苦手な子ゼロへ! みんなで楽しく盛り上がろう! 小4体育ネット型ゲーム みんなでつなげ! ふわふわバレーボールの実践②
パスやシュートの楽しさ、チームワークなど、ネット型ゲームにはスポーツの楽しい要素がギュッと詰まっています。どんな子にも、楽しく積極的に参加してもらい、よい授業にしていきたい。そんな気持ちで考えたのが、FV(ふわふわバレーボール)です。
前回の記事に続き、今回は単元の導入後、子供たちの様相や授業はどのように変容したのかを紹介します。
<前回の記事はこちら>子供たちが「やってみたい」「またやりたい」と思える体育にするために~小4体育ネット型ゲーム みんなでつなげ! ふわふわバレーボールの実践~
執筆/東京都公立小学校教諭・河田侃也
目次
ルールの変容:初めのルールと、追加変更されたもの(下線太字部分)
<規則>
●コートの中には5・6人<3・4人>(チームでゲームごとに選択可)
●ゲームの初めと終わりは、挨拶をする。
●ネットには触らない。
●相手にボールを渡すときは、ネットの下から渡す。
●相手コートに返球することができたら、赤白帽子の色を白➝赤に変える。
<サーブ>
●サーブは、ネットの近くから相手コートにふんわりやさしく投げる。
<攻め方>
●1人1回まで触ることができて、連続で触ることができない。
●3〜5回目で、相手コートに返す。
<得点>
●ボールを相手コートに落とすことができたら、1点。(コートの外での失点は無し)
●ラリーが計4回続いたら、両チームに4点。
子供たちと規則を選ぶ中で、人数と得点の規則の変更を行いました。ゲームを行うときの人数は、子供たちで選択できるようにしましたが、単元後半では、全チーム4人で行っていました。単元後半になると、「みんなでつなぐ」ことよりも、「得点をとること」「空いているところにボールを落とす」ことを目指すチームがありました。改めて、単元名である「みんなでつなげ!」を意識させるために、サーブは、「ふんわりやさしく投げること」を徹底しました。
教具について
教具ですが、写真のようなボールになりました。風船の横に、20㎝程度のガムテームを2枚貼りました。また、試合で使用するボールには、私のマークを書きました。相手コートに返球する際は、「マークを叩くと良い」という意見も出てきました。各学級・学年に応じた風船を子供たちとつくると良いと思います。
高学年になると、学習指導要領解説には、「軽くて柔らかいボールを片手、両手もしくは用具を使って操作したり相手が捕りにくいボールを返球したりする」と明記されているので、各チームでボールを作るのも良いと思います。
作戦について
第3時を終え、学級での規則が定着すると、子供たちから、「チームで作戦を考えたい。」という振り返りがありました。そこから、以下のようなICTの活用を行いました。
今回は、Jamboardを活用しました。第3時までの子供たちの様子を観察し、こちらから作戦を提示しました。学習指導要領解説では、「ゲームの型に応じた簡単な作戦を選ぶ」と明記されています。まずは、上図のように、みんなが「やってみたい」「これならできるかも」と思えるような作戦を教員の方で用意しました。これらの作戦を実行しているうちに、子供たちの間から「後ろの方を守ろうよ」「数えながらやろうね」など、自発的に考える言葉が出てきました。
授業を通して
本単元を終え、事前と事後のアンケートを比較しました。「ネット型ゲームは好きですか」というアンケートでは、事前では、「好き」の割合が51.5%でしたが、事後では、86.2%でした。「あまり好きではない」の人数も1人減り、学級で1人だけとなりました。
<事前>
<事後>
また、「ネット型ゲームでどのようなことが楽しみですか(事前)」「ネット型ゲームでどのようなことができるようになりましたか(事後)」では、以下のような結果となりました。
<事前>
<事後>
この単元を通し、「友達と協力して行うこと」ができるようになったと感じた子が8割程度でした。
また、相手コートに返球することは、全員の子供たちができました。これは、教具の工夫を活かすことができた、と感じました。
終わりに
以上のような実践で、単元名である「みんなでつなげ! FV」に迫ることができたと感じました。課題もありますが、今回の授業を通し、多くの子供たちがネット型ゲームの運動の楽しさや喜びを感じることができました。これから、全員の子供たちがどのよう領域でも「やってみたい」「またやりたい」と思えるような教材開発をしていきたいと思います。
イラスト/難波孝
執筆
河田侃也(かわた なおや)
東京都公立小学校教諭
令和四年度東京教師道場部員
令和六年度第14期NPO健康・体育活性化センター小学校体育研究員