたところ」と板書し、次の3つのことを整理し、ノートに写させます。
・はまぐりといういきもののなまえ
・はまぐりがもっているもの
・はまぐりのかくれかた
「名前、からだの特徴、かくれ方」という視点で、その後の教材である「たこ」「もくずしょい」について、「だいじなことば」を見付ける素地を耕したいからです。
構成/浅原孝子